第14話 突然ですが、街の中に侵入します
「先生、ランクアップのチャンスを逃すわけにはいきません。彼らには悪いですが、ここは強行突破と行きましょう。認識阻害をかければ後日バレることもありません」
「……そうだね。良識ある大人として人に迷惑をかけるのは非常に心苦しいが、しんどいのだが、世界を救うためには致し方ない」
私が応答するとモノウィッチも頷き、オートデンの方を振り向く。
「オートデン、少し手伝ってもらいます。私が衛兵に攻撃を仕掛け引きつけますので、その隙に先生をおぶって守りながら侵入してください」
オートデンは面食らった顔をする。
「え、私も一緒に行くのか!? なんで私が先生を……」
「いいですか、オートデン。魔法が使えない今の先生の身体能力は、一般人以下・愚鈍・貧弱そのものです。おぶって守らなければすぐ死にます。大丈夫です、幼児体型なのでそれほど重くないはずです」
なんかすっげえ悪口言ってないか、こいつ。
一方のオートデンは不安そうながらも頷く。
「わ、わかった。ただしそっちもしっかり頼むぞ!」
「ええ。では、いきます」
そう言ってモノウィッチは私たちの顔が割れないよう認識阻害術をかけた後、衛兵たちに向かい魔法を放つ。
ド、ド、ドーン! と各方面から着弾の音が響く。
それと同時に、衛兵たちも騒ぎ出した。
「だ、誰だ! おい何者かから攻撃されたぞ、応援求む!」
「認識阻害のせいで誰かわからん! 早く捕まえて正体を暴け!」
「まったく、こんなときに」
まじでごめん。
ともかくその隙にオートデンは、私をおぶって門の方向に走り抜ける。
しかし、
「そのお前、止まれ! ……おい皆、不審人物が門へ侵入しようとしている!」
まずい、気づかれた。
複数人の衛兵がこちらに斬撃や魔法を放ってくる。
「オートデン君、まずいぞ気づかれた……あっ!」
ある衛兵の放った炎が、こちらに真っ直ぐ向かってくることに気づく。
「オートデン君、右によけろ!」
「え、右か!?」
オートデンは一瞬困惑したものの、すぐさま右に動く。
その直後、火炎は私たちの横ギリギリを通り過ぎていった。
しかしそれも束の間、すぐさま他の衛兵が攻撃動作に入る。
「次、左から来る!」
「お、おう!」
私は周囲の衛兵の動きを見極め、次々と指示を出す。
「しゃがんで! ──そしたら顔あげて今度立ち止まって──次左ジャンプ、で正面に向かって飛び上がって……」
オートデンは私の指示にしたがい、次々と攻撃を避ける。
衛兵たちが驚きの声をあげる。
「なぜだ! 攻撃が当たらん!」
そうしてどうにか、門の中に入ることができた。
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