[第四十七話、目をキラキラさせて俺に語った君の将来図は]


「うぅ…」


うめき声を漏らしながら目を覚ます、視界が霞む中辺りを見渡すが薄暗くなにがあってここはどこなのかが確認できない。


朦朧とした意識の中身体を起こそうとしたが身体が起き上がらない


(思うように身体が動かない..)


すると低く聞き覚えのある声が耳に入る


「ようやく起きたか…ノンノン無理に動こうとしても無駄ですよ」


目の前には小太りの町長が立っていた。彼の表情は冷淡で、まるで獲物を見下ろすような笑みを浮かべている。ようやくキースは自分が鎖に縛られていることに気づいた。


「セレとリーナさんは..?」


「こちらでしっかりと保護させてもらってますよ」


「何故...こんなこと…をする?」


「若い男の魔法使いは高値で売れるからに決まってるからさ!」


「なるほど姉ちゃんが言ってた通りだ..」


キースはメリファとの会話を思い出す。


「学生の魔法使いが失踪してるってどういうこと?」


「私も詳しくはわからないんだけど学生の魔法使いそれも男の子ばかりがこの1.2ヶ月の間に失踪する事件が多発してるみたいなのよ」


「それと俺が今回一人で向うハートリッジとは何にも関係ないと思うけど」


「そうだと思いたいけど..一応気をつけてねキーちゃんも可愛い男の子なんだから」


 

(ハハ...まさか姉ちゃんの言ってたことが大当たりとは実の姉ながら恐ろしい...)


「ダメ元で適当な嘘のメッセージを研究所に送ったら、まんまと騙されやがってエンチャントレルムも相当なマヌケよ。」

 

「それで俺をこれからどうするつもりだ...」


「それはこちらのお方が決めることだ、どうぞお入りくださいノースフューチャー様」


重い金属音が響く、扉が開くと冷たい風が部屋の中に流れ込んだ。その瞬間、キースは思わず身を硬くした。扉の向こうにいるのは、丸々とした巨体髪の色はピンク、真っ赤なリンゴのような色をした頬に今にもはち切れそうなドレスをきた女がキースの姿を一目見て冷たい笑みを浮かべる。


 

「美味しそうな男♡」


獣のように汚らしくヨダレをダラダラとたらしキースに近寄る。


「なんだコイツ..っう!臭い...!」


動物が腐ったような腐臭が全身から匂うのがわかる

女はキースの顔、身体を舐め回すように見る


すると、壁に張り付けられているキースを地面に張り付けるように男達に指示をする。


そして地面に張り付けらるキースに再度女は近づき、キースが来ている白いシャツのボタンをゆっくり外していく。


「やめて..まじで気持ち悪い…」


「こんなに豊満なボディを見て興奮しない男はいないわよ♡」


女はそう言いながらキースにただデッカイだけの胸を口元に近づけ舐めるように指示する。


「ほら、舐めなさい」


「い、いやだ!」


「まだ緊張してるのね♡可愛い子」


キースの言葉に聞く耳を持たない女はキースの顔をベロベロと舐め回し始める。


恐怖と気持ち悪さで全身に鳥肌が立ち涙が溢れでそうになるキース


(シルベスターさん..助けてください)



