[第三十二話、俺の嫁その2、桃色の艶姫] 


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「そうかいそうかい、それは悲しいよなわかるよ…うん、わかったよまた帰ってきたらその話しきくからじゃーな」


プツとソサマを切る


「なんや恋の相談受けてたんか?音ダダ漏れやったで」


「そうです、あれからルナ先輩が話しかけてくれないどころか遠ざけられてるかもってジョンがしつこくて」


「ジョンくんも私みたいにこうして好きな人にぎゅーっとすればいいのにね♡」


フェイ先輩と列車の車内で話してる俺に抱きついてくるのは美人な先輩ジュリアさんだ


「あぁー!またユウマが僕のジュリアをたぶらかしてるじょー!」


「痛い痛い!お願いだから突くなよ!お前に突かれると次の日たんこぶが出来るんだからよ」


フン!と顔横に向け憎たらしく、またホッパーとフェイ先輩の星獣リエルの元に羽ばたいていった。


今回のダンジョン探索はフェイ先輩とジュリア先輩そして俺の3人と3匹でのクエストだしかも今回向う場所はフェイ先輩の故郷だ。


列車に揺られること30分扉が開くとすぐに食べ物のいい匂いがしてくる。


「やべぇ..腹が空いてきた」


「いい匂いやろーウチの街は食べ物で有名やからな」


改札を出るとそこには俺が先日シルベスターさん達と見た宮殿にそっくりな建物が並んでいる。中国の建物に似ていると思った正体はこれだったんだな…


長い階段もあるしほぼ中国じゃんこんなの..


「とりあえず腹ごしらえするためにウチの実家行こか!」


フェイ先輩に連れられ俺達は先輩の実家に足を運ぶ

実家に着くとすぐに先輩のお母さんが出迎えてくれた虎のTシャツを着て..


「フェイちゃんおかえり〜!この人達がギルドの皆さん?はじめまして!フェイの母親です〜」


「はじめまして!フェイちゃんの同級生のジュリア・ペシュールです」


「はじめまして、後輩のハヤシ・ユウマです」


「あんらージュリアちゃん偉いべっぴんさんやなー!ユウマ君もちょっとだけ男前やな知らんけど」


子より強烈なお母さんの登場に少したじろいでしまったが愉快そうなお母さんで安心した


フェイ先輩のお父さんも優しくて面白い人で俺達とはじめましてにも関わらずうちのお好み焼きは絶品やからとお腹いっぱい食べさせてくださった。


「もうお腹いっぱいルー..」


「僕もだじょ..」


「僕もアル..」


「そんなん言わんと、スイカも切ったあるよ」


「オカン..今はいいわ!また夜食べるから置いといて、ごめんなーお客さんきたらすぐにこうなるねん」


「いや、全然嬉しいです。俺の親も見習ってほしいぐらい」


つい、親の話しをしてしまったもうあんな親とは縁を切ったつもりだったのに


「どうしたの?ユウマ君?浮かない顔して」


「なんでもないですよ!それよりダンジョンに向かわなくていいんですか?」


「せや!ウチらご飯食べにきたんちゃうねん!ダンジョン探索にきたんや」                      


すると先輩のお父さんが


「ダンジョン?ダンジョンってあの洞窟に用事あるんか?」


「せやねん..詳しくは言えへんけど行かなアカンのよ」


「あぁーあそこは今[ほんまか!?]の島になっとるから入られへんど」


「嘘やーん!あの[ほんまか!?]がどないしよ」


なんだその[ほんま!?]って、しかも島って言い方まるでヤクザじゃん。


考えこんでいる先輩に俺は[ほんまか!?]の事を聞く



「フェイ先輩あの考えてるとこ申し訳ないんですがその[ほんまか!?]ってなんすか?」


「この街にはな、いくつもの組があってなその中で一際強い言うか街を牛耳ってる組がその[ほんまか!?]やねん」


へぇー組ねぇ...完全にヤクザやないか!


