第7話 魔法の練習

 サンドバッグ相手に身体を1時間程動かして

 敷地内の真ん中に立って、魔素とやらを意識してみる。


 フワリと感触が身体全身に現れた。


(これが魔素か…)


 指先に火を点ける感覚を意識する。魔素が赤くなる。


(火を使おうとすると、赤くなる…のか?)


 人差し指先端に火が灯る。


「これが魔法を使う感触か…」


 一旦火を消し、サンドバッグがある場所に移動し、前に立つ。


 火を意識して、赤い魔素を纏う。次に右手を銃の形にして、狙いを定める。


(放て!)


 拳大の火球がサンドバッグに刺さる。


 ドンッ!


 命中した。が、サンドバッグが頑丈で威力がよく分からない。すぐに脳が揺らされる感覚に襲われ尻餅を付いた。


(もうスタミナ切れか?)


 ドッドッドッと心音が大きく聞こえる。立ち上がるのに数分を要した。


 部屋に帰ると、マニュアルが次ページに捲られていた。


  ・魔法は如何ですかー?

   ノマキさんの事だから

   火球あたりを放って、クラリと

   きたのではー?

   魔素は纏う事も必要ですが

   身体に循環させて、溜め込む

   イメージを作り上げて下さいー。

   そうですねー。まずは

   魔素を溜め込み、火球10発。

   風刃10発。土塊弾10発。

   水鉄砲10発。治癒魔法10回を

   連続使用してもへこたれない

   力を身に付けて下さいー。

   10日程頑張って下さいー。

   

 …全て折り込み済みな事か。俺は水を飲み再び外に出て、敷地の真ん中で魔素を纏い、自然体の立ち姿で集中した。



 …10日後。サンドバッグ前に立つ。マニュアルに書いていたノルマを達成した。また、生活に使える魔法。例えば、水と風を組み合わせた洗濯や、火と風を組み合わせた乾燥、治癒魔法と水を組み合わせた洗浄等を使用できるようになった。


 部屋に戻り机を見ると、マニュアルが捲られていた。


  ・魔法は如何でしたかー?

   ノマキさんの事ですから

   組み合わせてある程度応用

   出来るようにもなったと

   思いますー。

   ここでの滞在も後3日程度

   ですねー。

   体調を整えられたら

   あの頑丈なサンドバッグの前に

   立って下さいー。

   外に出る為の最終試験を行いますー。

   頑張って下さいー。


 頭の中で了承し、俺は眠りについた。





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