第9話 外の世界へ
部屋に戻る。服を脱ぎ魔法で洗濯、乾燥を
手早く行い、下着姿で備え付けの固形食を
食べて、水を飲み机の椅子に座る。
例によりマニュアルが次ページへ捲れる。
・お疲れ様でしたー。
これにて、森林での訓練終了ですー。
ノマキさんは外の世界に出ても
自由に動き回れることでしょうー。
さてさて、ココは明日の朝
ノマキさんが起きて、外出すると
消えてなくなります。
なので、朝に余りの食料は持って出て
下さいねー。
それからプレゼントがありますー。
服が入っているロッカーの壁が
朝になったら、スライドして開く
様になっていますー。
そこに、タスキ掛けができる
コンパクトな鞄が入っていますー。
空間魔法が施されていて
あなたの故郷の実家一軒位の広さ
がありますよー。活用下さいー。
生活に慣れたら、空間魔法にも
挑戦して下さいねー。
もう一つのプレゼントは
このマニュアルですー。
こちらも家を出る時に
持って行って下さいねー。
その直後にノマキさんの脳に
この世界の主だった魔獣の
情報や、言語、文字、簡単な
文化の説明が直接入る様に
なっていますー。
あっ余談ですが、ノマキさんは
自身の見た目を余り気にしない
様ですがー、まぁまぁのハンサム
ですよー。顔の身嗜みにも
気を配って下さいねー。
名残惜しいですが、良き異世界
ライフをー。
最後のページを読み終えて本を閉じる。
席を立ち、残りの食料を集め、ロッカーの
壁を軽く触り、スライドさせて鞄を取る。
朝食の一食を残し、鞄に詰めた。
ゴールドスリープ装置の中で早めの就寝。
朝。服を着て、ロッカーの扉の備え付けの
鏡を見る。…前世の面影がある黒髪短髪の
若々しい顔立ち。マニュアルに従い、身嗜み
を気に掛ける。風魔法の応用で、髪を後ろに
流し、指に風刃をカミソリ状にして整えた。
ヒゲは殆ど無し。顔はこれで良しだ。
固形食を机に座り、ゆっくりと噛み締め
ながら食した。
鞄を身体に掛け、マニュアルを左手に持つ。
扉を背に、半月世話になった部屋に一礼を
した。
回れ右をして、扉に開ける。
数歩歩いたところで、家や周りの侵入を
拒んでいた壁が空に向かって溶ける様に
消えて行った。
マニュアルが今度は俺の身体に向かい
溶けていく。その瞬間、知識が脳に浸透
する様に入ってきた。
…成程、名字持ちは貴族のみか。俺は自分を
『ヒロ』と名乗る事にした。北の方角にある
最初の町を目指す。
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