折れた車軸

街道かいどうたび二日ふつか――



 勇者ゆうしゃ日野ひの雄大ゆうだい』たちのまえで、馬車ばしゃ往生おうじょうしています。

 ――どうやら、荷馬車は、車軸しゃじくれているようです。


 雄大は、荷馬車にちかり、つぶやきます。


「馬車づくりの精霊せいれい


 すると、雄大の脳裏のうりに、必要ひつよう知識ちしきかびました。


 勇者の能力のうりょくでは、任意にんい英知えいちを、精霊インテリジェンスとして認識にんしきできます。

 雄大は、一時いちじてきに、荷馬車をなおすだけのスキルをました。


 そして、雄大は、街道沿いの樹木じゅもく伐採ばっさいして、あたらしい車軸をつくり、荷馬車にみました。じつに、小一こいち時間じかんほどで、修理しゅうり完了かんりょうしました。



 完了、荷馬車の持主もちぬし地元じもと農夫のうふ』は、雄大にれいうと、荷馬車を、ゆっくりと発進はっしんさせます。


 雄大の手際てぎわさをて、案内あんないにん『ジュリア』の勇者へのあこがれが、雄大自身じしんへのおもいにわりはじめました。

 雄大は、荷馬車がるのを、ながめながら呟きます。


うまがあれば、らくなんだが‥‥」


『自殺したセシルの実家じっか「ラムパント公爵こうしゃく」の手前てまえ‥‥

 馬なんて贅沢ぜいたくすぎなんだろ?』


「‥‥そうか」


 勇者とう穂村ほむら』の指摘してきで、雄大の表情ひょうじょうくもりました。



 ‥‥旅は、つづきます。

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