第17話 鑑定(後)
そしてやっと王様とのお話が終わって王都の商業街へ行きました!
わたしは、串焼きを食べたいとお祖父様におねだりをしました。
「じぃじ。わたし、串焼きが食べたいの。きっとあそこのお店のお肉は柔らかくて美味しいと思うの」
「そうか、あそこのお店の串焼きが食べたいのか!エルーシアちゃん。お店ごと買おうかな?」
お祖父様は顔がデレにデレています。
「じぃじ。それは、辞めた方がよろしくてよ。エルーシアちゃんがドン引きしていますわ」
お祖母様はドン引きするわたしをみてそう言ってくれました。
お母様は、その店がオーク肉の串焼きもあったので、一瞬すっごく残念な顔をしていましたが、わたしとメリアが狩ったオーク肉が美味しいのですぐに興味がなくなったようです。
そしてわたしは、お母様に
「馬車から降りて直接買いにいきたいです。お母さん一緒に行ってくれませんか?」
「お義父様、お義母様、エルーシアちゃんを連れて馬車から降りてもよろしいでしょうか?」
「護衛達も一緒であればかまわないぞ、エルーシアちゃんよりも強い人間は中々いないと思うが念のためじゃ」
お祖父様の許可が出たので、馬車を止めてもらって馬車から降りました。
お母様と手を繋ぎながらお店の方に歩いていると
お金持ちっぽい女性のまわりをうろちょろする中年のおじさんを見つけました。
「あれ?あの人なにうろちょろしていんだろう?お母様あの人怪しいですね?」
「あら?エルーシアちゃんもそう思うのね。でわ、あの男性を鑑定したらどうかしら?きっと天才のエルーシアちゃんなら出来るようになるわよ!」
「お母さん。天才じゃないけれど、鑑定?してみます」
《あの男の人はどんな人なの?教えて》
〔エバーハルト 34歳 レベル3 難民 ○○のお父さん 鑑定士になれる要素あり
健康状態は空腹 今、女性の財布を盗もうとしている〕
(ん?ということはまだ、犯罪はしていないのね)
私はトトトと歩いて、何も考えずその男の人に声をかけました。
「こんにちは、おじさん。わたしは見た通り貴族の娘ですが、あのお店の串焼きを買いたいのですが、買い方がわかりません。
この銀貨で買えるだけ買って来てもらえますか?」
そのおじさんはびっくりしたようですが、銀貨を持って買い物に行ってくれました。
おじさんはヨダレを流しながらも袋に入った串焼きをわたしに渡そうとしています。
「エバーハルトさん。その串焼きは貴方と家族に差し上げます」
「え! もらえるのか? って言うよりもなぜ俺の名前を?」
「はい、その串焼きはご家族でお召し上がりください。
そして貴方にお願いがあります。
この先にヒーナという商会がございます。
2時間後にご家族と来て頂けませんか?
そこで貴方の今後についてお話があります」
「え? 俺のような者が貴族様と話すことはないとおもうがな。
それに名前は名乗っていないのだがどうしてわかった?」
「ふふふ。わたしのこの力の一部は貴方も使えるようになります。
ですから名前がわかったのは、商会でお話しさせて頂きます。
貴方は、悪いことをしようとしましたが、銀貨を盗むことなく、きちんと串焼きを買ってきてくれました。
貴方は、ベルティンブルグ公爵家の仲間に入ってもらいたいのです。
串焼きで家族のお腹を満たしたら是非ヒーナ商会にお越しください
お待ちしています」
そしてわたしは、彼に背を向けて馬車に乗りました。
ふっと軽く後ろを見てみると
エバーハルトは私に向かって手を合わせ
「ああ 女神様」と呟いています。
わたしはその声を無視して馬車を動かしてもらおうと思いましたが、手を繋いでいたはずのお母様がいません。
お母様は、1人(護衛はついています)で串焼き屋さんに行って、オーク肉の串焼きを7本買ってきました。
(私たち4人なんですけど・・・)
お母様は、ニコニコして、お祖父様、お祖母様そしてわたしに1本ずつ串焼きを渡しました。(ああ、お母様はお一人で3本食べるのですね)
オーク肉の串焼きを食べ終わった後、お母様とわたしが共同出資したスイーツのお店など軽く食べ歩きをして、ヒーナ商会に行きました。
わたし達が到着して数分後、エバーハルトが、ご家族を連れてヒーナ商会に来ました。
そして、彼には優れた鑑定士になれること、ベルティンブルグ領で働いてもらうと公共の住宅で生活してもらって、給料もきちんと出すこと、そして子供達は、10歳になると学校で学びながら働けることなど説明をしました。
そして、4人はわたしを拝みながら領地で働いてくれる事を承諾してくれました。
彼の家族、奥さん、息子、娘とともにわたしたちと同じ日にベルティンに行くことが決まりました。
わたしは今日、鑑定魔法が確実に使えることが判明し、鑑定士を手に入れました。
みんなと遊びに行けなかったご褒美なのでしょうか?
お母様は、わたし達3人を残し串焼き屋さんへ再び行き、再びオーク肉を買ってきていました。
(もう、お母様ったら。そんなに好きならオーク肉の専門店でも作れば良いのに・・・)
わたしはそんなことを考えていました。
因みに、早朝から観光に行ったみんなをわたしは羨ましいと思いましたが、観光に行ったみんなはお城に行ったわたしを羨ましく思っていたようで、あれこれお城や、王様などことを聞かれました。
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