第5話 4号と5号

「…で、なんでまだ時間あったのに早めにス

 タートをさせたんですかねー」 


4号の口調は変わらないが、顔はノマキと話をしていた時とは違い真っ青な能面になっていた。

先程までノマキがいたソファに、白髪で短髪

のオールバック、革ジャンにデニムにブーツとデカいバックルベルトを身に付けた大男が座っていた。


「だってよお前あのままアイツと会話したら

 余計な事話してしまいそうじゃないか。」


「お前に心配される程落ちぶれてないですよ

 ー5号さん?」


5号はどこからか出したエナジードリンクを缶のままあおる様に飲む。


「ブハッ!あのエリアの神様が地球のある

 このエリアに害を成そうとする位、肝入り

 案件だもんなぁ。それをやるのが異世界の

 知識は乏しいが、実戦経験とサバイバルの

 知識を持ったあの男か…。お前さ、魂の…

 潜在能力うんぬんの下りで魔法のある世界

 が、何故発展しないか順を追って話をして

 しまいそうだったもんな?」


4号は能面の顔で返す。


「そこまでマヌケの訳がないですよねー?

 ノマキさんは想像より聡いですからねー。

 最低限の情報と行動で理解すると思います

 よー。まだ彼が降りた王国領には前の……

 あの転生者がいますしねー」


5号は呆れた顔で溜め息。


「はぁー。なんだソレ、向こうの神様がよお

 秘密にしておけと殺気を向けて言っていた

 のは何だったんだ…。賢いヤツは情報をさ

 繋げていったら理解しちまうかぁ」


「ええ。彼なら必要以上の殺生はしません。

 使命を自由な心を持ったままやり遂げるで

 しょうー。それにココに来て理知的に会話

 が出来る人間が、如何に貴重かも貴方なら

 理解してくれていたと思ってたんですよー

 どうしてくれんですかー?」


5号はバツが悪そうに謝罪。


「悪かったよ。向こうの神様に忖度し過ぎた

 な。…しかし前任者がまだ王国にいるんな

 ら、なんであんなに怒って…いや、あれは

 しょうがないと思うべきか…」


「こちらの人選が余程信じられなかったと

 思いますよー。もう前任の4号、5号から…

 何て下らない人材を送り込むんだといった

 感じでしょうねー」


5号は天井を見上げて呟く。


「上手い事行くといいなアイツ…」


4号は紅茶を飲んで、しみじみと話す。


「本当にそう思いますよー。魂の選定は管理

 者にはできないのに、理不尽に今までの前

 任者は責任を追わされましたからねー…。

 今回は…必ず!頼みましたよノマキさん…

 上手くいきます様に…!」


4号は拳にチカラを込めて、言葉を吐いた。

 

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