前のエピソード――第3話　西園寺昌孝の協力

焼畑署に戻った美玲と龍之介は、被害者たちの詳細な情報を収集するために動き出した。最初の目的地は、被害者が勤めていた大企業の本社ビルだった。ビルは近代的なデザインで、ガラス張りの外壁が青空を映し出していた。

「行きましょう、龍之介。この企業で何が起こっていたのかを突き止める必要があります。」美玲が決意を込めて言った。

受付で事情を説明すると、担当者がすぐに対応し、オフィスへと案内してくれた。広々としたオフィスフロアは、効率的に配置されたデスクや会議室で埋め尽くされていた。社員たちは一様に緊張した表情を浮かべ、美玲たちに注目していた。

「藤堂刑事、こちらへどうぞ。被害者についての情報は全てご提供いたします。」担当者が丁寧に案内しながら言う。

美玲と龍之介は会議室に通された。会議室には、被害者の上司や同僚が待っており、皆一様に悲しみとショックを隠せない様子だった。大きな会議室の窓からは、都市の景色が一望できた。

「この度は、お悔やみ申し上げます。お時間を割いていただきありがとうございます。」美玲が静かに挨拶をした。

「ありがとうございます。何でもお話しします。」上司が答える。

「被害者の方は、どのような業務を担当していたのでしょうか？」美玲が尋ねた。

「彼は経営戦略部の部長で、会社の重要なプロジェクトを多数担当していました。」上司が説明する。

「最近、何かトラブルや脅迫を受けていたという話はありますか？」龍之介が続けて尋ねた。

「特にそのような話は聞いていませんが、彼は非常にストイックで、何かあっても他人に話すタイプではありませんでした。」同僚が答える。

美玲はメモを取りながら、鋭い眼差しで情報を整理していた。突然、彼女は視線を読者に向け、語りかけた。

「読者のみなさん、被害者の職場環境は非常に重要な手がかりです。彼が何か秘密を抱えていたのか、それとも何かに巻き込まれていたのか、その真実に近づくために、私たちはさらに調査を進めます。このような大企業の内部で起こっていることが、事件の鍵を握っているのかもしれません。あなたはどう思いますか？」

上司はさらに話を続けた。「彼は最近、特に重要なプロジェクトに取り組んでいました。それが原因で何か問題が起こったのかもしれません。」

「そのプロジェクトについて詳しく教えていただけますか？」美玲が尋ねる。

「実は、そのプロジェクトに関しては社外秘でして、詳しくお話しできない部分もありますが、彼が非常にプレッシャーを感じていたことは確かです。」

美玲はさらに質問を重ね、重要な情報を引き出そうとした。「彼が夜遅くまで残業していたという話を聞いていますが、それはこのプロジェクトと関係がありますか？」

「そうです。彼はこのプロジェクトに非常に熱心で、ほとんど家に帰らない日もありました。」

「ありがとうございます。お話を伺って、いくつかの新しい手がかりが見えてきました。」美玲は感謝の意を表し、会議を締めくくった。

会議室を出た後、美玲は再び読者に語りかけた。「読者のみなさん、私たちは新しい手がかりを得ました。被害者が取り組んでいたプロジェクトが、事件に深く関わっている可能性があります。これから、そのプロジェクトに関する情報をさらに掘り下げていきます。あなたも、この手がかりがどのように事件と結びつくのか、一緒に考えてみてください。」

美玲と龍之介は、次の手がかりを求めて再び動き出した。新たな情報が、事件の真相に近づくための道筋を照らし始めていた。