[第三十三話、続・艶姫]
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「ユウマくーん♡」
「んーむにゃ..むにゃ..うわぁ!ジュリア先輩その格好どうしたんですか!?」
ヒソヒソと耳元で囁き寝ているユウマを起こすジュリアに驚くユウマだが起こされたことよりもスケスケランジェリーを着ていることに驚いてしまった。
「きゃ♡ユウマ君のえっちぃ♡もうこんなになってるゾ..私が手伝ってあげる♡」
「だ..ダメですって先輩♡」
「はよ!おきんかーい!!」
雷のような声に目を覚ますと目の前にはニヤニヤしてるジュリア先輩とイライラしてるフェイ先輩が俺の顔を覗き込んでいた
「なにが、だ..ダメです先輩♡やねん!はよ起きてさっさと行くでー!」
俺の恥ずかしい寝言をリピートし、そのまま階段を駆け下りていくフェイ先輩
するとジュリア先輩が俺の息子を指差し
「立派なテント張ってるよ♡私の夢見てたの?ンフフ♡嬉しい」
そう言うとイタズラに階段を降りていった。
「変なとこ見られた..最悪だ……」
「ルー?」
俺達はフェイ先輩のご両親に、泊めてもらったお礼を言い今回の目的であるダンジョンに向かった
歩くこと15分
ようやくダンジョンの入口前まで着いた。
入口の横には大きな看板が立ててあり[ほんまか!?組私有地]と書かれていた。
「ここで例の服に着替えんで!」
フェイ先輩の一言で俺達は隅っこで作業服に着替えた。
「ヨシほないくでー!」とやけに張り切っている先輩を先頭に歩いていると目の前にエレベーターが現れた
「このダンジョンってエレベーターあるんだ..ハイテク」
先日リン達と入ったダンジョンに比べてやけに設備が整っているダンジョン関心しているとエレベーターからアナウンスが流れた
「エレベーターお乗りになりますか?」
「フェイ、このエレベーター話すアルよ」
「怪しいじょ」
「乗ります乗りまーす!乗せてくださーい!」
勢いよく手をあげエレベーターに備え付けられているカメラに近づくフェイ先輩
「わかりました、ではクイズです」
一同が声を揃えてええークイズー!と思わず心の声が漏れるがアナウンスは気にもせずそのまま話しだした
「この組みを仕切っている組長は誰でしょう?従業員の方ならおわかりになられますよね」
「アハハ..そ、そんなん簡単やん..なぁー!」
「ほ、ほんとだよ..私達の組長さんだもんねー!」
「お、おう!俺達の組長さんだもん」
「ホパわかんないルー」
「僕もじょ」
「リエルもだアル」
各々が自分の星獣の口を塞ぎ、しぃー!と指でジェスチャーをする。
「早く答えてください」
アナウンスの中の人は苛立っている様子だ..
早く答えないとマズイぞ..フェイ先輩頼みます!
するとジュリア先輩がフェイ先輩の耳元で先ほど他の従業員がダヨシさんはどうたらこうたらと話してるのを聞いたと伝えるとフェイ先輩はヨッシャ!ウチらの勝ちやー!と言わんばかりに堂々と声をあげる。
「ダヨシさんや!」
しばらく沈黙が続く..あってるの!間違ってるのか!
「正解ですが不正解です!答えは杉子さんとダヨシさんです..お前らぁぁぁ!ここの人間ちゃうなぁぁ!とっ捕まえて煮て食うたるさかい待っとれよぉぉ!」
「「「ヒィィィ!!ごめんなさーい!!」」」
ジリリリと警報が鳴り響くとにかく走るしかない!そう思い隣にある階段を使い下に降りる。
「もう!フェイちゃんなんで間違えるのよー!」
「そんなんウチだけのせいちゃうやーん!」
「二人とも話してないでもっと早く降りろー!」
待てぇゴラァァ!や逃がすかワレェェなど怖い言葉を発しながら俺達を追いかけてくる組の人達
突然ジュリア先輩は降るのをやめ手でハートを作り組の人達に魔法を唱える
「ちょっと眠っててね♡くらえ!」『プラズマハートオーブ♡』ジュリア先輩のハートを作った手からポワンといくつもの電気を帯びたピンク色の雷球が現れた。
かなりの速度で階段を降りていた従業員達は急に止まることはできずジュリア先輩のオーブに触れてしまう、するとちょっと眠っててどころじゃない威力の電撃を浴びせられあっという間に真っ黒クロスケになってしまった。
「ちょっとじゃない..じょ」
「えへへ、魔力込めすぎちゃった」
テヘペロみたいな顔してますけどなかなか恐いですよ!アナタ!
