タスク② 迷子の看板ネコを見つけよ

動物博士と看板ネコ

ウェルカム! 銀ヶ島動物園

 本校舎からバスにゆられて10分ちょっと。私たちは『銀ヶ島動物園』にやってきた。


 離島の環境を活かし、ここにしかいない動物との交流が楽しめる、学園の人気スポットだ。


 園内を進んでいくと、ゾウやキリン、ライオン……オリの向こうのみんなはポカポカ陽気で日向ぼっこをしている。とっても幸せそう。


 ただ、おくのおくまでたどり着くと……うなり声が聞こえてくる。


 真っ白の毛並みと、2メートル超えの引きしまった体に、むき出しのとがったキバ。


 この動物園で一番人気の、ホワイトタイガーのユキノちゃん。クールな澄まし顔で見に来る人にそっけないけど「そこがイイ!」と私たちをメロメロにする、美人(美トラ?)さん。


「……グル、ル」


 でも、いまは私たちに敵意を向けている。オリがなければ、飛びかかってきそう……!


「ユキノ? つく姉ちゃんたちはおれの家族だ。いかくなんか、しちゃダメだぞ」


 となりに立ってアゴを優しくなでるのは……樹ちゃん。


 たったそれだけのことで、ユキノちゃんはゴロゴロとのどを鳴らして、上機嫌になった。


 クールビューティーな動物園のアイドル、ユキノちゃんは私たちにツンツンしているけど、樹ちゃんにだけはデレデレなんだ。……ちょっとうらやましい。


「つく姉ちゃん!」


 お昼寝タイムに入ったユキノちゃんの横で、樹ちゃんが手をふってくる。


 ……今度のタスクのカギは、この樹ちゃんがにぎっているんだ。

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