--ギルド、サンクチュアリ--


『マジカルギア』と書いてある雑誌を手に机に足を乗せ読者しているシルベスター


「なんだシルベスターいたのか」


「なんのようだ?レイヴンそれにメリファも」


「なんのようだと言われてもここはお前の部屋ではない」


「シルベスター机に足を乗せてはダメよ♡」


フフフと笑うメリファだが目は笑ってないそれを感じたシルベスターはスッと無言で足を下ろす


「キースと一緒にハートリッジに向かわなかったのか」


「っは!何故俺様が一緒に行かんとならん」


「お前達付き合ってるんだろ?いつも何をするのにも一緒ではないか」


「いつも一緒だがそれはアイツが俺様にチョコチョコ着いてきてるだけだ」


シルベスターの言葉を聞きながらも沢山の資料に目を通しながらレイヴンは「そうか」と一言口にする


すると言い忘れてたことがあったかのようにまたレイヴンが言葉を発する


「あまり雑に恋人を扱うと逃げられてしまうぞ」


この言葉が癪に障ったのかレイヴンの胸ぐらを掴み


「雑だと?この俺様が?誰に向かって口をきいてる?殺すぞ」声を荒げるシルベスターに対してレイヴンはさらに挑発するような事を言う


「殺すか..私がお前に殺されるほど弱くはないが殺る気があるなら受けてたとう」


「2人ともー♡やめないと私が2人を土に埋めてお花たちの養分にするわよー♡」


2人を見つめ笑顔でおっかないことを口にするメリファを察して掴みかかっているその手を離すシルベスター


「いい子ね2人とも」


「キースなら大丈夫だ…俺様が付いてなくてもアイツならできるさ」


寂しそうな顔で言葉を呟くシルベスター


「キーちゃんは貴方がいないとダメな子よ」


「そんなことはない。アイツは確実に成長しているよ。今回だって、俺様の力なしで自分で掴み取ったんだから。」


「お前はなにか勘違いしているようだが、キースが成長できたのはお前が面倒を見てアイツに沢山のことを教えたからではないか?人間は一人では成長できない...私もそうだ…メリファがいないと」


途中までカッコつけ話していたレイヴンだが最後に口をごもらせてしまう


「フフフ、レイヴンその後の言葉はないのかしら?」


「俺様の前でいちゃいちゃするな今度こそ本気で殺すぞ」


「す、すまん..まぁなんだ結論付けるとキースもお前も一人ではなにもできないってことだ」


するとギルドの扉が勢いよく開き水色の三つ編みをブンブンと揺らしながらライラが慌てて入ってくるなり


「シ、シルベスター!大変!大変!キースと連絡が取れないの!きっと今頃は魔法具の説明が終わってシルフィード行きの列車に乗ったって連絡があってもいい頃なのに電話もメッセージもなんの返事もない!きっとなにかの事件に巻き込まれてしまったかも...あんたちキースから連絡きてない!?」慌てた口調でライラが説明した。


「キースが……?」


突然のことに動揺を隠せないシルベスター


「レイヴンもしかしてあの事件と関係があるんじゃないかしら」


「その可能性はとても高いな」


「お、おいなんだその事件とは」


「近頃若い魔法使いそれも男子学生ばかりが失踪している事件が多発していてな..私とメリファはその事件を調べていたんだ」


レイヴンの言葉に続くようにメリファが話す


「失踪した男子学生達の経緯は様々なんだけど共通して言えるのはみんなハートリッジ近辺周りで行方不明になってるってこと..一応キーちゃんにも注意してねとは言ったんだけど」


「もしかしたらキースがその事件に巻き込まれた可能性がってことか…」


「そう考えるのが一番だろうな」


(いつもは俺様に逐一報告してくるクセに俺様が昨日あんな風にアイツを突き放したから気を使って…俺様の俺様のせいだ)      