「ちょ、ちょっと待ってくださいそれやばくないっすか?」


「ヤバいどころやないよ..しかもアイツらは魔王の手先やったんやから」


フェイ先輩はこの街ができた話しをしてくれた、この街は魔王が封印された後世界各地に散らばった手先の何人かで作り上げた街の1つ


だが魔王もいなくなり、崇拝するものがない状態で目的を失った人達が次に立てた目的はこの街を大きくし自分達だけの国を作り上げ誰にも頼らず生きていく、当初は皆で一丸となって切磋琢磨していたが次第に争いは増えそして我こそはこの街の長だ!と名乗る人物が何人も立候補しその中で争い勝ち抜いたのがその当時の[ほんまか!?]の頭首だそうだ


「でもなんで今さらずっと放置されてたダンジョンを自分達のテリトリーにしたんだろう」


俺の言葉にフェイ先輩のお母さんがこう言った


「さいきんなんか知らんけど、この街の人間じゃない人があのダンジョンに出入りしてるみたいやで近所のおばちゃん達で噂になっとるんよ」


「それって!オブキュラスが絡んでるんとちゃうん!」


--ダンジョン近くの建設事務所--


「全然見つからへんやんけ!どないなっとんねん!」


そうドヤしながら小太りのいまにもヒーハーと言いそうな薄毛の男が机に足を乗せタバコをふかしている


「それはアナタ達の作業員が仕事できなさすぎるからだわ..」


死んだ目で小太りの男の言葉に返している人物はアラビア三姉妹の末っ子、アリヤだ


すると、扉が勢いよく開き開口一番文句を言いながらソファに勢いよく腰掛けた顔の肌荒れが酷い男がこう言う


「アカンアカン!アイツらへばり過ぎて使いもんにならへん!杉子やっぱりアリヤの嬢ちゃんからゴブリン借りたほうがええとちゃうか?」


肌荒れ男の提案に杉子は少ない髪をイジイジして考えている。


「ゴブリンはタダで貸すわ、その代わりこのダンジョンに近づく者がいたらこの黒いハートを使ってそいつらを消して..」


そうハートを机に置きアリヤは「よろしく..」とだけ言い残しこの場を後にした。



「ねぇユウマ君どっか行こうよ」


「ジュリア先輩行きたいのは山々ですけど、今こうして考えてるんじゃないですか」


「違うよー街を探索したらなにかあるかもしれないじゃない?」


「それはそうですけど..」


「行ってきたらいいやん!美味しい食べ物もいっぱいあるしここは恋の神様がいることで有名やから」


「うそーん♡じゃあ遠慮なく♡星獣達はお願いね」


ジュリア先輩に強引に連れられ俺と先輩での街探索?に向かった


二人でパフェをつつき、恋が叶うおまんじゅうを食べさせ合い、二人でお揃いのアクセサリーを買い、最後に恋愛成就で有名な神社にって...


違ーう!!


「先輩!」


「ん?」


「俺達ただデートしてるだけじゃないですか」


「そうだよ♡」


「そうだよ♡..じゃないんですよ!どうにかダンジョンに入れるよう..に..」


「嫌だった?ごめんね..」


手を強く握りしめ、うるうるした目でこちらを見つめてくる..うぅ..その目はズルいッス


「嫌じゃないですけど」


「けど?」


「1つ聞いてもいいですか?」


「何でも聞いて♡」


「先輩はどうして俺のこと..その好きなのかな..って」


俺の言葉にしばらく指を口元に持っていき、んーと考えこむ


そして俺をベンチに座るように促し隣に座ってくると少し照れたような素振りを見せ


「キミに助けられたから..私こんな性格だから私のこと嫌いな人いっぱいいると思うのね、だけどユウマ君は嫌いとか好きとかそんな感情で私と接してこないでホントの私を見てくれてる気がするの」