追ってもいなくなりここが目的の場所なのだろうといった場所に着く
「ここに箱があるんですか..?」
俺が驚くのも無理はない..地下3階に着いたとたん永遠と広がる虚無のたて穴が視界に飛び込んできた。
闇が広がる奥からは静かではあるが嫌な風の音が聞こえ思わず鳥肌が立つ
「フェイちゃん怖いよー」
「大丈夫ウチの手握っとき」
怯えるジュリア先輩の手をギュッと握りもう片方の手に杖を握ると基礎魔法にある光を照らす魔法を唱え辺りを照らしながら歩き始める。
「お化けでも出そうだじょ」
「わぁ!」
「じょー!!」
「ルルル(笑)」
怖がってるムニンを驚かしお腹を抱えケタケタと笑っているホッパーもちろんムニンも黙ってはいない
「ホッパーなにするじょ!このこの」
「えーんムニンに突かれたルー」
ほらな..言わんこっちゃない
するとリエルがなにかを感じたのか鼻をクンカクンカさせ全速力で走っていってしまった
「ちょ!リエル待たんかーい」
リエルを追いかけるフェイ先輩も闇に消えていってしまった。
「ジュリア先輩、俺達も行きましょう」
「う、うん..」
真っ暗な闇から目を細めてしまうほどの光がダンジョンを一気に照らしだした。
「おーい!ユウマー!ジュリアー!こっちこっちー!」
先輩の声がするほうに向うとそこには箱と先輩とリエルが立っていた
「なんだ箱あったんですね」
「せや!リエルが感じて走って行ってしもた原因はこの箱を察知したからやねんて!なぁーリエル」
「えへんアル!」
「それじゃあ持って帰りますか..」
と、突然ものすごいスピードで箱を手にしたユウマ目掛けて突っ込んでくる
間一髪でグローブを強化し攻撃を防ぐユウマに「お久しぶり..」と剣を握りしめ話しかけてきたのはアラビア三姉妹三女、アリヤだ
「な!お前っ!ぐはぁ」
アリヤに右の腹部を蹴られ壁に吹き飛ぶ
「ユウマくん!アンタなにするのよ!」アリヤをバラバラにしてやろうとジュリアは糸をアリヤの身体に張り巡らせるが華麗な剣さばきでジュリアの糸を簡単に切ってしまった。
するとユウマ達が来た方向から[ほんまか!?]の組長ダヨシと杉子が現れた。
「お前ら!よくも俺らの島に無断で足ツッコんでくれたな!許さんからなーヒーハー!」
「覚悟しろよ!お前らヒーハー」
「お前はヒーハー言うなって」
「なんでやねん!俺にも言わせてくれやぁ」
突然のコントが始まり不思議な空気感になってしまう
するとアリヤは落ちている箱を手にし杉子達の元に移動すると杉子とダヨシにこう言った
「後は任せるわ..コイツらを殺してくれたら報酬は倍にする..」
そう言って闇に消えていった
「報酬が倍ぃぃ!?やるしかないな!変身やダヨシ!」
「おう!悪人戦隊ブラックレンジャーに変身!」
ダヨシと杉子が黒いハートを掲げると2人を闇に包み込み変身タイムが始まる
「いてて..」
「大丈夫アルか?回復の魔法アル」『リカバリーブレス』リエルの周りに温かい風と白い羽がユウマを包み込み先程の戦闘での傷を治療する。
「私達も魔力供給しないと..ユウマくーん!」
ユウマの元に駆け寄り杉子達が変身してる間にこちらも魔力供給をしようと提案する
「魔力供給しよ!私達の愛の力見せつけよう!」
「はい!お願いします!」
「お願いしますちゃうねん」
バシ!っとユウマの頭をハリセンで叩きサラッと衝撃の事実を知ったフェイは口早に話し始めた
