第2話 アルバイト
不審者事件が起きてどれくらい経っただろうか
忘れてはいけない事だが
人は時間をかければ記憶が薄くなる生き物だ
もちろん、ぼくも例外では無い
あの後、不登校になり通信制の高校に入学した
親、先生、カウンセラーさんと話し合いを重ねて今年の4月から大学生となった
久しぶりに長時間、外に出て街の空気を吸い
満員の電車に乗り込んだ
心臓がドキドキしている
あの事件以来、外に出る事が出来なくなっていた。
誰かに見られているとか
誰かに僕の悪口を言われている気がするとか
そう言う事ではなく
ただ、出れなかった
弱い男だと思う、、、
やはり、人の脳は単純なものだ
4月に入学し
5.6月とサボらずに大学に行っていたら
脳と体は慣れてしまっている
今までの時間は何だったんだろうか
そして、
7月になり
夏休みとなった
8月、大学生の夏休みは長く
何をすれば良いか分からないでいた
すると母から
「暑いね今年も、何もやる事ないならさぁ
もう一歩進んでみようか?、アルバイトしてみたら」
確かに、今の僕なら出来るかも知れない
大学は遠く友達を作る気も無いし、1人で居た方が楽だ
近所でアルバイトを探す事にした僕は
とりあえず、歩いて10分くらいにあるファストフード店に面接を受ける事にした
トントン拍子に話が進み採用してもらえた
必要書類を貰いアルバイト初日の設定をして面接を終えた
一応、母にアルバイトが決まった事を伝えた
「良かったね、無理しない程度に頑張りな」
嬉しそうな顔だった
4年間も引きこもって本当に心配かけたと思う
時間はかかるかもしれないけど4年間の空白の時間を取り戻せたらと思うから
アルバイト初日を迎え僕は店まで歩き
挨拶をした。
今日からお世話になる
佐藤楓(さとう かえで)です。
宜しくお願いします。
宜しくね、佐藤くん
と店長の丸山さんが言うと
テンション高めの女の子が
「よっ!楓っち!宜しくねん」
その子の名は
須田こずえ(すだ こずえ)さん
僕の2個上でフリーター
「楓っちのトレーナーを担当しまーす!」
「宜しくねぇ!」
はい、宜しくお願いします。
とても、元気があって
可愛らしい女性だ
僕は多分、好きになる
でも、なんか怖い
また、あの事件の様な事が起きたらと思うと
好きになっては行けないと考えてしまう。
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