第百九話 ドラちゃんの意外な才能
実家の件はもう少し時間がかかるので、その間はいつも通りのことをしていました。
僕もとても気になることだけど、流石にまだ地元には戻れないです。
焦らずに、捜査の進捗を待つことにしました。
冒険者として勇者パーティとして森とかの他にも王都内の建物や屋敷の浄化も行っていて、たまにドラちゃんに乗って遠地の森の浄化も行っていました。
そんな日々を過ごしていて、今日は久々にお買い物をすることになりました。
「「何を買おうかなー」」
「なー」
「キュー」
いつもの商会に行くと、なんと王家の皆さんとばったり会いました。
本当にたまたまだったらしいのですが、ちびっ子三人は特に気にせずにドラちゃんとリーフちゃんとともにおもちゃコーナーに向かっていました。
「ナオは何を買うのかしら?」
「暑くなってきたので、夏服を買おうかと思っています。後は、ポーションとかも買おうかと」
ちびっ子と同行していたエミリーさんに買い物の予定を伝えると、ニコリと微笑みながらも瞳が怪しく光ったよ。
しかも、マリアさんとレガリアさんもうふふって表情をしています。
うん、これはヤバいかも。
ふと振り向いたら、スラちゃんとシアちゃんも危険を察知したのかちびっ子三人の元に向かっていました。
助けてくれるものが誰もいなくなってしまった……
「うーん、これなんかどうかしら? 夏っぽくて良い感じよ」
「白っぽい色の服も良いわね。でも、髪色と被っちゃうわ」
「ナオの髪色を考えると、濃い色でも合いそうね」
そして、たくさんの服が運び込まれ、僕に服を当てながら三人はあーだこーだと意見を言っていました。
うん、これは逃げ出せそうにもありません。
ちびっ子三人とスラちゃんたちは、いつの間にか応接セットのソファーに座りながらジュースを飲んでいました。
じーっと僕のことを見ているけど、決して僕のところには来ませんでした。
こうして、一時間以上かけて僕の服選びが行われました。
うう、適当に選ぶつもりだったのに……
「しかも、お金まで払ってくれてすみませんです」
「あら、このくらいは良いのよ。いつも息子と遊んでくれているお礼よ」
マリアさんが何事もなかったかのように王家への請求にしてくれました。
手続き後だから、僕は諦めてお礼を言いました。
買い物が終わったら、みんな揃ってオラクル公爵家に向かいました。
目的は、もちろんルルちゃんに会うためです。
「あー、あー」
バタバタ。
「「「動いてる!」」」
「てるー!」
ルルちゃんも生まれた時よりもちょっとふっくらしてきて、盛んに手足をバタバタとしていました。
イザベルさん曰く、セードルフちゃんが赤ちゃんの時よりもルルちゃんのほうが活発に動いているそうです。
マリアさんも、息子二人よりも元気いっぱいだそうです。
「みんなも、ルルちゃんにいっぱい話をしてあげてね。もしかしたら、笑うかもしれないわよ」
「「「やってみる!」」」
イザベルさんに言われ、ちびっ子三人はやる気満々でルルちゃんに話しかけようとしました。
しかし、そこには既に先客がいました。
「キュー」
「あはー」
「「あー、ドラちゃんが!」」
「どら!」
ドラちゃんは屋敷にいる時はルルちゃんの側にいることが多いので、ルルちゃんのあやし方に慣れていました。
今もルルちゃんに話しかけていて、ルルちゃんもにんまりとしていました。
「ほらほら、頑張らないとドラちゃんがルルちゃんのお兄ちゃんになっちゃうよ」
「「頑張る!」
「るー」
ということで、エミリーさんに促されてルルちゃんのおしめ交換タイムまでみんなでルルちゃんに話しかけていました。
ルルちゃんもたくさんのお兄ちゃんに話しかけられていて、とってもご機嫌でした。
とはいえ、まだまだドラちゃんの方がルルちゃんに話しかけるのは上手ですね。
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