[第三十話、俺の嫁その1、風の剣姫]


淡い色の間接照明、身体の重みできしむベッド


銀髪の男と風の姫が2人  


「電気消そうか」


「明るいほうがいい..」


時は遡り、7/10

 


「レイヴンさん、用事ってなんだろ」


「わざわざカフェに呼び出すなんて、珍しいよねしかも私とユウマだけなんて」


オレっちも、ホパも『いるぞ』とリンに存在を示す2匹、ようやく外出許可が下りて浮かれ気味なのはわかるがここはカフェだ…もう少し静かにしてくれ..


「なんだもう来てたのか」


「レイヴンさん今日はなんの用件ですか?しかもこんなカフェで」


「あぁ、別に意味はないカフェインを摂取したかっただけだ」


レイヴンはそう言いながら、店員さんにカフェラテを注文する


「さて、本題に入ろうか..ここ1週間の間にまた新たな呪物の情報が入ってきた情報元は研究所から、古い日記の復元作業をおこなった結果これは偉大なる魔法使いデュークと小十郎がつけていた日記とわかった」


「へぇーじゃあそこに次の呪物を納めた場所が書かれてたんですか?」


「いや、正確には書かれてはないが呪物を隠した場所のヒントを書いた3枚の紙をそれぞれのダンジョンに隠したと書いてあったそうだ」


「ダンジョンですか?だけどダンジョンって今はどこも封鎖されてると聞きますが..」


「え?ダンジョンってよくある、魔物がいて奥の部屋に宝箱がある?ダンジョンだよな?そんなの封鎖したら冒険者の仕事がなくなるじゃん」


リンからダンジョン封鎖なんて夢のない言葉を聞き、ちょっとだけ落胆してしまった…一度くらいはダンジョンに入ってみたかった…ん?いや待てよ?レイヴンさんさっきダンジョンに隠したって


「ようやく、理解ができたようだなそうだ今回は私とリンそしてユウマの3人でここから東にあるダンジョンに向う出発は明日の朝、一泊の予定だから荷物は持ってきてくれでは。」


相変わらず一方的に話を進める人だ..


「フフ」


「なに笑ってんだよ、リン」


「いや、レイヴンさんが去っていったときのユウマの顔唖然として面白いなぁーって」


いきなり決まった遠征に少し戸惑いながらも眠い目をこすりながらみんなと待ち合わせの列車に向う


7/11 


「ふぁぁ~まだ眠いルー」


「おはよっスーじゃなかった…おはようでござる〜」


「なんだ、ホッパーはまだ眠いぎゃ?」


「みんな、おはようでは出発しようか」


「「はい」」


列車に揺られること、3時間

俺達が着いた場所はなんともまぁ古典的な村だ

ここに住んでる人達は普通の人間じゃないのだろう顔見ればすぐにわかる竜人族と同じく耳が尖っていてどことなく顔がみんなツリ目気味だ、レイヴンさんは俺達に「ここはエルフが住む村だ」と教えてくれた。


「とりあえず荷物を預けに今晩泊まる宿に向かおう」


レイヴンさんはそう言うと、さっさと歩き始めた遅れまいと俺もリンも着いていく



ユウマ達以外にもこの村に訪れている人物がいた


「あれって…サンクチュアリの奴らだコン」


屋根の上からサンクチュアリのメンバーを見つけ、最悪といったような顔をしている雛音とナディア


「アイツらもダンジョンに向かってるのかな?」


「なんでアイツらがここのダンジョンに魔王様の身体を隠してあるヒントの紙があるって知ってるコン…まぁいいや、ナディアあいつらの処理頼んだコン」


雛音の命令にナディアは元気よく敬礼をする

 

