第13話 嵐の古龍との戦い①
「目を覚ましたら美女がいた気がした。気の所為だったみたいだ」
「おやおやおや。私の顔が美女じゃないとぬかすのかな?」
「いやまぁ美女だよ。だけど少なくとも──逆立ちしていては美女もくそもないと思うんだが?せめてもとの体勢に戻ってからにしてくれ」
「なんだい、その事か。まぁ私は気にしないから別に良いんだがね」
「良いんだがね じゃ無いが?あとスカートの中身出てるぞ」
「これは失敬。まぁ私のなんざ見たところで一兆円程度の価値しかないから気にしないが」
「価値ありすぎだろ。もう少し抑えろ。少なくともアイドルですらそんな値段ふっかけねぇぞ?」
「いやいや、唯一無二のこの私のスカートの中身だぞ?──勿論その価値は命より重いんだからな!」
「はいはいそうですねありがとうございます。それで?道を今日は探しに行く予定だが、どこから行くとか考えはあるか?」
「なんだねぇつれないねぇ。まぁ良いか。───それじゃあ手探りで散策と行こうじゃないか!」
なるほどノープランと。いや知ってたけどさ。
俺達は他愛ない、他愛ないか?まぁよく分からない会話をしながらアイテムを増やして歩き始めるのであった。
◇◇◇
30分後──、
「まさかの普通に道があった件」
あのセーフティゾーンの近くに、扉があってそこを開けてみたところ普通に道があった。
しかも登り道になっており、その先に看板で『嵐の古龍までの道』と書かれていた。
誰が置いたのか分からないが有難く使わせてもらう。貰うとしてだなぁ……。
「なるほど俺たちはただ無駄に時間を浪費しただけの愚者だったと」
まぁそういう事だよな。普通に道があるのに、わざわざ嵐吹く荒れた道を通って行ったのだ。
バカのやる所業だと誰だって思うわけだ。
というか多分あの嵐の古龍もびっくりしてたんじゃねぇのかな?
だってまさか通れませんよ?こっちから来てください。って作られた道をわざと通らずに突っ込んでくるバカ達だよ?
──俺だって馬鹿だろこいつらと思う。
「なぁ、一つ。この道のことお前知ってたとかない……よな?」
「はは。アルワケナイダロウ」
「あー知ってたなお前。なるほどふざけんなこの野郎!!」
俺はフールの頭をグッと掴んでミシミシ言わせる。
「す、すとぉップ!!やめ、やめ、やめろぉぉ!痛いんですよそれ痛いから!!」
「うるせぇ!?お前どこにそんな声出せる力があったんだよ!?」
「神様舐めないでください!あ、むしろ舐めてもいいですよ?今なら塩味がするかと──」
「いやいらん。──次はちゃんと教えてくれよ」
俺はこれ以上話をしても無駄だと判断して、フールにため息を吐き出してから進む。
全く、道中でこんなに疲れて大丈夫なのか?
そんな過剰な不安が押し寄せる中、アレクは進む。
◇◇◇
ほんとに山の山頂まで直通だった。
あまりにも親切すぎて途中から罠なのでは?と疑いまくって余計に時間がかかってしまったけれど、それでもノーダメージで辿り着けたのだった。
そうして、アレクは遂に嵐の古龍オールティヌスと対面することが叶ったのであった。
……叶っただけなのだが。
嵐の古龍はなんの前触れもなく岩のような翼をはためかせると。
『痴れ者が。その愚かさを身をもって味わえ──
その一手でアレクを消し飛ばしたのだった。
だが残念なことに、古龍は知らない。
アレクには1ダメージしか入らなかった事を。
『他愛も無いな。ふん、やはりつまらぬ輩であったか』
静かにオールティヌスは言った。
あの女が期待していろ 等と言うからには、それなりに強さがある奴だと思ったが……あの風を回避すら出来ぬとはな。
呆れつつ、再び挑戦者を待つ為に風域を作り出そうとして。
─────こちらに歩いてくる存在を認識し、驚愕したオールティヌスであった。
「あぶね。いやほんと助かったぜギフト!!──あれって普通に食らったらワンパン系だよなぁ……」
そう言いながら、かすり傷を撫でつつアレクは走り出す。
そしてその肉体の強化された身体能力に物言わせ、飛び上がって蹴りをオールティヌスにかます。
ガギギギッ!!!────鉄よりも硬い肉体に蹴りを入れた衝撃で、自分の足に逆にダメージを負うアレク。
しかしそれはしっかりと攻撃という判定を獲得し───オールティヌスの有り得ないほどに膨大なはずのHPの1%を見事に削る。
そしてそれは、当然ながらオールティヌスにとっても理解出来ぬ出来事であった。
何故ならば、先程受けたダメージは、【2147483647】つまりカンストダメージであったからだ。
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【嵐の古龍オールティヌス】6221歳 Lv96661
【HP】人類では測定不能。〈
【基礎総合ステータス】人類では測定不能。
【魔力】人類を滅亡させれる程度
【ギフト】〈嵐の王〉〈ディザスター・ゴッド〉〈
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