[第三十七話、波乱な事がおきるかも!?] 


ジョンがバシバシと俺を叩き起こしてくる。人がいい気持ちで寝てたってのに全くな奴だ


「ほら起きて!トンネルを抜けたら風華国だよ!」

 

ジョンの言葉通りトンネルが抜けると目の前に広がったのは風華国の豊かな景色が広がっている。まばゆい夏の日差しが窓を照らし、俺はその景観に見入った。


遠くに見える瓦屋根の家々が、ゆらゆらと揺れる熱気の中で浮かび上がっている。伝統的な建築物は、どこか懐かしさを感じさせる。ここは俺が住んでいた日本にソックリだ..、さらに一面に広がる田んぼが目に飛び込んでくる。夏の太陽が田んぼの水面に反射し、きらきらと輝く緑の稲穂が風に揺れる様子が美しい。細い農道を歩いているのはランドセルを背負い、制服を着た小学生が数人、友達と笑いながら話しているのが見える。暑さに負けず、元気いっぱいな声が遠くからも聞こえてきそうだ。ひとりの子どもが麦わら帽子をかぶりながら、田んぼの畔でかがんで何かを探している様子が見える。その横を、別の子どもたちが自転車で颯爽と駆け抜けていく


しかし、視線を少し遠くにすると、突如として現れる高層ビルの群れ。都市部の発展が見て取れる。遠くにそびえるビルは、雲を突き抜けるかのように高く、青空に映える。そのビルの中には最新の技術が集約されており、ガラス張りの外観が、夏の光を反射して輝いていた、都市の中心には、巨大な商業施設が並び、風華国の繁栄を物語っていた。


列車のスピードが少しずつ落ち、目的地に近づく。風華国は、伝統と革新が見事に調和した国だということが、車窓からの景色だけでもはっきりと伝わってくる。夏の熱気が一層感じられ、これからの旅路が期待に満ちたものだと確信させる瞬間だ。



「マジで日本ですやん」


「いい国でしょ」


凛はクシャっと俺に笑顔を向けそう言った


「ものすごく懐かしさを感じるよ..俺の祖父母が暮らしてた町もこんな雰囲気だったんだ」


「きっと気に入ってくれると思う3泊4日楽しもうね」


俺達は駅に降りるとまずは星獣達をペンダントから召喚し、その後今回泊めていただく凛の実家に歩き出す。


10分ほどで目的の家に着いた..


「でっか..」


俺は思わず立地なご自宅に声を漏らさずにはいられなかった


すると

 

「いらっしゃーい!遠いところからお疲れ様でした..さぁさぁどうぞお入り下さい。」

 

テンション高めの女性がエプロンの腰帯部分で手を拭きながらいそいそと出迎えてくれた。


「ただいまお母さん」


「おかえりなさい凛」


「今回の宿泊、許可してくださりありがとうございます。私はエンチャントレルム魔法学校3年、生徒会長及びギルド、サンクチュアリのリーダーを任されております。レイヴン・アーチボルトと申します。」


威厳のある立ち振舞で凛のお袋さんに丁寧に挨拶を交わすところを見るとやっぱりこの人は凄いと改めて思い知らされる。


「剣崎聖子と申します。硬い挨拶は抜きにしてさぁさぁ皆さんも早く上がってー!冷たい飲み物用意してありますから」 


剣崎家は、千年以上の歴史を誇る由緒ある屋敷で、その佇まいは威厳と格式を感じさせる。外観は、重厚感のある黒い瓦屋根が何層にも重なり合い、その下には深い色合いの黒壁が広がる。木造の梁がしっかりと家を支え、堂々たる門構えが家系の誇りを表している。門には家紋が刻まれ、訪れる者に剣崎家の歴史と力を感じさせる。


門をくぐると、広々とした砂利の敷かれた道がまっすぐ屋敷へと続いている。左右には手入れの行き届いた庭が広がっており、石灯籠やつくばいが点在している。庭の中央には古びた松の木があり、力強く枝を広げるその姿は、まるで剣崎家の不動の存在感を象徴しているかのようだ。庭には小さいながらも池があり、澄んだ水面に映る空と黒い外観が静寂な美しさを感じさせる。


