第百十七話 久々のお母さんの手料理
こうしてみんなでワイワイと治療を行い、無事に奉仕作業は完了しました。
すると、バンザス伯爵とヘンリーさん、それにお父さんとお母さんが教会の中に入ってきました。
何かあったのかなと思ったら、バンザス伯爵が集まっている村人に話しかけました。
「代官とその親類による悪政を見逃し、この地を治める領主として謝罪のしようもない。彼らは法により裁かれるが、二度とこの村に足を踏み入れる事はないだろう。補償についても、順次行う」
バンザス伯爵の説明を聞いて、村人は一様に安堵の表情を見せていた。
補償云々よりも、あの代官と三人の両親が捕まったのが大きいでしょうね。
ちなみに、脅迫とかで奪い取ったお金の金額が凄いので、全員重い刑になるそうです。
家族はどうなるか分からないけど、最低でもバンザス伯爵領からの追放は免れないそうです。
この辺りは、偉い人にお任せですね。
ぐー。
「あっ」
「「なったー!」」
そういえば昼食を食べていないことに気が付き、僕のお腹が空腹を訴えていた。
ずーっと集中していたけど、結構時間が経っていたんだね。
すると、お母さんがある提案をしました。
「もし良かったら、我が家で昼食はいかがでしょうか? 大したものは出せませんが」
「「やったー」」
僕たちの返答の前に、妹と弟が元気の良い声をあげていた。
もうこれは断れないと思ったのか、ヘンリーさんたちもうちについてきました。
教会から僕の実家は近いので、あっという間に到着しました。
「ここが我が家になります」
「わあ、とても大きいですわね」
「家族全員魔法使いですから、それなりに稼いでおりますので」
僕の実家は、二階建てのちょっと大きいお家です。
エミリーさんもシアちゃんも驚いていたけど、家族全員に個室があるし食堂もついています。
それに、お母さんの料理はとても美味しいんだよね。
食堂に着いたら、ヘンリーさんがこれからの話をすることになりました。
「邪神教関連が落ち着くまでは、ナオ君は私たちと一緒に行動することになる。というか、ナオ君はそのうち屋敷を下賜される可能性が高いけどね。でも、実家に帰省するのは全く構わないよ」
「「えー!」」
妹と弟は、僕が実家に戻る訳ではなくてかなり不満そうだ。
でも、こればかりは仕方ないし、ドラちゃんに乗ればあっという間に実家に帰れるもんね。
というか、屋敷なんて貰っても僕には管理しきれないと思うよ。
そして、別の提案があった。
「ナオ君のご両親が、オラクル公爵家にご挨拶に行きたいそうだ。さっき通信用魔導具で確認したら、向こう側は是非とのことだった」
「ということで、午後はナオがお世話になっているところに行くぞ」
「「「やったー!」」」
お父さんの提案に、サマンサお姉ちゃんも喜んでいました。
僕も、お世話になっている人を家族に紹介したいもんね。
そして、お話が終わったところでお母さんが料理を運んできました。
「ありあわせのもので悪いですけど」
「いえいえ、わざわざ申し訳ありません」
いつもよりもちょっと豪華な料理で、とても美味しそうです。
ヘンリーさんも恐縮そうに言っているけど、少なくとも軍の施設での料理よりも美味しそうです。
「「もぐもぐもぐ、おいしー!」」
「ふふ、いっぱい食べるのよ」
可愛らしい姉と双子の妹と弟のやりとりに、みんな目を細めていました。
何というか、見ていてほっこりしますね。
「ナオはどちらかというと食が細い方だったのですけど、カエラとキースはご飯をよく食べる方でして。こうして、いつも美味しそうに食べてくれますわ」
「実際にとても美味しい料理ですし、一生懸命に食べたくなる気持ちも分かりますわよ」
「そう言って頂けますと、とてもありがたいです」
お母さんとシンシアさんが和やかに話をしているけど、僕は昔からあまり食べられなかったんだよなあ。
余った分は、全部スラちゃんが食べちゃったし。
いまや、スラちゃんは僕よりもいっぱい食べるもんね。
それに、ドラちゃんもシアちゃんもお母さんの昼食を美味しそうに食べていました。
僕も、実家に戻ったんだなってホッとしながら昼食を食べていました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます