酒の追憶というか現在進行
酒が好きだ。
こう言うと、私のことを知っている人間は全員こう答える。
知っとるわ。
そのくらい、酒が好きである。
私の人生は、酒を中心に回っている。
運転免許は取ったものの、車で出かけると酒が呑めない。
だから車を買う気は無いし、旅行には公共交通機関を使う。
祭りや宵宮が好きだし、キッチンカーの出るイベントも好きだ。
でも、酒の屋台が無いなら行かない。
行っても、その場では食べずに持ち帰って、アパートで酒を呑みながらいただく。
バーベキュー?
酒禁止なら、参加しません。
評判のカフェ?
レストラン?
酒が無いなら、料理が美味しくても私にとっては星ひとつの店です。
流行病の渦中で呑み屋がやっていなかった際は、ひたすら家呑みで乗り切った。
飲食店に酒の提供を控えるように通達はできても、個人の飲酒までは取り締まれない。
日本の法律なんて、つくづく無力なものだ。
というか、実際に自分が流行病になった時も、頭にあったのは酒のことだった。
アマゾンの置き配サービスを利用し、酒をケース買い、ボトル買いしてひたすら呑んでいた。
これで回復したのだから、酒は私の体にとって唯一無二の
事実、酒を呑みだしてからの方が人生がうまく行っている。
就職浪人したけれど、繋ぎで始めたアルバイトでは仲間に恵まれて楽しく働くことができた。
就職した地元企業は、昭和気質な人も多くて面倒なこともあるけれど、ホワイトだから定時上がりが当たり前で休日出勤や残業は滅多に無い。
結婚したい理想の男性像を聞かれた時、迷わず「私より呑める人!」と答えて「難しいね…」と返されたが、今は呑み屋で知り合った私より酒に強い人と婚約している。
恋人は酒呑みの気持ちがわかるので、二日酔いの時も世話をしてくれるし、溜め込んだビールの空き缶を捨てるのを手伝ってくれるし、料理ができない私にツマミも作ってくれるし、ハシゴ酒も付き合ってくれる。
歴代の彼女の話を聞く限り、単なるダメ女好きのような気もするが、ダメ女な私が良妻賢母(笑)になる可能性は0どころかマイナスなので別に良い。
酒で失敗したこともあるし、酒で壊れた人間関係もある。
でも、後から思い返せば、別に惜しくもないものばかりだ。
呑み会でセクハラかます同期?
いらん。
1人呑みしている私に、ネチネチ説教始める呑み屋の店主?
いらん。
「社会人として…」と、クソ不味くて高いスナックでの2次会参加を強要する先輩?
いらん。
酒が入ると気が短くなるので、我慢というものが格段に難しくなる。
普段から余り我慢せず、好き勝手振る舞っている私なので、こうなってしまうと更に酷い。
便利なのは、私にとって面倒な輩が自分から距離を置いてくれることだ。
「こいつはもうダメだ」というのがわかるらしく、無理にでも私を改心(笑)させることを早々に諦めてくれるのである。
興味が無いからSNSの類は一切やっていないし、誰からどんな悪口を言われても構わない。
聞こえない悪口は言われていないのと一緒だし、そんなものに囚われるくらいなら酒でも呑みながらタランティーノの映画を観るなり、ブコウスキーの小説を読むなりした方が楽しい。
そういえば、酒のお陰で助かったこともあった。
気持ちよく泥酔していた時、元彼(今の婚約者とは別人。クソ)が訪ねてきて、しつこくインターフォンを鳴らされたことがあった。
酒に酔っていた私の怒りは一瞬で臨界点に達し、インターフォンのマイクをオンにすると、
「警察呼ばれてーかクソが! 死ね!」
元彼が背中を丸めてトボトボ帰って行くのを、インターフォンのカメラ越しに眺めていた。
アパートの2階に住んでいたので、元彼から貰った限定グラスをベランダから投げつけてやろうかと思ったが、片付けが面倒だから思い留まった。
結局、グラスはビニールに何重にも包んで、玄関で叩き割った。
以来、クソ元彼の襲来は無い。
気せずして、ストーカーを未然に防ぐことができたのだ。
酒様々である。
酒には感謝してもしきれない。
早死にしたって構うものか、私は酒の為に生きて、酒の為に死ぬんだ!
中国の故事で、こんな物語がある。
裕福だが大酒飲みの男が居た。
男はある僧に「酒の虫に取り憑かれている」ことを指摘され、虫を取り除いてもらう。
酒の虫がいなくなった男は酒を呑まなくなったが、どんどん不健康になり、財産も失って貧しくなってしまった。
男に取り憑いた酒の虫が、自分が長く楽しみたいが為に、男の人生に影響を与えていたのだろう。
私にも酒の虫が憑いているかもしれない。
【追記】
元彼を追い払ったのを酒のせいにしましたが、シラフでもやらかしていました。
土曜日、気持ちよく2度寝していたところ、訪問販売にインターフォンを押され、「暇じゃねーんだクソが! 消えろ!」と怒鳴って追い返したことがあります。
実際に2度寝で忙しかったとは言え、シラフでもやってしまいました。
反省はしません。
訪問販売も、これ以降来ておりません。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます