ひじか ゆい

蝉の騒がしい声と木々の緑生い茂る中、学制服を着たの中学2年生のトウヤが靴と靴下を鞄に押し込んで小川の石段を水の中に足を入れたり石の上に飛び乗ったりしている。

手には四角いラスクの入った袋を手に持って食べながら歩いている、「学校めんどい」と水の中へ足を入れる。

「給食楽しみじゃん」と大人しそうな声、トウヤの友達ミズキだ。ミズキは小学生のころからの同級生で親友でもある二人は毎日夏になるとこの道を通って通学する。

「まあな」横を見る。水から上がって石の上に飛び乗る。「今日は体育もあるしな」ラスクを食べながら話すが返事はない。

水に入る「そういえば、優子先生結婚して学校辞めるんだろ。お前確か気があるとか言ってたよな。」とミズキ。

「ばか。あんなおばさんどうだっていいんだよ、さっさと辞めちまえばいいんだ。」口の周りにラスクのカスを付けながら口を尖らせる。

「そっか、普段授業で寝るお前が優子先生の授業は起きてたじゃないか、先生美人だからな、ずっと見てただろう。気持ちだけでも伝えると後で後悔しないぞ。」

水から上がる。「後悔ならもうしてる、それにお前がいてくらるからそれでいい。」ミズキの姿は見えない。

水に入る「ナナがお前のこと好きだって泣いてたぞ。」横にいるミズキを見る。

同じく学制服を着たミズキは背が高くすっきりとしている、体から顎にかけて姿は見えるが顔はぼやけていて見えない。

「ナナには悲しい思いさせたな、、お前は泣いてない。ナナはお前に任せた。」ナナは同じ中学の女子で3人でよく遊んだ。

トウヤが水から上がるとミズキの姿は見えない。

「あきらめてないからお前の事。」小川の道が終わって陸に出る。

一年前トウヤとミズキ、ナナは近所の川ので水遊びをしていた、

トウヤは川の禁止区域に入ったそこの渦に巻き込まれ溺れそうになったところをミズキが助けたがトウヤは助かったがミズキは渦に巻き込まれ今だ不明になっている。

濡れたまま靴下と靴を履く、少し木々を抜けると学校の通学路だ。ナナがいた。小柄でサラサラの黒髪は肩まではいかない可愛らしい少女だ。

「おはよう。あ!それ頂戴よ」トウヤの持っている袋を指さす。

ほら。と袋ごと差し出す。「ありがとう!」サクサクと食べ進める。

「んー!やっぱ、トウヤのお母さんの作ったラスク美味しー。しょっぱいのと甘いのが入っててとまらない」

「全部やるよ。あんま食べると太るぞ」

「こんな美味しいの太っても良いよーだ」舌をぺろっとだす。

「トウヤまた小川から来たのね、ズボンびしょびしょ。学校行ったら恥ずかしいよ。優子先生に嫌われちゃうよ」クスっと笑う。

「ほっときゃ乾く。」と目を小川に向ける。

「ミズキのこと探してるの?」と小声で心配そうな声でトウヤに尋ねる。

トウヤは走り出す、「あ!待ってよ!」ナナはそれを追いかける。

ミズキにまた明日も会えるだろうか。いつまで会えるだろうか。今日でさよならだろうか。

学校まであと少し、息を切らせながら走っていく。

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