続々とお邪魔しますと凛の家に足を踏み入れるギルドのメンバー達


俺は家に入る直前隣にある立派な家が気になりふと前にいるレオさんとルーシー先輩に話しかけた。


「ルーシー先輩、レオさんお隣さんって誰なんでしょうね?」


もちろんルーシー先輩は、はぁ?と言った顔で見てくるがレオさんが俺に隣にある家がどういう人物なのかを説明してくれた。


「あっちは盾島家の家さ」


「盾島家ってことは凛の婚約者の家ってことか」


「そうなの?それは初耳だなぁーまぁでも剣崎と盾島の絆みたいな話しは子供の頃から聞かされていたけどホントの話しだったとはなー」


感慨深いなーと頷くレオさんに俺はさらに質問をする。


「俺すっごく気になってたんですけど剣崎と盾島って1000年の間深い仲にあるって凛から聞いて、でもそれっておかしくないですか?」


「おかしいとは?」


「凛とその婚約者は親族にあたるかもしれないのに結婚するなんてヤバい家系だなと思ってまして」


「失礼な事をいうね君は」


俺とレオさんの話しに割って入ってるくるかのように男性の声がする俺は声のするほうに視線を向けると

黒い着物を羽織り腕組みをしながらこちらをジッと睨んでいる男性がいた


「ど、どうも..」


「勘違いする阿呆あほうがおるからこの際言っておくが剣崎家と盾島家は深い仲ではあるが人に誤解されるような事はしてはおらん!」


「すみません!あのどなたでしょうか?」


「先に名を名乗ることもできんのか最近の子供は!私の名は剣崎誠司!凛の父親だ!!そして先ほどの無礼な発言に対して説明してやるが我らは継承の鎖と呼んでいる掟がある、古くからこの二つの家系は深い絆を結び、両家がそれぞれの血筋を守るため、出生時に次の世代の婚姻相手が自動的に決まるという厳しい掟を守り続けているのだ。この「鎖」は、約束や契約を超えた存在で、両家の家系を継承するための象徴。鎖のように途切れることのない結びつきが、家系の血を濃くせず、外部の血を取り入れるために、慎重に管理され。各世代ごとに遠縁の者や新たな血筋が慎重に組み込まれることで、両家の血が濃くなることを防いでおる。そして私の娘、剣崎凛と盾島ワタルもまた、この「継承の鎖」によって結ばれた運命の相手。わかってるとは思うが娘に手を出したらどうなるか...」


腰にぶら下げている短刀の刃を俺にチラ見せしてくる凛の親父さんに俺は声を震わせ


「はぃぃぃ!けして娘さんには手を出すことはいたしませんのでご安心くださいぃぃ!!!」


「そうかならよかった」


その言葉が聞けた瞬間凛の親父さんはニパっと笑った


「お父さん..いきなり悠馬を脅すのはやめて」


「すまんすまん、ついカッとなってしまったもので」


カッとなったからっていきなり刃物を見せてくるのは犯罪ですよお父さん……


「いきなり怖かったよね?悠馬も家に上がって」


「あのさ凛、航って凛が話してた人?」


「今はその話しより、ほらほら荷物おきに行くよー」


凛に背中を押され急かすように2階に連れてこられると右の方角に広間が2つ縦に連なっている部屋が見える


「もしかしてここが俺達の泊まる場所?」


「そう」


「左にある部屋はもしかして凛の部屋とか?」


「そ、そうよ..//見せないけどね!さぁ早く荷解きして」


ちょっとでも凛の部屋が見れると期待した俺がバカだった..


