第七十七話 明日に向けての作戦
この日は、王城に集まってスラム街であった邪神教関連の会議を行います。
僕たちに加えて男性の王族も参加し、更に偉い貴族、教皇猊下、ギルドマスターも集まりました。
でも、流石にアーサーちゃんとエドガーちゃんは部屋でお勉強です。
会議の冒頭、陛下が話し始めました。
「忙しい中、皆には集まって貰い感謝する。今日は、邪神教関連で皆と意見を交わしたい。活発な発言を求める」
「「「畏まりました」」」
これだけ凄い人が集まっての重要会議に僕が参加しても良いのかなと思いつつ、陛下に頭を下げました。
会議は、ヘンリーさんが進めます。
「まず、聴取の結果を報告します。スラム街の拠点で活動していた邪神教の構成員を取り調べたところ、王都から離れているベストリア伯爵領に邪神教の地方拠点の一つがある事がわかりました。近くに駐留している軍から調査兵を派遣したところ、確かに怪しい施設が領都郊外にあると報告を受けました。明日、現地に向かって施設の制圧と領主への聴取を行います」
おお、これは凄い事になったよ。
遂に、邪神教の拠点の一つに向かうんだ。
一緒に話を聞いているスラちゃんとドラちゃんも、思わず気合を入れていました。
「明日は先に軍が領都へ向かって伯爵領兵の注意を集めてから、私たちが邪神教の施設を奇襲する。いわゆる、陽動作戦を取る予定だ」
「ということは、ドラちゃんが作戦の要になるんですね」
「そういう事だ。拠点を制圧したら、そのまま領主の屋敷に向かう」
「キュー!」
ドラちゃんは、重要な役目を任されて気合満々にひと鳴きしました。
高速移動できるドラちゃんの能力を、最大限に生かす作戦ですね。
ちなみに、現地の駐留軍の指揮官にも連絡が行っているけど、まだ一部の人だけ知っている極秘作戦だそうです。
「ナオ君とスラちゃんは、先ずは浄化に専念してくれ。後は、領主の鑑定だな。ドラちゃんを含めて、皆には負担をかけるが頼むぞ」
「僕も、みんなのお役に立てるように頑張ります」
「キュー」
スラちゃんも、触手をふりふりしてやる気満々でした。
今のところ浄化は僕たち一人と二匹しかできないから、この作戦の要として動く事になりました。
僕たちには、護衛としてエミリーさんがつくそうです。
王城でも、同タイミングでその伯爵の王都屋敷に軍が突入します。
「あと、この際に用語の統一を行う。今回の事件を邪神教事件と命名し、黒い霧をダークミスと名付ける」
今まで不明だった事件の全容が徐々に分かってきたので、邪神教事件としてヘンリーさんが指揮する事になりました。
これは、陛下も了承済みだそうです。
軍の偉い人と連携して、これからも対応するそうです。
明日は朝いちで軍の施設に向かい、現地に向かうそうです。
「後は、現地で押収した資料の分析を進めて、順次地方の拠点を潰していくことになる。先ずは、明日の作戦の成功を祈ろう」
陛下がこの場をしめて、僕とスラちゃんとドラちゃんは会議終了となりました。
この後は、もう少し難しい話をするそうです。
僕たちは、アーサーちゃんとエドガーちゃんのいる部屋に向かいました。
すると、ちょっとした事件が起きていました。
「エドちゃん、もう一回言って」
「にー」
「わあ、エドちゃんが喋った!」
なんと、エドちゃんがお兄ちゃんのアーサーちゃんの事を呼んだのです。
これには、僕たちもとってもびっくりしていました。
「エドちゃん、ママって言って」
「まー」
「あら、良くできました」
何だろうか、とてもお淑やかなマリアさんがメロメロな表情でエドガーちゃんに抱きついていました。
やっぱり名前を呼んで貰えるのって、とっても嬉しいみたいです。
「エドちゃん、ババって呼んでね」
「ばー」
「ふふ、良くできました」
シャーロットさんも、エドガーちゃんに抱きついて満面の笑みで頭を撫でていました。
当のエドガーちゃんも、みんなに褒められてニコニコしていますね。
僕の事も「にー」って呼んでくれたので、エドガーちゃんの頭を撫でて上げました。
すると、会議を終えた面々がやってきたのですが、更にちょっとした事件が起きました。
「エドガー、ぱぱって呼んでくれないかな?」
「じー」
「えっ? もう一回言って」
「じー」
なんと、父親のジョージさんの事を「じー」って言っていました。
ジョージさんの前に陛下がじーじと呼んでと言ったからかなと思ったけど、真実は別にありました。
「もしかして、ジョージだからじーって言ったのかな?」
「うー!」
マリアさんの問いかけに、エドガーちゃんは元気よく手を挙げていました。
エドガーちゃんは、父親の名前を理解していたんですね。
とはいえジョージさんはパパって呼んで欲しいみたいなので、もう少し頑張ってみるそうです。
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