第3話
王とパシィ、バージニアは魔術師のいるという展望台に向かった。
門を開く、そこでは夜の空の空間が広がっていた。ぬいぐるみや歯車、飛行船やら宙に舞っていたパシィの見たことのないものばかりだ。「ここはいったい。」とパシィはたじろぐ。バージニアはパシィの後ろについて震えていた。
「セリク!遊びは終わりだ!」と王が叫んだ。と世界が止まって「おや、王様体調はよろしいのですか?この子は、、?」と声がしてぬいぐるみがパシィにすごい速さで近づいた。
王がぬいぐるみを薙ぎ払い「いい加減にしないか!」と一括した。夜の世界が止まってすべてのものがぬいぐるみの口の中に吸い込まれた。部屋は展望のあって椅子が一つ置いてあるだけの部屋だった。そこにはぬいぐるみを手に取ったスラっとした銀髪の黒い服を着た青年がいた。
「我が王お元気になられまして僕も嬉しいです。」と答えパシィに微笑んだ、その姿は可憐でパシィは少し見とれてしまった。
「君は、、森の匂いがする。、、、森の妖精かな、何しに来たの?」とクスっと笑って首をかしげる。
パシィはその姿に少し恐怖を覚え一歩たじろいでしまいそうになったがぐっとこらえた。
「私はパシィです!森から来ました!私の父の、森の呪いの解き方を教えて欲しくてあなたのところへ来ました!」と大きな声で言った。
王が「そして私の孫だ。頼む、この子の父は私の息子でもあるのだ。」
セリクは少し驚いた顔をして「へー、お世継ぎのグエル様はお亡くなりになったと聞きましたが、、、それはそれは王様おめでとうございます。でも、呪いで死に近づいていると、、」と笑い出した。
「森の呪いの解き方、申し訳ございませんが僕は知りません。王もご健在になったことですし、この国は安泰です。ましてや、グエル様を助けたとしてもこの国にとどまってくれるのですか?」
「父さんは森家守として森を守り続けるのでこの国には戻って来れません。なので私がこの国を継ぎます。」と淡々と言ったパシィは自分でも驚いた。考えてもなかったことだ、いや父を助けるにはそれしかないと思った。
「パシィ様~!」と隠れていたバージニアがパシィの顔に頬ずりした。
王は嬉しそうに「パシィ良くぞ、良くぞ言ってくれた!」
「では、姫君、私と婚約していただきたい。そうすればあなたと僕の力でグエル様の呪いを解くことが出来ましょう。」とセリクがパシィの額の石を触った。
パシィは咄嗟に「触らないで!」セリクとの婚約冗談じゃないと思った。セリクは王の地位を狙っている、そんなことになれば国の民は豊かなままであろうが、国の外のものや祖父や私はどんな扱いをうけるか、だが父を助けたい。
「私の力を知っているの、、、?」
「知っていますよ。」
と世界が再び暗闇になってセリクと二人になった。
「でもこれ以上森の神の力を使うとあなたは何もできないお人形になるでしょう。なにもできなくていい、僕の傍にいて、父さんを助けたいんでしょう。ね。」ぬいぐるみの腕を傾けた、すると契約書が出てきた。
ただの魔術師なんかじゃない、こいつは血の通ってないアクマ、パシィは息を飲んだ「さ、ココに名前を書いて」羽ペンをパシィの指に絡ませる。
指が勝手に動き出した「うっ」とパシィは鈍い声を出した、いやだ、父さん!母さん助けて!
すると辺りが白くなった、胸に隠れていたキクリが出てきてくるりと回った。
まぶしくてパシィは前が見えなかったが白く髪の長い女の人がセリクに何やら話していた。セリクは驚いた顔で膝をついた。
(誰、天使?)
辺りが展望台に戻った。
愕然としたセリクがそこにいた、涙を流し震えていた「誰かを僕は誰かを愛し、愛したかっただけだ、、、」ぬいぐるみが涙を拭いていた。
セリクは両腕が黒くなっていて床にだらんとしていた。
王とバージがパシィに駆け寄った「大丈夫か!?」
「分からないわ。」とパシィはセリクに向かって行った。セリクにあの一瞬で何が起きたのか、どうして両の腕が父さんと同じ病になっているのか。
近づくパシィに死にそうな声で「やあ、化け物の子、。君は両親にとても愛されていた、誰からでも愛されるだろう。僕はこの国に愛されたかった、ただそれだけなのにね、ダメだった、、。」
パシィがセリクを優しく抱きしめる、あんなに怖いと思ったセリク魔術師いや、アクマがこんなにも牙をもがれたやせ細った狼のようになっている。「あなたを助けたい、、。」
パシィの石が光った。
「だめだ!パシィ!」と一同が言う。
ひと際強い光を放つパシィの額の石にセリクが軽く、くちずけをした。
光がはじけて消えた。
するとセリクの腕は元に戻って腕の中にパシィ横たわっていた。
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