凛に男子は奥の広間だからねと言われ俺はすでに広間で荷物を下ろしくつろいでいるジョン達の元に向う


「まさか女子とこんな壁1枚で仕切るなんてそちらも大体だな☆」


そうウィンクしスマイルをみせるレオさんになんの反応も見せず凛は襖を掴み


「この襖5重にできるんです、なので変なこと考えないでください!」


ピシャリと音がするかと思いきや一度に5枚の襖を閉めたものだからビシャン!と激しい音が鳴り心做しか女子メンバーとの壁を感じたような..


「ま、まぁこういうこともあるってことで!アハハ..」


「ホパもビシャンってしたいルー」


苦笑いするレオさんとなんにも理解していない阿呆のホッパーが女子の雷を落としかねない行動をしようとするので、俺はホッパーに一言殺されるぞと注意する。


女子の部屋ではあらかた荷物を下ろし終わったのかレイヴンが凛に話しかけ。


「凛、今回の目的の話しをお父様と話そう、おいレオ聴こえるか!?」


「なにー?なんにも聴こえない」


5重の襖が防音効果を発揮しているのかレオの声も小さく聴こえる


するとレイヴンは襖を開け


「レオ、お前も凛のお父様との会話に参加しろ行くぞ」


そして凛、レイヴン、レオの3人は一階に降り凛の父親と今回ここにきた理由等の話しを開始する。


「なるほど..そんなことが..確かにここ最近天気がおかしかったり妖怪が頻繁に現れるなどと異常な現象が起きてはいたが...」


「もし魔王が復活でもするなら世界は再び混沌と化すでしょう、なので今回こちらの風華国に出向き魔王の身体を持ち帰り復活を止めようと。」


「いやはや、ですが千年前の話しですので身体がどこにあるのか私にもさっぱりです..ましてや紙切れ2枚ではどうにもわかりません」


「そうですか...」


誠司の言う通り千年前の話しなど誰も覚えてるものはいないかと少し落胆するレイヴンに誠司はこう言う


「もしかしたら家の蔵になにか重要な書類が隠されてるかもしれませんな、私と妻で皆さんが帰る前になんとしても探し出しておくので皆さんはゆっくりとこの国を堪能して帰ってくだされ」



「との事だ、今は魔王の情報についてなにもわかってはいない凛のお父様の言葉に甘えてゆっくり休暇としよう」


レイヴンさんの報告が終わったあとルーシー先輩が手作りのしおりをみんなに配り始めた。


しおりに書かれていたのは『風華国をみんなで楽しもう!』と大きく書かれたタイトルに笑いそうになったが殺されるから生唾と一緒に笑気も飲み込む。


ページをめくると明日からの予定が書かれている


・2日目、みんなで海に行って海水浴をしよう!

・3日目、天翔祭を楽しんで花火を見よう!

・4日目、何事もなく帰ろう!


大雑把に言うとこんな感じほかにも頭がパンクしそうになりそうなぐらいに字が書かれていたが割愛させていただく。


「では本日はこれにて解散、夕食までには戻ってこい凛のお母様が手料理を振る舞ってくれるそうだ」


みんなレイヴンさんに元気よく「はーい!」と返事をし各自自由行動を始めた



その頃風華国の山奥にある大きなため池に怪しい人物が3人


「あっちぃーですわ」


「日傘さしてゴブリンに扇がせておいてそのセリフ」


「まぁまぁ、アリヤちゃん」


ダミアナ、サミラ、アリヤの3人やっぱりいるよね悪役だもの、み◯お  


「目的の場所に到着しましたわどなたか雛音さんにビデオ通話してくださらない?」


「私がしますね」


サミラはソサマを取り出し雛音にビデオ通話を繋げる


「はいはーい!こちら雛音だコン!」


「ナディアもいるよーん!」


「魔王もいるよーん!」

 

