守る。それが、私にできること
「え」
私以外、だれも気づいていない。植木鉢の落下地点にいる、七星さんも。
『S組に関わるな。さもなくば、災いがふりかかる』
脅迫状の文字が頭の中でぐるぐるまわって、体中からイヤな汗がふきだす。
「あぶないッ!」
さけぶと同時に、私は走りだしていた。間に合え、間に合え。間に合え!
体ごと飛びこんで、私は七星さんを突きとばす!
……ガチャン!
私の腕にぶつかって、植木鉢が割れた。突然のするどい音に、みんながこちらを見る。
「っ……!」
おさえた腕が熱を持つ。痛い。痛い……!
「た、竹鳥さんっ? いま、なにが? 植木鉢が落ちてきて、わたくし、その下に……?」
七星さんが、駆けよってきてくれた。そばに膝をつく彼女に、たずねる。
「……七星さん、大丈夫? ケガ、ない?」
「わ、わたくしではなく、あなたの方が!」
「ケガ、ないよね?」
私がもう一度、強い口調でたずねる。七星さんは、こくこくとうなずいた。
……よかった。なにもない私でも、いまだけはだれかのための私になれた。
痛くて、苦しいけど、なんだか……うれしい。
「危険ですわっ! 全員、花壇からはなれなさい!」
七星さんのするどい声が飛ぶ。
「校舎に近づいてはいけません! みなさん、頭上には十分注意を……」
言葉がとぎれた。……今度は七星さんが、落ちてくる植木鉢を見てしまったから。
「きゃあ!」
頭を抱えてしゃがむ七星さんの前に、私は立つ。彼女を背中にかくして立つと、植木鉢は目の前まで来ていた。
ぎゅ! と、目をつむる……!
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