[第四十一話、きっと制御できないロマンス]
自宅に帰還し夕食を食べ終え
各自が風呂に入ったりゴロゴロと畳で寝っ転がるなどリラックスしている。
「銭湯なんて初めて入るよ」
「いいもんだろ、ホッパーもモナークも気持ちよかったか?」
「また行きたいルー」
「ぼくもー!」
俺とジョン、モナークとホッパーのいつメンで近くの銭湯でゆっくりお風呂に入って、すっきりした気分で談笑しながら帰ってると後ろからレイラが声をかけてきた。
「こんなところにいた!どこいってたのよ」
「どこって銭湯だよそっちこそどうしたんだよ?なんか緊急事態でもあったのか?」
「緊急事態..そうね確かに緊急事態だわ..って違うわよ、あのね....その……なんていうか//」
「僕は先にホッパーとモナークと戻っておくねー帰って凛のお母さんが用意してくれてるスイカでも食べようか」
「おい!ちょっと待て」
俺も風呂上がりのスイカ一緒に食べたかった〜
「アンタに話しがあるのちょっと付き合って」
そう言われ連れてこられた場所は
「ここって神社?こんなとこで話しってなんだよ」
「明日の花火誰と見るとか決まってたりするの..?」
「いや、とくに決まってないけど」
「よかったらさ!その……ア、アタシと花火見ない?」
「い、いきなり何いってんだよ」
「嫌なら別にいいんだけど」
「嫌じゃないけど……けどそんないきなり」
「わかった!すぐに返事できないなら日付が変わる時間まで待っててあげる、もし他の人と行きたいならそう言ってくれてもいいから!」
そう一方的に言葉を投げつけるとそそくさと神社の階段を降り戻っていった。
そして言い忘れた事があったのかソサマにレイラからメッセージが届く
レイラ「返事はメッセージでいいから!じゃあね!」
「えぇぇ…いきなりそんな事言われても..」
その後、俺も家に帰ろうとするも、足取りが重く。何も手につかないような気分だった。家に帰っても落ち着かないだろうと思い、気分転換にと当てもなく散歩を始めた。歩き続けると周りにはいつの間にか人影が少なくなり、田舎道の静けさが俺の心に広がる。どこに向かうでもなく歩いていると、次第に道は森の中へと続いていった。気づけば、俺は小さな川のほとりに辿り着いていた。
凛もまた小さな川のほとりで川面に映るホタルの光を見つめていた。涼やかな風が彼女を優しく撫で、髪がふわりと揺れる。遠くで響くカエルの声と、川のせせらぎが心地よく届く。
「やっぱりここにいた」
「航……」
よっこらせと凛の隣に腰を下ろす。
「明日の天翔祭の花火俺と見ない?」
「航とは毎年一緒に見てるじゃん、なによ改まって」
「今年は俺じゃなくて違う奴と見るつもりだろ?だからちゃんと言葉にしようと思って」
「……」
「もしかして悠馬のこと誘うつもりだった?」
「うん」
「凛…俺は決められた婚約者としてじゃなくて本気で凛の事…」
「ありがとう、でもごめんなさい」
心の動揺を隠しつつ、航は静かな声で言葉を紡いだ。
「教えてアイツのなにがいいの?」
「自由なところかな..?」
「それだけ?じゃあ俺との結婚は?掟はどうする?」
「掟のことは..今言うのは反則だよ…あと航のこと嫌いじゃないよ..ずっと小さい時から一緒に育ってきた幼馴染だから大切に思ってる、だけどそういう好きじゃないの」
「凛」
「期待に答えられなくてごめんね」
凛の言葉にドクンと嫌な心臓の音が鳴り身体から冷や汗が出ているのがわかった。
「謝るなよ、俺なら平気だから」
航はよっこらせと立ち上がると
「だけど!俺は凛のこと諦めない!!今年の花火は見れなくても来年でも再来年でも俺は待ち続けるしこれからも凛の事ずっと好きだし大切に思ってる。俺が世界で一番凛のこと愛してる男だと言うことは忘れないでほしい!」
「わかった」
「明日の天翔祭楽しもう!」
航は笑顔でじゃあな!と手を振り帰ろうとした時、水面に月明かりが反射して航の目に涙が溢れていることに気づいたが、凛は言葉をかけることはできなかった。
(ごめんね、航)
すると向こうから誰かの足音がこちらに向かって近づいてくる
凛は短刀を構え足音に警戒する。すると
「あれ?凛?どうしたこんなとこで」
「悠馬」
「へぇーここは凛のお気に入りの場所なんだ」
川辺の岩に腰を下ろしちゃぷちゃぷと裸足で水を揺らす悠馬
「お父さんに怒られたり、お稽古が上手くいかなかったりした時はよくここに来て気持ちを落ち着かせてるんだ」
「凛にもそういう時あるんだな(笑)なんか安心したよ」
悠馬は無邪気に笑った
「それどういう意味なのー?」
「俺の中での凛っていつも完璧少女だから」
「完璧じゃないよ……」
「確かに…料理できないもんな」
「言ったなー」
凛は仕返しをするように水をすくい悠馬に水をかける。
「冷た!やめろって風呂上がりなのにー」
「アハハ!ごめんごめん(笑)」
ジッと凛を見つめ悠馬はこう言った
「そうやって笑ってるほうがいいよ凛ってさ、たまにふとした瞬間凄くなにかを考えこんでる表情するときがあるからそのときの顔よりいまのほうが可愛い」
その言葉に耳を真っ赤にし凛は
「可愛いとか//恥ずかしいからやめてよ//」
なんで?と言った顔で見てくる悠馬に凛は意を決して
「あの、実は明日の天翔祭のことなんだけどね……私悠馬と二人で花火が見たいって思っててよかったら一緒に見てくれませんか?」
あれ?このセリフどこかで?そうか!レイラも俺と花火見たいとか言ってたな……
ちょっとまってくれよ!ということは凛も!?
