ふりかかる災い!? 新たな脅迫状

花壇にささる悪意

「さぁ、今日も今日とて花壇づくり! S組、出動ーっ!」


 花壇製作を始めて、今日で5日目。いままでは放課後しか使えなかったけど、今日は週末だから一日中製作に当てられる!


 意気揚々と旧校舎を飛びだす私に続くのは……恵くん、ただひとり。


「ほかのみんなは?」


「ミハル姉さんは、学会に提出する研究論文がたてこんでいるらしい。樹は、生物委員会の方で急ぎの用があるからそっちに行ったよ。あと、太陽は……休息日だって」


 みんな、用事があるのか……と思ったけど、太陽はただのお休み!


「もう、太陽めぇ……」


「あはは。太陽は運動部に引っ張りだこだから、休ませてあげよう」


 なんて言いながら、ふたりで到着。すでに来ていたみんなは花壇の一か所に集まって、ひそひそ、まわりの人と話している。


「なにか、あったのかな?」


 心配そうな恵くんといっしょに、人だかりの中心をのぞきこむ。


 花壇に、立て看板が突きささっている。画びょうで止められた紙には……こんな言葉がならんでいる。


『S組に関わるな。さもなくば、災いがふりかかる』


 これって、2枚目の脅迫状? 不吉な内容で、手伝ってくれる人を怖がらせている。


「私、今日、やめておこうかな……」「オレも、調子悪いし」


 ちらほらと声が聞こえて、花壇から人がいなくなってしまう。こんなことで、ジャマされるなんて……


 悔しさに歯を食いしばっていると、手を叩く音が飛んでくる。


「みなさん、なにをしていますの? 時間は有限ですわよ!」


「七星さん!」


 肩で風を切って歩いてくる七星さんは私たちを押しのけて、ズボッ! と立て札を引っこぬいた。


「こんなものにおびえているヒマはありませんわ。学園の課題を解決するため、力を貸してもらいます。いいですね、みなさん!」


 残った人たちは、七星さんの気合いの入った言葉に大きくうなずいた。


「ありがとう。では、作業の準備を進めてください。りこは校舎に上がって、花壇全体の映像も残しなさい」


 みんなを指揮する姿に、私は思わず、ぽろっとつぶやいていた。


「……かっこいいな。七星さん」


 七星さんはS組をはなればなれにしようとする、張本人。でも……敵なんかじゃない。


 同じ学園にいて、同じジャージ姿で、同じ作業をしてくれる。いっしょに土まみれになってくれるリーダーだから、ついていく人も多いんだろうな。


「そうだね。北斗さんのおかげで、協力してくれる人もまだまだたくさんいる。天気は快晴。絶好の花壇完成日和だ」


「よしっ、災いなんか吹っ飛ばしちゃおう! もしものときは、私がみんなを守るんだからっ!」


 がんばるぞぉー! と、勢い勇んで一歩踏みだして……


 コツン! ガラン! ドザァー……!


 石につまずいて、台車めがけて転んだ私は、積まれていた土をぶちまけてしまった。


「なにをしているのですか、竹鳥さんっ!」


「ご、ごめんなさぁい!」

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