[第三十九話、夏のせいにしていい?]


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合宿2日目


本日はみんなで海水浴の予定。

凛の家から徒歩15分


青く透き通る海が、太陽の光を浴びてきらきらと輝いている。波が静かに寄せては返し、砂浜に優しく触れては、また引いていく。砂は細かく白く、まるで絹のように柔らかい感触が足元に伝わる。遠くの水平線は空と海が溶け合うように繋がり、その上にはわずかに白い雲が浮かんでいる。


「海だー!!」


「泳ぐぞー!」


「ルー!」 

 

俺とジョンは夏の海にテンションが最高潮になりついつい大きな声で叫んでしまった。


「しっかし女子達遅いなー」


「レオさんも女子の水着チェックですかな?」  


「もちろん海に遊びにくる=女の子の水着姿を見るに限る!」


俺とレオさんがソワソワしているなんて気にもとめずパラソルの下で日焼け止めを塗り合っているシルベスターさんとキース先輩、塗るなら普通に塗れよ!なんかエロいんだよ!


もちろんレオさんのイケメンっぷりはここでも健在で道行く小さな女の子からおばあちゃんまで幅広い年齢層に大ウケのビジュアルは見てて涙が溢れる


「くそ..俺だって..」


「なにボヤいてんのよ」


レイラの声に反応し目線を上にあげるとそこには色とりどりの水着をきた女神達が降臨していた。


フムフム..レイヴンさんは意外に大きいんだなレイヴンさんらしく下はスポーティなショートパンツタイプか


メリファさんとローザさんはパレオ!!ムフォーヒラヒラとしたチラ見せ太ももがエロい!!


フェイ先輩とルーシー先輩はまぁ許容範囲として、こちらはけしからん!けしからんぞ!


「ジョン..ルナ先輩とジュリア先輩のビキニは破壊力が凄いな」


「ぼ、僕もう破裂しそう」


ジョンは男の大事な部分を抑え足早に更衣室に向かって行った。


「まだまだ、だな」


「目がいやらしいのよアンタは」


「そんなこと言ったてお前だって..うん可愛いよ..」


レイラのオペーが小さすぎて褒めるところがない…なんか言葉に感情が乗ってこない..


