第四十三話 忙しい一日の終わり
王城に着くと、僕たちは侍従の案内で王族用の部屋のあるところに進んで行きました。
そして、王族専用の食堂に案内されました。
えっと、僕がこの食堂に入ってもいいのかな?
「ナオ君は、今日一日頑張って奉仕活動をしたから何も問題ないわよ。それに、男性陣は全員食べ終えているみたいだし、席は空いているわ」
王妃様の許可も貰ったので、さっそく他の人と共に食堂に入りました。
すると、車椅子に乗ったシャーロットさんが、昼食を食べ終えるところでした。
「あら、みんな帰ってきたのね」
「シャーロットおばあさま、ただいま」
「あー!」
直ぐに、元気いっぱいな二人がシャーロットさんのところに行きました。
あっ、そうだ。
シャーロットさんにも、キチンと話をしないと。
奉仕活動も、シャーロットさんが病気になって以降は王家のみんなでフォローしているんだもんね。
「あの、シャーロットさん……」
「ナオ君、話は聞いているわよ。元メンバーのことだから、優しいナオ君が気にするのも分かるわ。でも、私としてはみんなを守ってくれてありがとうって言いたいのよ」
ニコリとしたシャーロットさんに先手を打たれて、僕は何も言えなくなってしまいました。
流石は王太后殿下ですね。
せっかくシャーロットさんが気を使ってくれたので、僕もこれ以上何も言いません。
「私としては、早くリハビリをして商会に行ってナオ君にお洋服を買ってあげたいのよ。商人を呼ぶのもいいけど、直にこの目で確かめてみたいの」
更に、シャーロットさんは前にも話した僕の服のことをニコリとしながら再び話しました。
シャーロットさんの良い笑顔の裏には、断固たる決意があるように思います。
そして、シャーロットさんは、侍従に車椅子を押されながら自室に戻っていきました。
「さあさあ、ナオ君も昼食を食べちゃいましょう。せっかくの食事が冷めてしまうわ」
「「もぐもぐ」」
マリアさんに促されて、僕もミートソースを食べ始めます。
お肉も美味しいし、トマトも効いていてとても美味しいですね。
何よりも、麺がモチモチしています。
気を張っていて気が付かなかったけど、お腹が空いていたのであっという間に食べちゃいました。
ガチャ。
「おお、ちょうど昼食を食べ終えたところだな」
全員が昼食を食べ終えたところで、今度は男性陣が食堂に入ってきました。
陛下も入ってきたけど、何かあったのかな?
もしかしたら、あの三人の話なのかも。
「今日は色々あったようだが、事件が起こったばかりだから聴取を進めてから改めて話すとしよう。あの馬車もちょうど定期点検に入るところだったから、割れた窓ガラスも何も問題ないぞ」
「えっ、定期点検、ですか?」
「王家が使用するから、普段から定期的にメンテナンスをしている。そして、投石など普通にあり得る。今日の一件は、良い対策を講じるきっかけになる」
おお、陛下がカッコよく言っているよ。
陛下的には、馬車の窓ガラスが割れるなどあり得ないんだ。
あっ、でも教会の窓ガラスはどうしようか……
すると、この件も陛下が対応済みだと言ってくれました。
「小さな男の子が一生懸命に治療していると町の人が感動して、教会に寄付が沢山寄せられたそうだ。窓ガラスなど、簡単に修繕できよう」
「小さな男の子って、もしかして僕のことですか?」
「ナオ以外におらぬだろう。それだけ、治療が好評だったのだ」
教会の件も何とかなりそうで、本当にホッとしました。
集中して治療していたから、全然気が付かなかったよ。
そして、今後のこともヘンリーさんからありました。
「私たちの活動は、週明けから再開する。あの三人が捕まったので、ナオ君も普通に活動して良いよ。だけど、三人の処分が正式に決まるまではオラクル公爵家に滞在した方が良いだろう」
「僕も、暫くは薬草採取と治療とかをメインに行おうかと思います」
「その方が良いだろう。まあ、他の面々がナオ君と一緒に活動したいと思うよ」
ヘンリーさんのいう通り、ナンシーさんとエミリーさんがニコニコしながらアピールしていました。
となると、明日はヘンリーさんとシンシアさん以外のメンバーで薬草採取をすることになりそうですね。
「「すー、すー」」
「ふふ、二人ともいっぱい頑張ったから疲れちゃったのかしらね」
予定も決まったところで、アーサーちゃんとエドガーちゃんが寝ちゃったので、僕とナンシーさんはここで解散となりました。
僕とナンシーさんは、馬車に乗って屋敷に帰りました。
すると、こちらもまた眠そうなセードルフちゃんが出迎えてくれました。
「ねーね、にーに、おかえり……」
「セードルフちゃん、ただいま。随分と眠そうだね」
「うん……にーにとねるー」
もう目がしばしばなセードルフちゃんに手を引っ張られて、ずんずんと屋敷の中を歩いていきました。
これにはナンシーさんも、思わず苦笑いです。
「ナオ君、今日は疲れたんだからお昼寝した方が良いわよ」
「うん、にーにとおひるね……」
何故か僕じゃなくセードルフちゃんが答えていたけど、確かに今日は精神的に疲れちゃったのかもしれない。
セードルフちゃんは僕の部屋に入ってきて、もぞもぞとベッドにもぐりこみました。
そして、僕も一緒にベッドに入ると、一気に眠気が襲ってきました。
スラちゃんも、枕元でスヤスヤと眠り始めました。
「セードルフ、ナオ君、お休み」
そして、ナンシーさんが部屋の魔導具の灯りを消しました。
何だか本当に大変な一日だったけど、色々な事が変わりそうな一日でした。
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