「とりあえず私とメリファで……っておい!シルベスターどこに行く!」


「レイヴンお前の車少し借りるぞ!」


「待て!」


全速力で走りレイヴンの車に勝手に乗り込みエンジンをかけキースのいるハートリッジに向う




「や、やめてください..」


「聞き分けの悪い子は女王様プレイでお仕置きよー!」


ビシ!ビシ!とムチでキースの綺麗な身体を叩く

そのムチはただのムチではなく小さな刃が仕込まてあるのか叩かれるたびに深い傷ができる


その傷から流れる血を美味しそう吸うノースフューチャーにキースは耐えることしかできない



「リーナ!このままだとキースが死んじゃうちゃろ」


「そげん言うても、この網破れんっちゃ!」


何度もリーナは『サーペントクロウ』と叫びながら毒を仕込ませた爪で網を引き裂こうとするが網は一本も破れる気配はない


そんなリーナ達をみて町長は愉快愉快と笑っている。



「さて♡そろそろ仕上げといきましょうか!」


そう女は言うと頬にできた深い傷に口を近づけキースの魔力を奪い始める


魔力を奪われ苦痛で声をあげるキースの口元を手で塞ぎ女は満悦そうな顔でドンドン魔力を奪う


「アンタの魔力美味しすぎてお尻がムズムズしてくるわー♡」


(ヤ、ヤバい..魔力だけじゃなくコイツ俺の生命力まで奪ってやがる..この女サキュバスか...)


意識が遠のきそうになる


次の瞬間、ノースフューチャーが突如悲鳴をあげる


「ぎやぁ!な、なに!?」


「その男は俺様のだぞ?許可なく触るんじゃねぇよ」


女は一旦キースから距離をとると


「男共はなにをしてるの!?」


「彼奴等のことか?俺様の作った魔法具でちょいとばかし夢の中に行ってもらったよ」


入口付近で団子状態になりマヌケ顔でイビキをかきながら寝ている男達を見て歯をギリギリとさせるノースフューチャー


「シルベスター、何しよるんや!早よ助けんか!」


「リーナこそ勝手に俺様の許可なく外出して許されると思ってんのか?」


網越しにツンツンとリーナを突く


「アンタの代わりについてきただけっちゃ!」


「キースが危ないちゃろ!セレも一緒に戦う!だから早く出してちゃろ」


シルベスターは指先から2匹が捕らえられている網にポタポタと酸を垂らす


すると先程までビクトもしなかった網が腐蝕し2匹は無事網からの脱出に成功した。


「んじゃ、あの糞女にはあの世に行ってもらいますか」


シルベスターの言葉にセレとリーナが返事をし


ノースフューチャーとのバトルが始まる


ノースフューチャーは床にムチを叩きつけると何体もの片手剣を持ったスカルが現れリーナ達に襲いかかってくる


スカルの剣をヒョイヒョイと華麗に避け猫パンチ、猫キックを鮮やかに繰り出すセレ、うにゃにゃにゃと壁を走りキースの元に猛ダッシュ


『グリーンヴァイン』と走りながら唱え部屋に飾ってある観葉植物の木を操りキースを救出する。


セレを追ってスカルが追いかけるのを普段はのんびりしか動かないリーナだがスカルの首を狙い鋭い爪を立て切り裂く


「どんなもんったい」へへんと言った顔で耳をかきかきしてると後ろから残りのスカルが剣を振りリーナに襲いかかる


クルンと後ろも振り向かず攻撃を交わすとその勢いのまま後ろ足でスカルを蹴り飛ばしてしまう。


 


ノースフューチャーとシルベスターは互いにムチを使い激しい戦いを繰り広げている


ノースフューチャーがムチを鋭く振り下ろす。刃のついたムチがシルベスター目がけて勢いよく突き進む。シルベ スターは素早く後ろに飛び、ムチをかわす。地面に当たったムチの刃が石を削り、粉々に砕く音が響く。


「油断したらその体、切り刻まれるわよ?」


「フハハ!俺様が?その前にお前の体が溶ける」


シルベスターはムチを構え、ノースフューチャーへ酸の魔法を放った。彼の手から噴き出した酸はノースフューチャーの足元に飛び散り、地面を焦がして煙を上げた。 ノースフューチャーは素早く跳ね上がり、再びムチを振り下ろす。刃がシルベスターの肩をかすめ、血が一筋流れる。


「ちっ...!」 シルベスターは傷を抑える


「これで!終わりよ!」


力いっぱいにムチを叩きつけるがムチがシルベスターの魔法によって完全に腐蝕してしまった。


そしてノースフューチャーを逃さないようにムチで相手を拘束する。


「……っぐ!離して!」


「離せ?俺様に命令するな」


シルベスターはノースフューチャーに四つん這いなれと命令しその体制にさせるとポケットから魔法具を取り出しなにかを相手に吸わせた


「こんな体制にして!なにするつもり!それに私になにを吸わせたの」


「あぁ?これか?これはな相手の身体を自由にさせないように筋肉を硬直させる麻痺の成分が入った魔法具さ、この成分はパラリシアという花から作った魔法具でなメリファに頼んで特に強力な花を選んでもらったんだよ」


