犯行の瞬間をとらえた!?

 カメラがとらえた瞬間は、ふたつ。


 ひとつめは、植木鉢が七星と私に落とされたときの映像。上から花壇を映していたカメラに……ベランダから私たちを見おろす、太陽がいた。


「太陽ってこの日、休養日で旧校舎にいたはずよね? どうして、本校舎のベランダにいるのかしら?」


 ふたつめは、コマコちゃん捜索中の映像。太陽が赤色のリボンを、木の枝にくくっているような姿勢で映っている。カメラに気づいて、急いでリボンを取ったようにも見える。


「捜索を混乱させるため、リボンをほどいてコマコをわざと逃がしたのかしら? ペアを組んでいた雲沢さんのカメラに映って、しかたなく証拠として持ちかえってきた……?」


 ミハル姉の推理が、私の耳には入ってこない。


「私はもう少し映像を調べてみる。つくねは、カメラを雲沢さんに持っていってくれる?」


 ミハル姉が私にカメラと保管用バッグを差しだす。


 カメラはズシンと重みがあって、私の気持ちもしずんでしまう。


 私や七星、恵くんと樹ちゃんが危険に巻きこまれた事件は、太陽が起こしたことだった?


「そんなの、イヤだ。信じたくない……信じない!」


 そのとき、ひらり、とカメラバッグから一枚の紙が落ちた。りこさんのメモかな?


 折りたたまれた紙を拾うとき、中の文字が見えてしまった。


「…………!」


 私はカメラを抱えたまま、走りだす。


 その紙には新聞の切り抜きがはりつけてあって、こんな文章になっていた。


『旧体育倉庫で、真実を伝える』

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る