第4話

 気づくと俺はスノウと、あの夏に一緒に行った海にいた。スノウは嬉しそうに走り回ってさ。

 でも俺、そのせいでスノウを失ったと思ってたから、なかなか体が動かなくて。

 そうしたらスノウのやつ、俺の手を甘噛みして、一緒に遊ぼうって。顔中舐めまくって、大好きだって。

 嬉しすぎて泣けてきた。

 現実の事じゃないってわかっていたって、嬉しくて堪らなかった。

 だから俺、びしょ濡れで砂まみれになりながら、日が暮れるまでスノウと一緒に遊んだんだ。

 夕日が海に沈む頃、スノウは口に何かを咥えて俺をじっと見た。

 何を咥えているのかと思ったら、それはあのフォトフレームに入っていたはずの写真だった。

 スノウはその写真を咥えたまま、静かに消えていった。そして気づけば俺は部屋にいて、フォトフレームの写真は真っ白になっていたんだ。

 後から気づいたんだけど、スマホに保存してあった写真も、あの海で撮った写真は全て消えていた。

 だから、あの夏にあの海で撮ったスノウの写真は、1枚も残ってない。ただ、俺の記憶の中にあるだけで。

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