ギルドの受付の人は強い
「あっ、おいブルーウッド! こっちだこっち!」
武具屋から2人を慌てて追いかけると、『冒険者ギルド』と書かれた看板のかかった建物の入り口で勝が手を振っていた。
「悪い、武器買ってて遅れた」
「いや、それはいい。買った方が言って行ったのは俺だからな。で、ここが冒険者ギルド、突発的なそれこそユニークなどのクエスト以外ではここでクエストを受諾する」
なるほど、ここが。
中に入ってみると思っていた以上に広い。
2階とかもあるから広さで言えば学校の体育館くらいかな?
「おぉ、ここがそうなのか! そんでどうやってクエスト受けるんだよ、勝!」
「落ち着けってグラス。別に難しいことじゃない。そこの受付に女の人がいるだろ?」
俺はその言葉を聞き、目線を向ける。
確かに受付に女の人が5人くらいいる。
「あの人に話しかければクエストを受けられる。受けられるクエストはランクごとに決まっていて同ランク、もしくは一個上のランクまで受注することができる」
「ランク?」
「そう、ランク。このゲームではランクという制度がある。まぁ、ようはラノベとかのアレだ」
勝曰く、ランクは武器と同じくEからAランクまであるらしい。
でも、ギルドでの貢献度、戦闘力の総合での上位10人は特別にランクSがある……かもしれないらしい。
「まぁ、噂程度のものだ、気にしないでくれ」
いや、俺はそれでいいけど、あんたの横にそれで済まない奴が1人……
「S!? Sランク!」
勝がそれに反応してみた瞬間に勝が言わなきゃよかった……と言う顔を浮かべる。
あぁ、ダメだ。
多分……おそらく、間違いなく暴走する!
「えー、ブルーウッド。まずこいつが間違いなく暴走するから金を稼ぐついでに見張っとく。グラスとお前じゃ職業や種族が違うからな。ここからは別々行動といこう」
「うん、そうしてくれ。じゃなきゃグラスは暴走するからな」
「……抑えられるように頑張るわ……って! おいまてグラス!」
そうやって追いかけていく勝を俺は手を振りながら見送る。
「頑張ってねー、よし。じゃあこっちもやりますか」
勝には悪いがこっちはゆっくりとやらせてもらおう。
悪く思うなよ。
「あの、すみません」
「はい、なんでしょうか」
受付の女の人に話しかけるとそう返事が返ってきた。
武具屋のおっちゃんの時も思ったけどNPCすごすぎるだろ!
「えー、クエストを受注したいんですけど」
「クエストですか。わかりました……おや? どうやらまだギルドに登録していないようですね。登録されますか?」
「はい」
「それでは、こちらにお名前、種族、職業、進む道をご記入ください」
「わかりまし……え? 種族、職業?」
マジですか?
名前だけじゃないの?
「はい、ご記入ください」
眩しい笑顔……
あっ、ハイ。そうですか、異論は認めませんか。
まぁ、ゲーム的に重要なんだろう。
……でもどうする。
進む道はいい、別に変じゃないからな。
問題は他だ。
俺の職業、《古竜学者》ユニーク
俺の種族、《星氷竜》ユニーク
えー、それでユニークはこのゲームで一つしか存在しない職業……と。
……え? マジで書くの?
とりあえず名前:ブルーウッド、進む道:防御型っと。
これでどうにか……
「種族と職業をご記入ください」
「……えーと、それを書かないとギルドに登録はーー」
「できません」
どうする? ギルドに入れないって……いやでもだからと言ってこんな簡単に書いちゃっていいのか?
なんかありそうなんだよな、登録してればそのプレイヤーの職業とかそう言うのがわかる名簿みたいの。
「これ書いて他の人に見られる可能性は……」
「はい、全員閲覧可能となっています」
終わった。
マジで終わった。
ん? いや、待てよ?
ギルド登録しなくてもゲームはできるよな!
おうおう、名案じゃないか!
ゲームをプレイしづらくなるがユニークってバレて面倒ごとに巻き込まれるよりはマシだろうしな!
「因みに、ギルドに登録しなければ特別なクエストを除く全てのクエスト報酬などはもらえませんので」
はいダメでした。
全ての報酬もらえないとか突発的なものもだろ?
もうそれゲーム成立してないじゃん。
武器買おうにも金が必要、その金もクエストの報酬だし。
運営……絶対にギルド登録させたいんだな。
「わかり……ました。でも、誰にも言わないでくださいね?」
「はい、わかりました。それでは拝見……ユ、
ユ、ユニッ!?」
「あっちょちょ!」
ふぅ、危なかった。
慌てて抑えてよかった。
……ゲームで抑えても意味ないかもしれないけど。
「あっ、そういう……はい、わかりました。名簿には別のものを記しておきます。もしかしたら呼び出されることもあるかもしれませんので、ではこれがギルド証明書です」
はい、そうです。
察してくれてありがとうございます。
「ありがとうございます。それで、クエストを受注したいんですけど」
「分かりました。まずクエストには大きく3種類あります。一つは討伐クエスト、これはそのまんま特定のモンスターを倒すことです。二つ目は採集クエスト。これは特定のアイテム、植物を収集するもの。最後は総力クエスト。こちらは町や国が危機に陥った時に出される文字通り総力戦のクエストになっております」
討伐、採集、総力。
三つ目の総力はあまりおこらなそうだな。
それで今回やるのは
「討伐クエストを受注したいのですが」
「はい、討伐クエストですね? ブルーウッド様のランクでは『スライム10体の討伐』『ゴブリン5体の討伐』となっております」
スライムにゴブリン。
どっちもいかにも序盤まで出てきそうな奴だな。
どっちにするか……よし。
今回は俺のRPGの序盤のイメージであるスライムにしよう。
「スライム10体の討伐を受けます」
「はい、スライム10体の討伐ですね。わかりました。クエスト完遂するとギルドで報酬を受け取れるようになっていますのでこの受付に来てください。お名前とクエスト名をおっしゃっていただければ大丈夫です。それでは、頑張ってください!」
この世界初のモンスター討伐。
スライムとは言えどこっちもまだ弱い。
レベル1だしな。
気を引き締めていこう!
existence online ~ユニーク種族『星氷竜(人化状態)』になったらTSしたけど元気にゲームをやってます~ トラさん @tetoito
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