「お願いしますも魔力供給しよ!もアンタらいつの間にヤることヤってんねん!いつや?いつ契約シたん?言うてみ!このフェイにちゃんと説明してみぃ!」
「黙っててごめんなさい..だけど私達が契約したのには深い理由があって」
「そ、そうです説明は後でたっぷりしますから!まずはジュリア先輩に俺の魔力を挿れさせてください!」
「わかった..ウチは見やんとくからごゆっくり..」
二人は両手を握りしめ合う
久しぶりの魔力供給にちょっぴりドキドキしているのはジュリアのほうだ
「じゃあ先輩イキますよ♡」
「うん♡沢山頂戴♡」
二人はお互いの頬にキスをするまずはユウマから
ユウマの久しぶりの魔力に思わず艶っぽい声が漏れてしまう
(初めてシたときよりも凄く上手になってる♡ユウマくんとするの癖になりそう...)
沢山の魔力を貰い顔が紅潮してしまっているジュリアだがジュリアも続くようにユウマの頬にキスをした
(首筋に伝わる魔力がすんげぇ気持ちいい♡あーこれはヤバい♡)
少しピリッとした電気が辺りを包みしばらくすると魔法陣が消え儀式が終わったことがわかる。
「力がみなぎってきた!ムニン神獣に変身よ!」
「ホッパーも変身だ!」
2人の言葉に星獣二匹は神獣へと進化した。
「長いねん!」
「へ?」
「だから長いって言うてるんや!こっちは変身終わってんねん!」
ダヨシのツッコミに思わず固まるユウマ
すると杉子がダヨシにこう言う
「ダヨシは兄ちゃんのほういけ俺はあの可愛い子ちゃんと戦うわ」
「あっ!そんなんズルい!待てや!」
杉子はジュリア目掛けヒーハーと叫びながら火を吹き襲いかかってきた。
ムニンが火を防ぎジュリアの事を守る、ジュリアは『スレッド・ピンク・ショック』と技を叫びながら杉子に糸を張り巡らせ捕まえると凄まじい電撃を身体に流し込んだがヒーハーと叫び糸を簡単にブチブチと破いてしまう
ユウマには目もくれずフェイに向かって走るダヨシが金属バッドを勢いよく振り下ろす、フェイも負けてられないと自身よりも長い棍を呼び出しダヨシの攻撃を受け流す
「お嬢ちゃんは誰ともキスせえへんのかいな」
「う、うるさいわ//余計なお世話や!」
相手がいないとからかわれ動揺してしまったフェイだが母親仕込の棍さばきでダヨシを翻弄する。
「俺のこと忘れるなぁぁ!」ダヨシに無視され可愛い女の子のほうがいいという現実を思い知らされながらもダヨシに向かってパンチをくり出す
ユウマが飛びかかってきた事に気づいたダヨシはいきなり片手で鼻をほじくり鼻くそをポイっとユウマに投げると投げた鼻くそから猛毒の瘴気が発生する
いきなりの攻撃に思わず毒を吸ってしまうユウマ、ホッパーが急いで駆け寄りその場を避けユウマを壁の隅に置く
「ムニンこっちに来てこのアホンダラと戦って!」フェイの言葉にムニンは頷きフェイの代わりにダヨシとの戦闘を開始する。
毒を吸い込み意識がモウロウとしているユウマに近づき意識を確認するフェイ
「しっかりしい!大丈夫かいな」
「け..結構..ヤバいです..」
ホッパーもジュリアの戦闘に参戦し戦いを始め、ジュリアにユウマの元に行ってほしいと促した
「ユウマくん!あぁ可哀想に..フェイちゃんなんとかならないの?」
「なるよ、なるけど上級魔法使わな治せんへんからこの魔法使ったらジュリアあんたがウチらを守ってや」
「わかった!任せて」
ジュリアの心強い言葉にフェイは「初めての上級魔法やから緊張するわ」と言いながらも詠唱を始めた。
