18、異世界あるある東の国とは
悲報、ポメ太郎の食い意地が張りすぎていた件。
いや別にいいんだけど。
昔、家族が飼っていた犬も食い意地が張りすぎていて、人間のご飯とかを盗み食いをしていたせいで内臓をやられていたからさ……ポメ太郎は異世界の狼(?)だから、体調不良とかはファンタジーパワーでなんとかしてもらおうと思っている。
王都にいるギルマスあたりなら、なんとかなるでしょ。たぶん。
とは言いながらも、俺のジョブでポメ太郎の体調管理をしていたりする。
あの灰色狼侍(サムライ)も、何でも食べれるって言ってたもんな。ポメ太郎お世話ノートに色々と追記してくれた。
ちなみに酒を与えすぎると難ありって書かれてた。
「クゥン……」
悲しげに鳴いてもダメです。
梅酒もお猪口一杯からスタートです。
ムサシ氏とアヤメさんから差し入れ(ダンジョンのアイテムと、うちのストックを交換した)犬用フードはしっかりとゲットするポメ太郎。しかし撫でるのはNGらしい。
おい。等価交換という言葉を知っているのかポメ太郎よ。
「食べているところも可愛い!!」
アヤメさんは満足げだ。
まったくもってポメ太郎の食い意地は以下略。
配信中に受けた依頼の守り石を、ギルドカード経由で入口にあるロッカーへ送っておく。
あらかじめ運営でロッカーの契約をしていれば、ひとつにつき1アイテムを送ることができる。一方通行だし月々の利用料はかかるけど、俺みたいな商売をしている人間にはありがたいシステムだ。
コメントをくれた人のアカウントに認証番号も自動で送られるから手間もない。科学の発展に感謝しておこう。南無南無。
「さて、お二人はどのような守り石にしましょうか」
「アヤメの防御力を上げるものを」
「ムサシの幸運値を上げることはできます?」
「なるほど。お互いがお互いの守り石をプレゼントしたいということですか。予期せぬリア充を浴びてしまったので、思わず滅してしまいそうです」
「クゥン」
「〜♪」
ポメ太郎とマンドラゴラのララちゃんも完全同意といったご様子。
それはそれでちょっと悲しい。
「いやっ、そのっ、俺たちはまだっ……!!」
「私は……ダンジョンの中だけでも、ムサシが不幸に見舞われないようにしたい」
「アヤメ……」
「この前も、うっかりレアアイテムを落として壊して泣きそうになっていたもの」
「アヤメェ……」
それはかわいそうすぎる……って、ダンジョンのアイテムはそうそう壊れないはずだが。
「後学のために聞きたいのですが、どのような落としかたをされたのです?」
「……落としたアイテムの下に毒虫の魔獣がいて、ついそのまま全力で突きを入れてしまった」
「あー、それは……ご愁傷様です」
言葉もないとはこの事か。
とりあえず、二人にお茶と菓子を用意していると、ポメ太郎とララちゃんも順番とばかりにカウンターの上で待機している。
「画面で見るよりもかわいい……ポメ太郎さんと、ご新規さん? 植物系の魔獣をテイムされたんですか?」
「いや、この子はマンドラゴラのララちゃんで、種子から育てたのですよ」
「なっ!?」
「ちょっと!?」
慌てて戦闘準備に入るムサシ氏とアヤメさん。
すみません。先に「害はない」と言ったほうが良かったですかね?
「閲覧人数、すごいことになってるわね」
「そうなのか?」
アヤメさんの呟きに、ムサシ氏が首を傾げている。
どうやらムサシ氏はメイリと同じく、配信画面をオフにする派のもよう。
:よろず屋さん、どんな守り石を作るんだろ?
:ムサシは鈍感系ムキムキだったか……
:アヤメ姐さんが見てくれてるなら聞きたいんだけど、その和風な装備はどうやって手に入れたんだろ?
ああ、確かに。
ダンジョンの外皮(アバター)の服装はランダムで生成されるようだけど、だいたいは西洋寄りのデザインだ。俺もバーテンダーみたいな服装だし。
「異世界人に作ってもらったんだ。ダンジョン内で着替えたら、装備として追加されたんだ」
「ムサシも私も重装備しないジョブだから、防具はほとんど装備しないからちょうど良かったの」
:異世界人に作ってもらう手が!
:いやちょっと待て。言葉が通じないのにどうやって???
:たしカニ
コメント欄の流れが早くなっていく。
言葉は俺みたいなパターンもあるし、二人のどちらかが会話できるスキルがあるのかもしれない。あとはメイリみたいなパッション(?)で通じるタイプだったり。
「異世界でも和装の人がいるのですか?」
「なんか東の国って所では、和服がスタンダードらしい」
:キターーー!! 異世界あるある東の国!!
:島国とかだったら、それはもう日本では説!!
:もちつけ。まだそうと決まったわけでは……異世界でも米、醤油、味噌があるってコトォ???
:↑お前が一番もちつけwww
またダンジョン配信まとめサイトが賑わいそうなネタが出てきたなぁ。
俺は怖くて見ないんだけど、定期的にチェックしているメイリの奥さんが有益な情報をくれたりするからバカにできない。
「そうですね……『よろず屋』でも服の取り扱いをしますか。せっかく配信で商売もできるようになりましたし」
:やったーーー!!!!
:うわ、マジでありがたい!!神様よろず屋様!!
:まとめサイトにある、よろず屋さんのメニュー表の更新が待ち遠しい!!
えっ、そんなのがあったんだ。
誰が管理しているんだろう……今のところ問題ないけど、何かあったらメイリ経由で運営になんとかしてもらおう。
「やったぜ! 俺、もっとこう刺繍とか入ったやつが欲しい!」
「私も暗器とか仕込める服が欲しいかも。今はベルトにホルダーを付けているのよね」
二人は自力で何とかすればいいと思うよ?
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