最終タスク S組を守れ

私のヒミツ

「もうやめて。ミハル姉さん」


「つく姉ちゃんが、悲しんでいるよ」


「いますぐ、その口を閉じろ」


 恵くん、樹ちゃん、太陽が、私を守るように立ってくれた。


「聞かれたから答えただけよ。つくねを傷つけることは私の本意じゃない。……だって、つくねこそ私たちが望んだ被験体だもの」


 ミハル姉は、みんなを順番に指差していく。


「あなたたち3体が力を目覚めさせたのは……つくねにふれて、心を通わせたとき。力が目覚める引き金は、つくねの存在だった」


 最後に私へ指を向け、ミハル姉が自信たっぷりに言いきった。


「私も見誤っていたわ、つくね。あなたには、人の特別な力を引きだす力があるのよ」


 恵くんも、樹ちゃんも、太陽も、特別な力を持っていた。それは、私といっしょにいたから?

 

 だれかの力を開花させ、進化させて、覚醒させる。それが、私のヒミツの力……?


「地球人にも同じ効果があるのか? どんな使い道があるのか? つくねを調べあげることが、次なる私の研究! だから……もう、S組はいらない」


 困惑する私たちを見て、ミハル姉は自分のSウォッチを操作する。


 ……バチッ!


「うっ……!」「い、た!」「ぐッ!」


 音を合図に、3人が苦しそうな表情でたおれる……!


「電気ショックで、気を失っているだけ。これが『Sウォッチ』の本来の使い方よ。この安全装置がないと、宇宙人と同じ空間で生活なんてとてもできないわ」


 ミハル姉は、自分の左腕に着けたSウォッチをかかげる。


「つくね。あなたには使わないから安心して?」


 なんて、ミハル姉が私の肩に手を置いてくる。


「……私は、これからどうなるの?」


「今日の夜にでも、私と銀ヶ島を出てもらうわ。管理局の本部で、実験に協力してくれるかしら?」


「イヤだ、って言ったら?」


 ミハル姉は肩をすくめた。そしてポケットからスマホを取りだし、どこかに電話をする。


「始めて」


 ドドドドド……!


 遠くから、なにか聞こえる。大きな物がこわされる、不安にかられる音。


「まさか……!」


 私はミハル姉の手を払って、旧校舎に向かった。

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