「どこ見て話してんのよ殺・す・わ・よ?」


「ひぃーお助けー」


こんなところで戦鎚を呼び出し俺に殴りかかってこようとするレイラから必死で逃げていると、突然目の前にぱふん♡とした感触と同時に体制を崩し倒れてしまった。


「いてて..って痛くない?なんだこのフヨフヨした感触」


「ちょっと悠馬私の胸触るのやめて..」


顔を見上げると照れたように顔を隠し俺の手を自分の身体から引き離そうとしてるのは凛だった。


「ご、ごめん!ついその..ほんとにごめん!お父さん見てないよな」


こんな所をお父さんに見られたらヤバいといるばすもないのに無駄に周囲をキョロキョロとしてしまう


「お父さんはいないよ」


「そうかよかったー」


「そろそろ立ち上がってくれない?いま私凄く恥ずかしい体制なんだけど...」


よく見ると凛の両足が俺を挟みまるで..これ以上は割愛するがとにかくなかなかに淫らな体制になっているのに気づき急いで凛を起こし上げる。


「怪我ないか?」


「うん大丈夫だよ」


するとな・ぜ・か幼馴染の航が凛に近づき

大丈夫か?怪我ないか?と隅々までチェックすると俺の顔も見ないで凛の肩に手を添えみんながいる元に歩いていった


「なんだよアイツ」


「やっぱああいう男のほうが頼りがいあるわよね」


「ねぇよ!ほら俺達も行くぞ」


流石に大所帯での海水浴となると場所取りも大変でなかなかベストな場所が見つからないと思いきや


レオさんのセレブパワーで俺達はとっても穏やかで人も少なくさらにレオさん家の執事さん&高級BBQ付きの大変素晴らしい休憩場所があっという間に完成した。


「これはやりすぎなんじゃないんですか」


「そんな硬いこと言うなよー、ルーシーいいじゃんいいじゃん♪たまには」


坊ちゃまお肉が焼けましたとレオに山盛りの肉が乗っている皿を手渡すデューク家の執事にありがとうと受け取りまだブツブツと独り言を呟いてるルーシーに


「せっかくの合宿楽しもうぜ、はいあ~ん」


不意にあ~んと口に肉を放り込まれ熱さよりもドキドキが勝りルーシーは悶えながら海へと逃げ込んだ。



一方その頃オブキュラスの3人は昨日呼び出した魔物と打ち合わせをしている。


「オレを呼び出しておいてなにかと思ったら海に出向き人々を襲え?なんでいきなりそんなことしないとならねぇんだ」


「だから昨晩も同じこと申し上げましたでしょ!?サンクチュアリとかいう敵がわたくし達を殺そうと襲いにきてるから助けてほしいんですの!」


言うことを全く聞かない巨大な鰻に四苦八苦しながらも説得を試みるダミアナと悠馬達を倒す準備を進めているサミラとアリヤ


するとサミラがこう言った。


「アリヤちゃん..ほんとに私達の進んでる道は正しいのかな…」


「どうしたの突然」


「確かに魔王様を復活させ世界を変えたいその気持ちは本物だけどあの人達が悪い人間だとはお姉ちゃん思えないの」


その言葉に姉だろうとアリヤはナイフを突き立て


「だからなに?私達は自分の使命を真っ当するだけ..それを邪魔するならお姉ちゃんだって許さない」


「アリヤちゃん....」


「忘れたの?私達の故郷が光の中で生きてる奴らにどんな仕打ちをされてきたのか」


「でもその人達とあの人達はちが..きゃ!」


サミラの頬に痛覚が走るアリヤのナイフがギリギリのところで当たらなかったもののこの子は殺すつもりだとサミラは悟った


「お姉ちゃんが悪かったわ...二度とこのような事は言わないでおくわね」


 


「俺に対して愛が深いのはわかってますけどぅぅ〜もうちょっと俺にも攻める機会をあたえてくださいよぉぉ〜」


「なんやキース酔ってるんやない?まだお酒飲んだらアカンのに誰や!飲ましたん」


「フェイ先輩それノンアルよ」


ノンアルコールでベロベロに酔っているキースに心配そうに駆け寄るフェイとその状況を眺めているレイラ


執事が用意したスピーカーから夏にピッタリなボサノバ調の曲が流れ


白い長椅子にもたれサングラスを装着し日光を浴びているレオ


「やっぱ夏って最高だ☆」


通り過ぎる女の子にチャオ♪と手を振りいい気分になっていると突然見覚えのある人物が目に飛び込んでくる


「あの人って..まさか」


レオは何度も違う絶対に人違いだと思い込むが早まる鼓動とかつて好きだった人に再会できたかもしれない気持ちが高ぶり徐々にその女性に近づいていく


そして思い切ってレオはその女性に声をかけた

 

「すみません..もしかして刹那先輩ですか?」


刹那先輩..そう呼ばれたのが久々だったのか女性は少し驚き気味にレオの方を振り向くとすぐに可憐で気品のある笑顔を見せ


「お久しぶりレオ、元気だった?」


それを遠くで見ていた悠馬が周りの人にレオと一緒にいる人が誰なのかを聞く


「すっげぇ美人さん..あの人誰なんですか?レオさん普段と違う感じで近づいて行ったから知り合いとかかな?」


「あの人って天宮刹那さんじゃない、私あの人苦手だなーなんかあざといもん」

 

「あざといってあんたに言われたら終わりやな」


「サンダーガール、あの人」


「あぁわかってる」


「ローザさん天宮先輩って誰なんですか?」


「ボーイは好奇心旺盛ね♡天宮刹那、私達の一つ上の先輩サンクチュアリのOGでプレイボーイのハートを射止めた人」


「ルーシー先輩大丈夫ですか?顔色がすぐれないようですが」


凛の心配に下を向き「平気です」と答えるがその表情は今にもここから離れたいと言った顔だ。


ローザはさらに悠馬に刹那の説明をする


「とても綺麗な人でしょ、容姿端麗でみんなからの信頼が厚い人だったんだけどね」


「だったと言うとなにかあったわけですか」


「そうね...刹那先輩は魔法学校を退学しているのその理由は元々サンクチュアリの顧問をしていた教師と禁断の恋に落ちて二人の間にベイビーができてしまいそのまま2人は学校を辞めることになったのよ」


