第5話 ドラミング
―――――
名前:稲井力哉(いないりきや)
職業:ゴリラ(進化可能)
レベル:25
生命状態:普
HP(全攻撃力・全防御力に依存し変更、減少する値):300/300
攻撃力:75
魔法攻撃力:0
防御力:105
魔法防御力:105
幸運値:50
クリティカル率:10%
◇
スキル:拳闘術LV1、武器依存攻撃力付与LV1、ドラミングLV1、握力コントロールLV1、筋肉収縮LV1
◇
習得魔法:習得不可
◇
握力値(限界値突破状態):【X】
◇
自動ドロップ収納ボックス:バーサークコボルトの眼球【D+】×3、バーサークコボルトの毛皮【E】×5、バーサークコボルトの牙【E】×2、ブロンズスライムの断片×1【D+】、ホーンウルフの心臓【E+】×1
◇
踏破ダンジョン:なし
―――――
「おお。スキルがこんなに……。嬉しいけどゴリラゴリラし過ぎだな。特にドラミングとか。えっと……それで効果は?」
ステータスオープン、俺はその言葉によって宙に浮かび上がった自分のステータスの中で『ドラミング』の文字をタップした。
スキルはこうすることで効果の確認ができる。
この仕様もステータスも改めて見ると本当にゲームらしい。
ダンジョンはあくまで自然発生したものということになっているけど、こういった仕様を見るとどうしても誰か、しかも最近の人間が作ったものにしか感じない。
まぁそんなことを知った所でどうなるわけでもないし、俺にとってどうでもいいことなんだけど。
それより効果は……。
『ドラミング:一時的に集中力を高め、一部身体能力が向上する。ストレスが発散される。微力だがモンスターを引き付ける。また対象の固定概念を破るきっかけを作ることがある。スキルレベルが上がる度効果が上昇。時間短縮。自身によるダメージが軽減される』
単純な自己強化って感じか。
今のところ困ってはいないけどスピードって部分は敵を掴む際絶対に必要になるだろうから、それを強化できるのは嬉しい。
それとモンスターを引き付けるってのもレベリングにおいてはかなり有用。
固定概念を破るきっかけとかはよく分からないけど全体的に使えそうなスキルだ。
「ただどうせスキルレベルが低いと効果も知れてるだろうからな……ボス前に自己強化って意味も含めてちょっと使っておくか」
ドンドンドンドン。
頭でスキルを使用することを意識すると手が勝手に動いて胸を叩き始めた。
スキルによっては発動すると十数分身動きできなくなるものもあるらしいけど、これはどれくらいの時間が掛かるんだろう……。
「これだけは使ってみないと分からないのがなぁ……。あっ! でも頭がすっきりして、身体が熱くなってきた感じが――」
「――が、あっ……。あ゛っ!!」
「……は?」
ドラミングが始まって40秒ほど経ったころ、階段の先からコボルトに似た声が聞こえた。
そして俺がその鳴き声に反応して間もなく、その正体は速度を上げて俺の懐まで腕を伸ばしてきた。
10階層から現れた、つまりボス階層から登ってくる可能性のあるモンスターはバーサークコボルトと……。
「ボ、ス? そんなのありえな――」
『『ドンッ!』』
ドラミングをの音と殴られた音が重なり俺は勢いよく吹っ飛ばされた。
お蔭で距離ができて……その顔をしっかりと拝みやすくなる。
「て、てて……。痛ぅ……。ってやっぱりお前かよ。はぁ……。レアボスが現れる時の状況ってこうなるもんなのかよ? それとも……俺のドラミングのせい?」
「がっ……あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
床に尻をつけて殴られた腹をさすり、俺はけたたましい鳴き声を放つ初級ダンジョンの【元】最終階層ボス……『ジェネラルコボルト』を睨みつけた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。