「だけどサンクチュアリのみんなはジュリア先輩のことちゃんと見てますよ?だったら俺を好きになる理由にはならないじゃないですか」


「確かにそうだね..サンクチュアリのみんなもユウマ君と同じくらい見てくれてるのは知ってる、だけどユウマ君は違うの」


「なにが違うんですか?」


「そんなこと私に聞かれてもわかんないよ、だって好きに理由なんてないもん//私はキミが好きホントに心からキミが好きなの」


「先輩..」


「ユウマ君はどうなの?私のこと好き?それとも違う子が好き?」


「俺は...」


先輩にそう聞かれて真っ先に頭に思い浮かんだのはレイラとリンの顔だった、もちろん先輩も大好きだしレイラもリンも大好きだ難しい質問に俺は言葉をが出てこない


「黙るなんてズルいよ」


「ごめんなさい」


少しイジケた顔して目を合わせてくれなくなってしまいなんだか空気が重くなってしまった。


すると先輩がこんなことを言ってきた


「私のこと好きならキスしてよ」


「ふぇ!?今ですか!?」


「うん..」


ジュリア先輩は軽く頷くと俺のほうに身体を向けキスを待っている


これはキスしたほうがいいのか?だけどここでキスしたら先輩を傷つけてしまうんじゃないだろうか


目を閉じている先輩の目から一粒の涙が溢れた、その涙を見て俺は思ってしまった。


本気で俺のこと好きでいてくれてる..あぁ先輩


ドンドン近づく距離激しく脈打つ鼓動抑え唇に触れそうになる..


「アンタらここでなにしてんねん」


突然のフェイ先輩の登場に俺達はびっくりしてしまいとっさに距離を離した!


「フ、フェイちゃん!?なな、なにしてんの!?」


「これはこっちのセリフやアンタら浮かれすぎ、これでダンジョンに潜りこめるで」


ヒョイとなにかを俺に投げてきたよく見ると、作業服のような物にも見える


「先輩これって」


「これで『ほんまか!?』の作業員になりすまして中に入るんや、連中どうやらウチらとおんなじブツを探してるみたいやからな」


「探すってダンジョンの奥にポンって置いてないの?」


ジュリアの質問にンナあほなと言った顔で


「そんな物騒なこと誰がするねんここはそういう治安のいい街ちゃう、決行は明日にしよ今日はもう遅いからな」


こうしてフェイ先輩の作戦題して[ほんまか!?の連中を出し抜いて忍び足で持ち逃げ大作戦や]が明日決行させることになった。



その日の夜フェイの私室でフェイとジュリアが話しをしている。


「フェイおやすみアル」


「おやすみリエル」


「おやすみ僕のジュリア」


「おやすみ私のムニン」


「ジュリア、昼のあれなんやったん」


「アレって?」


「誤魔化すなやーユウマとチューしようとしてたやん」


「あぁ..だってユウマ君のこと好きすぎてつい」


ジュリアの言葉に深いため息をつくフェイ


「あの男はやめとき」


「どうしてよ」


「あれは女泣かせや、ちょっと可愛い顔してるからって調子に乗っ取るウチにはわかる辞めとき」


「彼氏できたことないフェイに言われたくないよ」


「失礼なやっちゃなー!親友のウチが言ってるんや言うこと聞き、ルナもルーシーも言うてたわアイツはヤバいって」


「絶対嘘だルーシーならともかくルナちゃんはそんなこと言わないよ」


「直接言うてなくても言ってねん!ウチにはわかるねん、とにかくや辞めといたら..ってコラ!人の話し聞いてるんかいな」


「おやすみー」


「おーい!ジュリアーー!」


[おまけ]


「月光ハーブティーを2つ僕のはシロップ2個入れてください」


おまたせしましたと店員がルーシーに手渡し、もう一つの飲み物をルナに渡す


「ありがとう」


ルーシーはズズズと一気に飲み干すと不満そうに文句をたれる


「どうして僕じゃなく!あのハヤシ・ユウマがジュリアとフェイとクエストに行ったんですか!?僕だって恋の神様にお祈りしたかったのに...」


「仕方ないじゃない」


「慰めになってません!だいたいジュリアにユウマを近づけてはダメなんです!アイツは女泣かせですからね!」


「そう?」


「そう?じゃないんですよ!?そうなんですよ!ルナはわかりませんか!?あの男の本性が」


「いい子だと思う」


「ハッハーん、そうですかそうですよね今は人のこと考えてる余裕なんてありませんよね、だってジョンとの事でお忙しそうですから」


ケタケタと笑うルーシーに無言で銃を突きつけるそして銃声の音だけが空に響き渡った..


次回[第三十三話、続・艶姫]             

                   


                                                                    

          

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