第15話 突然ですが、迷子になります
どうにかして、門の中へ入ることができた。
モノウィッチが追いつき次第、杖回収のためにギルドへ向かうことになるだろう。
私をおぶっているオートデンが胸を撫で下ろす。
「ふう、なんとか入れたな。しかし師匠、なんで攻撃の来る向きがわかったんだ?」
オートデンがこちらに顔を向け尋ねてきた。
「攻撃の向き?」
ああ、さっき敵の魔法を避けたときの話か。
「それはだね、予備動作を見るのだよ」
「予備動作?」
「うむ」
魔法を使った攻撃には一定の予備動作がある。
それを見極めることで、攻撃の向きやタイミングを予想できる。
オートデンが関心して息をつく。
「予備動作なんて私は全くわからないぞ! 腐っても元宮廷魔術師ということだな」
「ふふん、もっと褒めろ! 私は他にもなんでも知っているぞ。例えば今こちらに向かってくるあのワイバーンが吐いているファイアーブレス、見えるかい?」
「見える見える」
「これを打ち消すにはどんな詠唱をすればいいかといえば……」
「どうすればいいんだ?」
オートデンは目を輝かせ興味津々に聞いてくる。
……ちょっと待て。ファイアーブレス?
気がつくと、ものすごい勢いでワイバーンのファイアーブレスがこちらに向かってきていた!
「「ああああああああああああ!!!」」
オートデンと私の悲鳴が共鳴する。
「オートデン、今すぐ魔法詠唱しろ!『
「え、え? な、なんて!?」
「だから『
「えーと、
「違う、『
「ええっと、
「いや違う、
「よし師匠! 私は普通に避ける!」
「奇遇だな私も今同じことを言おうと思っていた!」
そして私たちは全力疾走をはじめ、ギリギリのところに着弾した炎によって吹っ飛ばされた。
- -
(モノウィッチ視点)
衛兵を
がしかし、入ってみると辺りは炎に包まれていて2人の姿は見当たらなかった。
まさかもうやられた? いや、
が、生きていても迷子とは少々厄介なことになった。
空を見上げると、十枚羽グレイワイバーン
おそらく研究所から脱走したという個体だ。
ここら一体の惨状も彼らの仕業だろう。
これは……
先生が魔法を失ってからの初戦としては、当初想定していたシナリオよりかなりハードな状況だ。
しかしオートデンという思いがけない戦力も手に入れた。
それを勘案すれば、先生の「今」の実力を見る良いチャンスとも言える。
「さて、2人はどこをほっつき歩いているのでしょうか……」
私がそうつぶやくと、一匹のワイバーンがこちらへ火炎を打ってきた。
私は迷わず魔法の詠唱を開始する。
「──『
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