第七十五話 シャーロットさんとお買い物

 そして、いよいよシャーロットさんと一緒に商会にお買い物に行く日になりました。

 シャーロットさんは頑張ってリハビリをして、遂にこの日を迎えました。

 もちろん、僕もとっても楽しみにしていました。

 まず、ナンシーさんと共にキチンとした服に着替えて王城に向かいました。


「ナオ君、おはよう。待っていたわ」

「おはよー」

「おー」


 王城の玄関には、既にシャーロットさんの姿がありました。

 とても元気よさそうだし、杖をついているけど足取りもしっかりとしています。

 マリアさんはシャーロットさんの付き添いって分かるけど、一緒にアーサーちゃんとエドガーちゃんも付いてくるんですね。

 因みに、ナンシーさんはブレアさんのところに向かっていて、他の王族の人は事情聴取結果の分析や勉強をしているそうです。

 僕の予想だと、エミリーさんは絶対に同行したかっただろうね。

 さっそくということで、僕たちは豪華な馬車に乗り込みました。

 目的地は、王家御用達の商会です。


「今日は、私もとても楽しみにしていたのよ。何よりも、こんなにも体が軽いなんて久々なのよ」

「僕も、シャーロットさんが元気になってとっても嬉しいです」

「ありがとうね。これも、ナオ君とスラちゃんが一生懸命治療してくれたおかげよ」


 馬車内でも、シャーロットさんはニコニコが止まりません。

 なので、みんなとっても良い笑顔です。

 そして、馬車は無事に商会の前に到着しました。

 近衛騎士が周囲を警戒する中、僕たちが先に降りてシャーロットさんも馬車から降りました。

 そして、みんなで商会の中に入ると、何故か号泣している商人が。

 この人って、確かオラクル公爵家の御用商人だったはず。

 王家の御用商人でもあるなんて、凄い人なんですね。


「シャーロット殿下、こんなに元気な御姿を拝見できる日がくるなんて、私感激で胸が張り裂けそうです」

「あなたにも、治療薬の事とかで色々とご迷惑をかけたわ。こうして、自分の足で買い物に来ることができたわ」


 そっか、商人さんもシャーロットさんの件で色々と苦労していたんだ。

 だから、こうして元気な姿を見ることができて感激しているんだね。


「今日は、私の命を助けてくれたナオ君の服とかを見繕ってくれるかしら。ひ孫にも、何か買ってあげたいのよ」

「畏まりました」


 シャーロットさんが用件を伝えると、商人さんは涙を拭いて恭しく一礼しました。

 そして、さっそく僕のサイズチェックを始めました。


「おや、ナオ様も以前よりふっくらとされております」

「ナオ君は、以前はとても痩せていたからとても良い傾向ですわ」


 僕も、オラクル公爵家で出される食事のお陰で体調がかなり戻ってきたみたいです。

 マリアさんも、僕の体調を気にしていたのでとても喜んでいました。

 サイズチェックも終わったので、どんな生地を組み合わせるか話しています。

 基本線は、いま着てる服と同じ青色に白と銀の刺繍をするみたいです。

 その間に、予備の冒険者服も買うことになりました。


「今お使いの杖は、とても性能の良い物です。これから暑くなりますので、薄手の服などもお勧めいたします」

「確かに、もう春になりますわね。ナオ君はフードの付いたマントを羽織っているから、服で調節しましょう」


 僕についてきてくれたマリアさんのお勧めもあるので、マントの下に着る服をいくつか購入しました。

 また、念の為にとポーションや毒消しポーションに生薬とかも購入します。

 回復魔法が効かない場合もあるので、持っていた方が良いらしいです。

 無事に冒険者服も買えたので、シャーロットさんのところに戻りました。


「ふふ、とっても似合っているわよ」

「シャーロットおばあさま、ありがとー!」

「おー!」


 シャーロットさんは、アーサーちゃんとエドガーちゃんにも服を選んであげていました。

 二人とも、笑顔でシャーロットさんに抱きついています。

 あと、エドガーちゃんが喋るのもあと少しって感じがしていました。

 その他にも、マリアさんの服を買ったりと、シャーロットさんは色々な物を購入しました。

 僕の服は、出来上がり待ちだそうです。

 これで、買い物は無事に終了です。


「シャーロット殿下、ナオ様とお会いしてまだ日が浅いのにもう名誉爵位を頂いております。この後も、ナオ様はどんどんと出世していくと確信しております」

「私もそう思うわ。既に、スラム街で邪神教の摘発で大きな功績を上げているわ。来年には、法衣貴族になってもおかしくないと思っているわ」


 えーっと、何だか商人さんとシャーロットさんが不穏な事を話しているけど、僕はそこまで偉くなる気はないですよ。

 普通に冒険者活動が出来ていれば、多くを求めないですよ。

 なにはともあれ、無事にお買い物が終わって僕たちは王城に帰りました。

 そして案の定というか、勉強をしていたエミリーさんが僕と一緒に買い物に行きたかったとかなり落ち込んでいました。

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