『汝の身体に宿りし穢れよ、清浄なる光の中で消え去れ。
我が力をもって浄化せん、ピュアリファイ・セラム』
フェイの手に眩い光が宿りユウマの身体に巡っている毒素を浄化していく、だがなかなか毒素が抜けきれずさらに魔力をユウマに注ぐ
ジュリアは組長2人を一気に感電させ黒焦げにしてやる勢いでピンクの本を手に持ち魔力を高め全力で詠唱を唱え始めた
『轟け、忘れ得ぬ雷の衝撃よ!心を貫け!我が手に集いし雷電よ、アンフォーゲッタブル・ラッシュ』
「これで終わりぃぃ」そう叫び特大の雷球を杉子とダヨシにぶつける、二人は喉が焼け付くほどの叫び声を上げ跡形もなく灰と化した。
「やった!私ってばできる子だもんね!」
「ふぅ..こっちもなんとか治療終わったわ..もうアカン歩かれへんおぶって帰ってなー」
あれ?俺確か汚い鼻くその猛毒を吸ってそっから..ヤバい!みんなは!?
「みんな!無事か!」
「ん?無事やで」
「おはようユウマくん♡」
「あれ?ここは列車の中?」
「もう終わったから心配しないで」
「じゃあ!箱は」
「残念やけど捕られてしもうた」
「そうですか..」
「大丈夫だよ!1個目のヒントはわかってるんだしなんとかなるよ!」
「ですよね..」
落ち込むユウマを見てフェイはやれやれと言った顔して背中を思いっきり叩く
「アンタが落ち込んでどないすんねーん!」
「いっだぁぁぁ!もうちょい優しく!怪我人っすよ!」
「そんなもん知らん!なんか喉乾いたわー星獣達なんか飲み物でも買いに行こかー」
フェイは星獣達を引き連れ列車の個室を出ていく
二人だけの空間いつもならまっさきに飛びついてくるはずのジュリアが来ない
「あの..先輩が守ってくれたんですか?」
「へぇ?あぁ!うん!そうだよ!すっごい私ねカッコよかっ..」
「ごめん!俺が守ってあげられなくて!いつも先輩に守ってばっかりで俺..俺」
ジュリアを抱きしめ、自分の不甲斐なさに泣きそうになるユウマの身体を優しく擦り
「大丈夫だよ..私のほうこそいつもありがとう..こんな性格の私を慕ってくれて守られてるばかりなんて思ってないよ、むしろいつも元気もらってるからそのお返しだと思ってくれたらいいんだよ。たまにはお姉さんに甘えて」
「先輩..」
ジュリアはしばらくユウマを見つめ少し照れくさそうにこう言った。
「大好きだよ..ユウマ君」
「あの俺..」
「返事はまた今度聞かせて」
情けなくもユウマはその言葉に返事を返すことはできなかった。
「フェイ中に入らないルー?」
「もうちょい2人にさせたろ」
[おまけ]
「そういえばフェイ先輩も俺も歩けない状態で誰が担いでくれたんだ?」
「ホパがユウマを抱っこしてダンジョンから出たルー!」
「ホッパー..お前って奴は..」
「なにがお前って奴は..だじょ、お前重いし身体も硬いし大変だったんだじょ」
「それはすまん..帰ったらなんか奢るよ」
「硬いのは身体だけじゃなかったよ♡」
「ジュリア..星獣達が聞いとる..」
「あは♡ごめんごめん大人の話しだよ」
「ホパ知ってるルー!ユウマいっつも夜にベッドでゴ..」
余計な事を口走りそうになるホッパーの口を抑え
「アハハハ..ホッパー余計なこと言わなくていいぞー」
「どアホ」
次回[第三十四話、俺の嫁その3、双の炎姫]
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