第17話 半分は削れた。ならば倒せる
「案外役に立ったなパリィ」
洞窟で寝転びながらアレクはそうつぶやく。
先程戦いを挑み、その結果雷の無力化と風の無力化に成功したアレクは、竜のモーションを見る段階に入っていた。
その結果いくつかのモーションを引き出すことに成功していた。
その中でも特に脅威に感じたものは……。
「やはりブレス攻撃を放ってきたか。まあ想定内だがね」
ブレス攻撃。風を限界まで圧縮した貫通する程のブレス攻撃。
見ることも、かわすことも叶わない程の圧倒的な攻撃だった。
とはいえモーションはないのでは無い。予備動作もバッチリ確認できた。
───ならブレスは問題無い。
次に爪による回転攻撃。あれは実に15ヒットしていた事から恐らくだがあれの方が実質危険と見るべきか?
だが15ヒットとは言え風を纏う描写はかなり遅かったし、まあ避けるのは簡単だからそこまで脅威度は無いな。
あとはしっぽによる回転薙ぎ払い?あれはむしろこっちから攻撃するチャンスになりうる技だ。何ならあれを何度も引き出せるように誘導するのもありか?
そして最後に、今言ったやつ以外は全て簡単にパリィ出来ることが判明した。
中でも何処からか呼び出した槍を使っての攻撃……あれに関してはほぼパリィ出来る程度のモーションばかりだった。
「……真剣な目で考えてるとこ悪いんだけどねぇ……君はやっぱりあの子を倒すつもりなのかな?」
「?その言い方的にあまり乗り気じゃ無いということか?」
「いやぁ、……まあほらあれだよアレ。彼女とは割と仲良かったからさ?」
「なるほど。だが断る。と言うかこっちを攻撃してくる相手に俺はただ正当性を訴えながら殴ってるだけだが?」
「えっと?──君思ってるよりかなり容赦ない人間?
「逆に何だと思っている?」
そう言いながら既にアレクは次の攻撃時、パリィしてから放つ反撃に用いる武具を選定していた。
「……やはり槍を投げるのは効果的だったな。槍一つ一つにも勿論耐久値が付与されるから案外壊れなかったし、何より……風に乗って不規則的な攻撃手段に早変わりするのが実に優位に働いていた。そうと決まればどんな槍の方が効果的にダメージを与えられる?坂棘がついているやつの方がいいか?それとも鋭利なやつの方か?先端に爆発する素材を組みあわせて、口の中にぶち込む方がいいか?」
「アレク、君は……」
そういったきりフールは黙った。もう何を言った所でこの男が止まることは無いと理解したからである。
「ははは!良いじゃないか、良い!……死んで行った未練おこがましい武具共に最期の輝きの舞台を用意してやれるのだからな!」
そう言って次々と武具を組み合わせてより優れた武具を作り出していく。
荒々しく、素人仕事であったが……例えば、槍を3つ組み合わせて紐で縛ったそれをそこら辺で拾った大弓に装着させて放つ物を生み出していた。
「竜狩りの大弓、なんてな。まあそんな大層なものでは無いが……まあなんとかなるだろ知らんけど」
試しに次はこれを使ってやってみるか。
◇◇◇◇◇
んー惜しかった。あと半分か……まあ案外行けるっちゃあ行けるか?
なら次は削りの割合を1から2に変えて見るのも選択肢に入れるべきかもな。
それにしてもあの大弓、結構ボロボロだったんだな。撃つ度に一つ壊れてしまってたしな。
まあ使えるものは無限に使ってやるよ。さあて次だ次。
そう言いながら俺はここのエリアを作っていた槍を適当に引き抜こうとチャレンジしてみる。
「……こいつを抜ければ近くにセーフティゾーンを作れるからやりやすくなるんだがな。……まだ抜けない…………あれ?スポンッて音が……」
抜けないと思っていたそれは、まるで油を塗ってあったかのようにぬるりと抜け落ちる。
「……はは……は?」
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