「筋肉を硬直?そんなことして私を襲いたいってこと?卑猥ね」


「おいおい勘違いするなよ豚野郎?俺様は女に興味なんて1ミリもないんだよ…まぁお前がどうしてもって言うなら慰めてやってもいいがな」


「こっちこそ!男色野郎なんてお断りよ!」


「そう言うなよ、お前にはとっておきのブツを用意したからさ」


ニヤニヤと悪魔のような笑顔でまたポケットを探り、取り出したのは赤く光った棒状の魔法具シルベスターはその魔法具に取り付けてあるボタンを押すと棒はメラメラと熱をおびて、長く太くなっていく


「お前ケツは初めてか?初めてならこれは最高のご褒美だな、なんたって燃え盛るほどに熱い体験ができるんだからな」


「や、やめ……お願いします!」


「俺様のキースを可愛がってくれたお礼だ♡」


そう言いながらシルベスターは思いっきりノースフューチャーの体内に魔法具を押し込んだ


「ぎぃぃぃぃやぁぁぁぁ!熱ぃぃぃぃぃ!!いだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


叫び声とともに焼けた肉の匂いが部屋に充満すると同時に命が尽きる。


その様子をゴミを見るような目でシルベスターは  


「やっぱ女は気持ち悪い」


ノースフューチャーを蹴飛ばしシルベスターはキースの元に駆け寄る。


「おい!しっかりしろキース」


「シルベスターさん..なんでここに」


「ばか...お前のことが心配だからに決まってんだろ」


「ごめんなさい..俺シルベスターさんのこと傷つけてしまって」


「謝るのは俺様のほうだキース悪かった」


「えへへへ..これで仲直りですね」


こうしてエンチャントレルム魔法学校の生徒達のおかげで事件は無事解決することとなった。


--キースの部屋--


「マジであの女気持ち悪かったんですからね!臭いし」


「あんな罠に引っかかるお前が悪い」


「それは俺じゃなくてライラ先生でしょ」


「そりゃそうだ、次あのメガネ教師に合ったら昼飯でも奢らせよう」


「それ名案♪」


キースを包み込むようにバックハグし2人で1つの座椅子に座りながら雑談をしている。


ふとシルベスターはキースに初めて会ったときのことを思い出した


「今日からこの魔術学研究所に所属になりました!キース・ウッドローです!よろしくお願いします」


「魔法生物を担当したいとか言ってた奴か..だったら俺様と接点はないなアッチいけ」


シッシッと手でキースを払うシルベスターに


「俺!魔法生物のこともモチロンですが魔法具も興味あります!シルベスター先輩が凄い人だって聞いて是非直接ご指導いただけたらなって思ってます!」 


 

(あのときのキース、目をキラキラさせてこんな捻くれ者の俺様にも物怖じしないでよくここまで着いてきてくれたよ)


「なぁ?キース」


「なんですか?」


「お前が言ってた将来の夢って結局なんだ」


「んー内緒♡」


「なら今から直接指導だ」


[おまけ]


※ただのマッサージです


「シルベスターさん…ちょっと激しいです♡」


股関節のつけ根に親指をヌプっと奥まで挿れる。


「ここがいいんだろ?」 


「そこは..ん♡」


キースの身体が汗ばみ視界が真っ白になりそうになる


「次は俺様に奉仕をしろ」  

 

                                                   

それを見てる2匹の黒猫


「マッサージしよるだけやのに、やらしい2人ったい」


「ちゃろ」


次回![第四十八話、忘れられた廃墟に住む女の子] 

                                             

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