「そうだ、だから私達はあの女を許せないしなにより当時付き合っていた教師以外にもギルド内で恋愛を繰り返し散々人間関係を壊し去っていったクソ女だ」


レイヴンさんが珍しく顔にでるほど怒っている。多分想像の範囲でしかわからないが凄い大変なことなのはレイヴンさんの顔を見ればわかった


「レイヴンが怒るのも無理ないわ..刹那先輩の事があって悠馬君含めた1年生ちゃん達が入学してくるまでの間サンクチュアリの評判は過去最低だったの」


メリファさんの話しに続くようにルナ先輩が衝撃的な事実を話す


「信頼は厚かったかもしれないけど、当時の私達からの評価は最悪...中でも許せないのはルーシーをイジメていたってこと、それに気付けなかった私も酷い」


「ルナは悪くないです...僕があの人と少し波長が合わなかっただけで僕は大丈夫ですから」


「じゃあそんな酷い先輩のことレオさんはまだ好きでいてるってことですか!?」


「恋は盲目って奴だな、レオの前ではあの女もいい顔するから気づかないのも無理ないかもだがな...だから俺様は女が嫌いだ」



「刹那先輩帰ってきてるってローザから聞いて本当だったんですね」


「うん、なんだか更にカッコよくなった?」


「そ、そんなことないです...それより子供ちゃん元気ですか?」


レオの言葉を聞き刹那は涙を浮かべ白々しく説明をする


「実はね1ヶ月前に離婚したの原因は旦那の暴力が原因で子供の親権を争ったけど私が負けて子供にも二度と会えなくてもう私生きてる意味ない」


レオの胸に飛び込んでくる刹那を優しく抱きしめ


「そんな辛いことがあったんですね..大丈夫先輩はひとりじゃない、俺がそばにいます」


レオの顔をしたたかに見上げると


「ありがとう、そう言ってくれるのキミだけだよ」


微笑みまたレオの胸に顔を擦り寄せる



抱きしめあっている二人を見てこちらの雰囲気は完全にお通夜だ


すると遠くのほうで人々の叫び声が聞こえる


「まったくこのうなぎさん言うこと聞かなさすぎて結局操らないといけなくなってしまいましたわ」


巨大なうなぎの目に光はなくただひたすらに大きな口を開け人々を襲っている。

いる


「さぁサミラさんもっとこのうなぎさんを強化してくださいな」


「わかりました」


サミラは怪しげな音色を奏でさらにうなぎの力を増幅する。


「なんだあのでっかいうなぎは!?」


レイヴンがうなぎを指差すと凛が驚いた声で


「あれって伝説の妖怪リヴァイアパイ!」


「凛!俺達で止めに行くぞ!」


航の言葉に凛はコクっと頷き一目散に2人でリヴァイアパイのもとに走っていった。


「私達も行くぞ!」


「レイヴン先輩キースが酔いすぎて使いものにならへん!」


「キースはほっとけ」


「全く仕方なのない奴だ...お前の力だけ貰っていくぞ」


シルベスターは寝ているキースに近づき勝手に魔力供給を始める。


「刹那先輩!俺がアナタを守ります!どこか安全なところにいてください」


「ありがとう、気をつけてね」


刹那に親指をたていってきますと笑顔でリヴァイパイに向かっていくレオ



[おまけ]


「メリファあまり砂をかけすぎないでくれ...身動きがとれなくなってしまう」


「大丈夫よレイヴン、砂風呂は美容にいいらしいから……ん?マヤどうかしたの?フムフム..なるほどそれは面白そう♪」


「なんの話しをしている、おい!メリファ!どこにいく」


マヤがレイヴンの近くにスイカをドカと一玉置く


「ホッパーいいでちよー!」


「了解ルー」


手には小さな竹刀、黒い布で目隠しをしているホッパー 


「一発で割るだぎゃ」


星獣達の指示に従いもっと前違う左と言われながらドンドンスイカに近づくホッパー


「もうちょっと右だピィ」


「なんか目がぐるぐるしてきたルー」


「もう近いでごわす」


なにかの気配を感じたホッパー、ここだーと勢いよく竹刀を振り下ろす


コツンと当たったはずだがスイカが割れた感触はない..ホッパーはさらに何度も振り下ろす


「メリファさんあれなにしてるんですか」

 

悠馬は恐ろしいことが起きているのではとメリファに指差すが逆にメリファは上機嫌にこう言う 


「フフフ、たまにはレイヴンもああして星獣達と遊ばないとねフフフフ」 


「えいえーい!」


(メリファ覚えてろよ)


次回![第四十話、恋はあと少しで届きそうなのに]                                           


                                                                                                                      

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