「嫌なら別にいいから!返事はすぐじゃなくてもいい日付が変わる時間までにソサマにメッセージだけくれると助かります。」
「ちょっとまって!あっ!いかないで…」
凛もレイラみたいにそそくさと手に靴を持ち裸足のまま帰って行ってしまった。
その頃近くの公園でアイスを食べながら話してる人物が2人
「んで?いつ悠馬のこと誘うんや?ジュリアは」
はむ♡と小さな口でアイスをかじりアイスの汁が太ももに滴り落ちるのもお構いなしに食べながらジュリアはこう言う
「当日でもいいかなって思ってるけど」
「アホやなー、そんなこと言うてたら誰かに奪われてしまうで」
「それはないよだって悠馬くんのこと誰も好きじゃないもん」
「そんなんわからんやん!ローザ先輩がいきなり、Heyボーイ!このローザと一緒に花火を見ない?とか言うたらどないするねん」
「大丈夫だってー♡私と悠馬くんは契約まで結ぶほどの深い仲なんだよ?」
「そうでしたそうでした、アンタと悠馬はいやらしい関係でしたね」
「そんな言い方酷ーい」
そしてこちらでは星獣達を寝かしつけるために読み聞かせをしているのは
「そして星獣達はとても偉大なる存在になりました……めでたしめでたし、フフフ」
「ふわぁぁ…もう眠いでち..」
「あら、もうみんなすっかり寝てるわね、あなたも早く寝なさい」
「うん..おやすみメリファ」
「おやすみ〜」
スッーと襖を閉め2階へと上がっていく
トントントン階段を登り部屋に戻っていく音が聞こえる
「みんな起きるでち」
メリファを騙し皆寝たフリをしてバレずに遊ぼうという魂胆な星獣達
「なにするザマスか?」
「怖い話しはどうったい?」
「それはやめるじょ」
「じゃあかくれんぼなんかどうピィ……」
フレイアがそう言った瞬間枕が豪速球で飛んできてフレイアの身体にクリーンヒット!
「いきなりなにするだぎゃ!?」
リュカが枕が飛んできた方角に目線をやると楽しそうにピョンピョンと跳ねているホッパーとヤマトマルがいる。
「枕投げ合戦だルー!」
「やっぱり戦わなくっちゃ面白くないでござるよ」
「そんな風に暴れたらまたレイヴンにしゅかられるでロン……ブッ!!」
ペンドルトンの顔面に枕がダイブ!枕を投げたのは
「いい子ぶるんじゃないじょ!ペンギンのくせにー!」
「むっかー!ムニン!いっつもいっつもボクに突っかかってきてなにがしゅたいんだロン!」
怒ったペンドルトンはムニンに氷を纏った枕を投げる!
星獣達の枕投げ合戦の火蓋がいま落とされる!
「レイヴンさん、この資料に間違いありません」
凛の父親誠司がレイヴンに手渡してきたのは
「流石に予想できなかったですねこれは..」
「私も驚きました…まさか家の蔵に地下があるなんてしかもそこに魔王の身体が封印されてるとは」
「ではお約束通り私達サンクチュアリが責任を持って預からせていただきますがよろしいですか?」
「もちろんですとも...では最後の日にまたここに集まって是非持って帰ってください」
「わかりました、ところで明日は天翔祭ですがお父様達も行かれるのですか?」
「もちろんです、私は焼きそばの屋台を出店する予定ですのでなにかあったら、またこちらに来ていただけると」
「わかりました」
ガタン!バタン!となにやらどこかで騒がしい音がする……そう思ったレイヴンは蔵を出て音の正体を確かめに行く
「あちしぃ!のビューティー蹴り上げ枕投げー!」
「そんな攻撃聞かないでごわす!」
後ろ足で蹴り上げ枕を蹴飛ばすティアの攻撃をエドワードは口から水を噴射し枕の勢いを止める
星獣達の寝てる部屋は寝ることが不可能なまでに酷い状況になっている。
スッーと襖が開く、だが一匹としてそれに気づいてないほどに盛り上がっている。
「ホッパーウルトラ枕投げだルー!」
ホッパーの投げた枕がバフン!と当たる
さっきまであんなにもキャッキャと騒いでいた星獣達がまるで時間を止められたかのようにピタっと止まった。
「お前達……?寝たフリしていたのだな?」
「レ、レイヴン……違うちゃろ!これには理由が……」
「全員そこに並べぇぇぇぇ!!!」
この日今年一番の落雷が風華国で観測された。
[おまけ]
「だぁかぁらぁ〜いってるじゃないですかぁ〜」
「ハイハイ飲みすぎよんホシノちゃん」
「ケビン先生じぇんじぇん飲んでないですよ」
「んもう!ライラちゃんもホシノちゃんも酔いすぎよん!」
「わぁかりますか〜?ヒック!教頭先生がどぉぉんなに厳しい人かぁぁ〜」
「まいったまいったー校長もベロベロじゃないですか」
ガイとケビンは泥酔している3人を必死で介護してい
る。
「いっっつも教頭は私がちぃぃさいからって子供扱いしてぇぇ〜ヒック!私のほうが年上なんですよー」
「誰かこのホシノ・オリビアを嫁にもらってよぉぉぉぉ!うわぁぁぁーん」
「なぜかウチも悲しくなります〜うわぁぁぁーん」
「やれやれだな……」
「ほんとね……」
次回![第四十二話、天翔祭]
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