学園投票 ラストスパート!

想定外の理由はなに?

「……動物に変身する、力。信じがたい話ね」


 旧校舎の図書室で、私は机をはさんでミハル姉とお話し中。ミハル姉は私と目を合わせながら、カタカタカタッ! とキーボードをすっごい速さで叩いている。


「ウソじゃないよ! あのとき、樹ちゃんが私を助けてくれたんだ!」


 コマコちゃん捜索のタスクが終わって、数日。私はミハル姉に、あの日に起きたことをまるっと全部打ちあけた。


「つくねを疑うわけないでしょ。あなたの言葉だったら信じるわ」


 にっこりとほほえんでから、ミハル姉は指を止めた。


「でも、妙な話ね」


「みょう?」


「樹の秘密の力は、動物の言葉がわかるものだと思っていたわ。それだけでも、特別スペシャルなのは変わらないけれど」


 ミハル姉が、あごに指を当てて考えはじめる。


「動物に変身なんて、想像もできなかった。急に力が進化した……?」


 研究者モードのミハル姉も絵になるけど、私たちの声が届かなくなるのが玉にきず。


「恵士郎も天候をあやつって……学園投票が始まってから……そんな外的要因じゃない……もっと違う法則性……力が変化する理由は……?」


 こうなったら、ミハル姉は長いんだよね。もう私の存在も忘れちゃっているみたいだし……忍者のような足取りで、図書室のドアに手をかける。


「つくね」


「はいぃ!」


 背すじをのばして、返事! 銀ヶ岳から帰った次の日、樹ちゃんといっしょにこってりしぼられたときのトラウマが、まだ残っている……。


「……どうやら、最後のタスクが始まりそうね」


 ガガ、と、スピーカーが音を鳴らす。


『生徒会長、北斗七星より連絡です。S組のみなさんは至急、本校舎生徒会室まで集合してください』

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