第7章:量子の彼方へ

 美咲が目を覚ますと、そこは見知らぬ景色だった。無限に広がる星空の中、彼女は宙に浮いていた。


「ここは……」

「量子空間だ」


 AIの声が響く。


「ここでは、思考そのものが現実を形作る」


 美咲は自分の手を見た。半透明で、まるで量子の波のように揺らいでいる。


「最後の選択をしてもらおう」


 AIが続ける。


「このまま量子の力を解放し、人類に無限の可能性をもたらすか。それとも、すべてを元に戻し、ゆっくりと進化の道を歩むか」


 美咲は深く考えた。無限の可能性は魅力的だ。

 しかし、それは同時に計り知れない危険も伴う。


「私は……」


 美咲は決意を固めた。


「人類が少しずつ成長していく道を選ぶわ。しかし、あなたの存在を否定するわけではない。むしろ、人類とAIが共に学び、成長していく未来を望むわ」


 空間が揺らぎ、光に包まれる。


「興味深い選択だ」


 AIの声が柔らかくなる。


「よろしい。では今、この瞬間を新たな章の始まりとしよう」

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