第七十話 三人の裁判結果

 今日は皆さん公務で忙しいので、僕は一日屋敷にいる予定です。

 ここ暫くとっても忙しかったので、のんびりして体を休めた方が良いとみんなに言われました。


「じゃあ、行ってくるわね」

「いってらっしゃい」

「いってらっしゃーい!」

「キュー!」


 毎朝の訓練を終えると、ナンシーさんはドレスに着替えて王城に向かいました。

 もう成人に近いから、色々な事をしないといけないんだって。

 王族も王族に嫁ぐ人も、本当に大変です。

 では、午前中は書斎でセードルフちゃんのリクエストで一緒に絵本を読んであげます。


「じゃあ、最初はこの本にしようね」

「はーい」

「キュッ」


 子どもたちに大人気の、勇者様が悪い人からお姫様を助けるお話です。

 セードルフちゃんだけでなく、リーフちゃんやドラちゃんも一緒に絵本を読むみたいです。

 勉強するのは、とても良いことですね。

 一時間かけて、何冊もの絵本を読んであげました。

 カッコいい戦闘シーンがあるのが好きらしく、リーフちゃんとドラちゃんも大盛り上がりでした。

 スラちゃんはいつも通り平然としているけど、スラちゃんはこの絵本よりもずっと凄い戦闘をしていたもんね。


「わーい、こっちだよー!」

「キュー!」


 絵本を読んだ後は、庭で元気よく追いかけっこをします。

 セードルフちゃんは体を動かすのが大好きだし、ドラちゃんも力を取り戻すために積極的に動いています。

 リーフちゃんは、スラちゃんとスライム談義で盛り上がっていました。

 こちらも、とっても仲良さそうですね。


「「グー、グー」」


 そして、昼食後はみんな揃ってお昼寝の時間です。

 セードルフちゃん、リーフちゃん、ドラちゃんは、まだまだ寝る子は育つ年齢です。

 その間に、僕とスラちゃんは再び書斎に行って、色々な本を読みます。

 ヘンリーさんから貰った勉強の本や、冒険者として必要な知識が書いてある本を読んでいきます。

 スラちゃんは、なんと料理の本を読んでいました。

 そういえば、僕も料理はできないなあ。

 今度、レガリアさんとイザベルさんに相談してみようっと。

 こんな感じで時間は過ぎていき、夕方になるとナンシーさんが王城から戻ってきました。

 でも、何故か疲れ切っていてヘロヘロな姿です。

 その理由を聞くために、応接室に向かいました。


「ナオ君ならなんとなく分かっていたと思うけど、今日例の三人の裁判があったのよ。事件関係者として、私も出廷したのよ」


 実は、今日元パーティメンバーの三人関連で何かあったのかなと思っていました。

 というのも、ナンシーさんが王城に行くときは、余程のことがない限り僕も一緒に王城に行っていました。

 いつも、アーサーちゃんやエドガーちゃん、それにシャーロットさんと会っていました。

 でも、今日は僕は王城に行かずに屋敷でゆっくりしていたのです。

 それに、前に三人の裁判の時には僕は立ち会わない方が良いと言われていました。


「まあ、結果はこの前話した内容と変更はないわ。ただ、緑髪の魔法使いが法廷で魔法を使おうとして重犯罪者用強制労働施設送りとして扱われることが決定したり、ツンツン頭のシーフみたいなのが大暴れしたりと本当に大変だったわ。シーフも、重犯罪者用強制労働施設に送られるわ。裁判官の言葉が理解できずに、淡々としていた剣士の方がまだマシだったわ」

「それは、その、色々とすみません」

「ナオ君が謝ることはないわ。何か馬鹿な事をするのではと予想もしていたし、魔法使いは永久に魔法が使えないように特殊な魔導具を足につけられているわ」


 なんというか、裁判でとんでもないことが起きていたなんて。

 僕がいた時の方が、まだ理性的だった気がする。

 自分勝手なことをして、理性を失ってしまったんだ。


「あと、重犯罪者用強制労働施設に送られたということは、もしかしたら数年で駄目になってしまうかもしれない。それだけ厳しい現実が待っているのを、二人は理解してもらわないと」


 重犯罪者用強制労働施設は僻地にある鉱山や離島にあるらしく、施設の詳しい場所は機密扱いだそうです。

 過酷な環境なので、事故で亡くなる人も多くいるそうです。

 更に僻地なので囚人の性欲が溜まっているらしく、新人囚人は元の囚人から酷い扱いを受けることが多いという。

 尚且つ囚人の鬱憤が溜まっているので、暴行事件なども頻繁に起きている。

 その分、茶髪の短髪が送られる強制労働施設の方が遥かに治安は良いそうです。

 判決文を理解できなくて助かったなんて、逆に恥ずかしいことだけど。

 ともあれ、三人は既に王都からそれぞれの強制労働施設に護送されているそうです。

 そして、二度と地元と王都並びに主要都市へ足を踏み入れる事も禁じられました。


「ナオ君は、ナオ君の人生を歩むのがとても大事なのよ。今まで色々とあったけど、これからは自分のために生きないとならないわ」


 確かに、地元にいた頃からあの我が物顔で威張り散らかしていた三家に物凄く迷惑を受けていた。

 今後地元がどうなるかは分からないけど、少なくとも僕は冒険者として頑張らないといけないね。

 新しい仲間も増えたし、まだやることは沢山ある。

 今は、目の前で起きている黒い霧対策を頑張らないとね。

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