「大きな池につきましたここからどうすれば?」


「位置はちょうどその変だからそこで呼び出してほしい魔物がいるコン!ではよろしくーバイバーイ」


「風邪ひくなよ!」


最後の魔王様のセリフは一体?と3人は顔をてらし合わせる


「さ、さぁ始めますわよ」


「はい」


「了解」


3人はそれぞれの配置につくと同じタイミングで息を吸いそして同じ呪文を詠唱し始める


『蒼き深淵より湧き出でし、海流よ。汝、千の嵐を携え、全てを飲み込む王たる者よ。我が呼び声に応え、深海の支配者リヴァイサン、怒れる水龍よ、目覚めの時は今!』


呪文に反応したのかゴゴゴ...と地響きが起き、池の中心からゴポゴポと水が立ち上ってくる。


場面は変わりギルド、オブキュラス


「よしよし成功してるコン」


「ねぇー雛音さん、リヴァイサンって海の生き物じゃないんですか?どうしてこんな大きなため池で海の生き物を呼び起こそうとしてるのですか?」


「そんなことはいちいち気にしない気にしない、ここにいるのはあの伝説の..ゴニョゴニョ..」


「えぇぇ!聞いたことないですその名前」


「まぁ無理もないコン」


「それよりも雛音よなぜ我の胴体が風華にあるとわかった?」


「よくぞ聞いてくださいました!魔王様!実は前々からあることを独自で行っておりましてコン」


「それはなんだ?」


「この水晶玉に入ってるアプリを起動すると..じゃじゃーん!」


雛音が誇らしげに見せてきたのは『アナタの全てを丸除き!悪魔のブレスレット!操り機能付き』と書いてある画面が表示される、そしてミシェル・サイレンと書かれた文字と顔写真に切り替わり、ポチッとなと雛音がミシェルの顔にタッチするとお繋ぎしますお待ち下さいとロード画面に入る


「これでロードが終わると..ほら!」


「「ひゃあ!」」


乙女風な驚き方をする魔王とナディアの反応を見たに雛子がなになにー?と画面を覗き込むとそこに映っていたのは薄暗い部屋でデスクの明かりだけがついており、なにやらブツブツと独り言を言っているがいまいち聞き取れないそれよりも、3人の背筋を凍らせたのはノートにびっしりと同じ顔の男の写真が貼ってあったことだ


「やだ..気持ち悪い」


まだ乙女モードの魔王


「こいつユウマって呼ばれてた男だコン」


「待って!なにか言ってるわ!」


乙女モードの魔王がしぃーと二人を静かにさせるとさっきの独り言が聞こえてくる


「ユウマくーん..ユウマくーん..どこにいるの?会いたいよ..ユウマくーん」


「ひぃー気持ち悪いわー!」


「魔王様いつまで乙女でいるつもりですか?」


冷めた目で見るナディアにようやく冷静を取り戻しコホンと咳払いをする。


「話しはそれましたがこのミシェルという女を使って日常会話を盗み聞きしていましたコン」


「な、なるほど..それでサンクチュアリの奴らが風華に向うとわかったのだなよくやった..後早くその画面消しなさい..一人でトイレにいけなくなる」


「「意外に怖がりなんだね」」


「うるさい」 


[おまけ]


「かき氷ってなんですの?」


日傘+ゴブリン隊に風を起こしてもらっているダミアナが古民家な駄菓子屋を指差している


「知らない」


「かき氷っていうのは冷たくて美味しいスイーツのことですよ、食べて行きましょうか」


サミラの提案に子供のようにワクワクさせる2人


「ごめんくださーい」


「いらっしゃい」


ヨボヨボなおばあちゃんが部屋の奥から現れる


「かき氷3ついただきますわ!」


「何味にするんだい?」


「もちろんわたくしは血に飢えたヴァンパイア!真っ赤な色のいちご味にしますわ!」


「私もいちご味がよかったけどダミアナさんと被るからメロンでいいわ」


「アリヤちゃんがメロンならお姉ちゃんはブルーハワイにしよー♪」


「ちょっと待ってなね」


おばあちゃんにそう言われウキウキさせながら初のかき氷を楽しみにする3人こちらも無事かき氷にありつけるか?


次回![第三十八話、愛と太陽が微笑む]                   


                              

     


                          

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