第百十話 遂に作戦を開始する事に
そして、またまた軍の治療施設での依頼の際に会議室に集まる事になりました。
話は、例の地元の代官と繋がっている伯爵の件でした。
「一部の方にはお伝えしておりましたが、今まで捜査の関係で伯爵の家名を隠しておりました。伯爵の家名をお伝えいたしますが、オオワル伯爵になります。既に王城内の人事に関与した件で証拠を抑えておりますが、更に過去の人事にも関与していたことが発覚しました。対象の役人も誰が対象か把握しております」
更に大事件になっちゃいました。
それだけ、兵の報告は衝撃をもって受け止められました。
話は、例のスラちゃんとドラちゃんの潜入になります。
「近日中に、屋敷への潜入を行って頂きたいと思っております。証拠が固まり次第、一気に作戦決行と考えております」
危険な任務だと思って兵が申し訳なさそうに言っているけど、当の二匹はやる気満々です。
というか、これはもしかして……
「キュー」
「直ぐに潜入してくると言っています。オオワル伯爵は王城にいるはずだし、タイミングも良いと言っています」
「えっ、本当ですか?」
スラちゃんの話を通訳して説明すると、兵はいきなりのことでビックリしていました。
でも、他の人たちはスラちゃんの理論の方にビックリしていました。
「キュー」
ガチャ、ぱたぱたぱた。
そして、二匹はあっという間に窓から外に飛び出していきました。
更に、出発の際にスラちゃんがヘンリーさんに触手をふりふりしていました。
ヘンリーさんも、間髪入れずに軍の幹部に確認をしました。
「この後、屋敷に突入することも検討しよう。その後、一気に各地の関係者の捕縛だな。バンザス伯爵領だけは大物を捕獲しないとならないから、多数の軍が動く事になる。可能か?」
「軍はいつでも行動可能です。逆に、非常時こそ素早く動かなくてはなりません。直ぐに王城の駐留部隊と連絡をとりまして、準備を整えます」
「うむ、頼んだぞ。王城の指揮はブレアが取ると、前々から決まっている。私からも、父上と本人、あと兄上にも連絡をしよう」
ヘンリーさんの一言で、一気に状況が動く事になりました。
今日、行動するのは確実ですね。
ということで僕たちも本日の治療は中止、かと思ったらシンシアさんがシアちゃんを抱いて立ち上がりました。
「スラちゃんとドラちゃんが戻って来るまで、大体三十分はあるわ。その間は、逆にいつも通りに動きましょう。じゃないと、何かしていると誰かに勘ぐられる可能性もあるわ」
ということで、僕たちは短い時間だけど怪我をした兵の治療を行うことにしました。
確かに、シンシアさんのいうことはもっともだね。
オオワル伯爵と繋がっている兵がいるかもしれないし、不審な行動をとっていると思われないようにしないと。
こうして、僕たちは兵が入院している治療施設に向かいました。
「じゃあ、今日はシアちゃんに重傷者を治療してもらいましょうか。きっとこの前の地震で怪我をした人を沢山治療しているから、パワーアップしているはずよ」
そして、さらりと僕たちの魔力を温存するために、シンシアさんの提案でシアちゃんに頑張って貰う事になりました。
これなら僕たちも不審に思われないし、魔力も温存できます。
更に、シアちゃん自身もとってもやる気を見せていました。
シュイン、ぴかー。
「おお、このちっこいスライムはすげーな。足の骨折が、一発で良くなったぞ」
実際にシアちゃんもパワーアップしていて、骨折を含む重傷患者を次々と治療していきました。
僕も他の人も、軽傷者を中心に治療していきます。
おや?
護衛じゃないのに、部屋の入り口から僕たちをちらちらと見ている怪しい兵がいるよ。
僕は、こっそりとナンシーさんに怪しい兵がいると耳打ちをしました。
すると、ナンシーさんも直ぐに兵の存在を確認して動こうとしました。
しかし、ナンシーさんよりも早く動いた人達がいました。
「おい、おめーなんでここにいるんだ? 治療施設は、関係者以外立ち入り禁止のはずだぞ」
「そういえば、この前もちらちらと俺たちのことを見ていたな。いったい何をしているんだ?」
「ヒィィ……」
治療した兵たちが、怪しい兵をあっという間に捕まえました。
皆さん、骨折から治ったばかりなのですから無理をしないで下さいよ。
入院時に色々と説明を受けていたので、兵も良く分かっていました。
怪我人もいるし、薬とかもあるから当然だよね。
「用事もないのに、立入禁止区域に入った現行犯で拘束します。連行して下さい」
「「「はっ」」」
こうして、いつも僕たちの案内をしてくれる兵の指示によって不審な兵が連行されていきました。
今回の件に絡んでいなくても、駄目なものは駄目だよね。
でも、兵を連行している皆さんは治療したばっかりなんですから、早く病室に戻って来て下さいね。
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