「アイアイサー」



ここが今日泊まる宿か…なんか古いけどいい感じの宿だなぁ


俺が宿の幻想的な雰囲気を感じているとホテルのスタッフがなにやら困った声で


「あぁ…お客様困ります!その大木は滑り台ではございません」


その言葉に目を向けると星獣達が受け付けの近くに立っている大木をつかって滑り台をしている


「あなた達!いますぐ降りなさい!レイヴンさんにいいつけるよ!」


「それはダメルー」


「ヤマトマルもなに調子に乗ってるの、ペンダントに入っとく!?」


「それだけは…ごめんなさい」


そうだそうだ!ちょっとは怒られて反省しろ!この前もレイヴンさんにこっぴどく怒られたのにまだ懲りてないのか星獣達は。


「みんな、荷物をおいて早速ダンジョンに向おう、どうした?なにかあったか?」


リンはレイヴンさんに星獣達のことをしっかりと報告する、そして各自部屋に荷物を起きに向うときにレイヴンさんはリュカの尻尾を掴み部屋に戻っていった…


数分後、俺達は宿を出てヒントが書かれている紙を探しにダンジョンへと向かう。


村からはあまり遠くなくあっという間にダンジョンの入口に着いた。


レイヴンさんを先頭に、俺は初めてのダンジョン探索を体験する魔物がいて危険だそうだが俺はワクワクしていた!していたんだ……


「ほんとに最悪…なんて卑怯なの」


「酷い匂いだ..とりあえずシャワーを浴びよう」


確かに俺達はダンジョンに入った、だけどすぐに引き返しました…なぜかって?それは


「あんな少し進んだ先に汚物を捨てる穴があるなんて酷い!!」


リンがなぜこんなに怒ってるかって?説明しよう、俺達は意気揚々とダンジョンに入り進みました、そかは腐臭の穴とエルフ達の間で呼ばれている場所だと出発前にレイヴンさんが受け付けのエルフに聞いたそうだ、だが肝心な事を聞かなかった為にこうなってしまった、そしてあのダンジョンにはオークが住み着いていてダンジョン目的で近づく盗賊や冒険者達をこうして罠にかけ遊んでると…


レイヴンさんは部屋に戻る前に「今日はもう休もう…明日オーク達を皆殺しにしてやる」とだけ言い残し部屋に戻っていった


「俺も部屋に戻ってシャワー浴びてくるよ」


「ま、まって!」


「どした?」


「シャワー浴びて着替えたら、一緒に夕食食べない?」


「構わないよ、じゃあ後でな」


とにかくこの強烈な匂いを早く落としたくて、なんども身体を洗いついでに髭も、ほらなんかあったらダメだろ……ぐへへ


「ユウマ気持ち悪いルー」


「あぁーうるせー子供は黙っててくださーい」


そしてこちらもなにかを期待しながらお風呂に入ってる人が


「リン様、なにもそんなところ剃らなくてもいいじゃなでござるか」


「人の身体見ながらどこ剃ってるか実況しないで」


「もしかして、ユウマとでござるか?」


「もうペンダントにぶち込む」


「そ、それだけはー!」


シャワーを浴び終え、ベッドに横たわりながらメリファと通話しているレイヴン


「フフ、散々だったわね」


「ホントだよ..それよりそっちはどうだ?」


「なにも心配いらないわ」


「そうか、ならよかった」


「あぁでも1つ問題が」


「なんだ?」


「私が貴女に会えなくて寂しいという問題が発生してるわ、フフ」


「////」


「レイヴン、なに顔赤くなってるぎゃ?」



「ヨシ…匂いもとれた..」

 

部屋を出るとちょうど同じタイミングで部屋を出てきたリン、とりあえず飲食店を探しに村を散策する。


「ユウマはなにが食べたい?」


「んー肉!」


「男の子ってそればっかり」


「だって肉って美味いじゃん!柔らかいし、肉圧なほうが気持ちがい..じゃなかった、食べ応えあるし、それも違った…なんて言ったらいいんだろ」


リンの美味しそうな太ももを見ながら話してるからか、変なことばっかり考えて言葉がまとまらないそんなワタワタしてる俺を見ながら不信感100%のお顔で見てくるリン


そうこうしてる内に飲食店を見つけ俺達は店に入り食べ物を注文する、エルフの人達は仕事が早いのなんのすぐに食べ物が運ばれてくる


「この肉うんま!」


「ほんと柔らかいね」


ホッパーもヤマトマルも大変満足そうに口をモチモチさせ食べている。


すると、1人のおばあちゃんエルフが話しかけてきた


「お前さん達、見かけない顔だねどこの人だい?」


「私達、シルフィードという街からきた学生なんですエンチャントレルム魔法学校はご存知ですか?」


「あぁ!知ってるとも!凄く有名な魔法学校だろ?はて、そんな学生がなぜここに」


「実は..」リンはおばあちゃんに魔王の話しは伏せ、ダンジョンに探索にきたと話す、するとおばあちゃんはいきなりリンの手を掴みこう言ってきた


「お前さん達!どうかお願いだ、ダンジョンにいるオークを懲らしめてほしいわしらエルフは長年オークに苦しめられておるんじゃ、どうかお願いじゃ」


おばあちゃんの願いにリンは優しい声色で言葉をかける


「心配しないで、おばあちゃん..私達もそのつもりですから..」 


「おぉ!ありがたい…では今晩の食事はこのオババがご馳走するとしよういっぱいお食べ、なしてお嬢ちゃんの名前はなんていうんだい?」


「剣崎凛です」


「剣崎!あの剣崎かい!?」


「知ってますよね」


「知っていて当然だよ!昔あのダンジョンに宝箱を置いていったのは、その剣崎小十郎と盾島舞愛まいのお2人なんだから」


おばあちゃんはリンに再度握手を求め、「ありがたい、ご先祖様に会えるなんて」と何故か涙を流している、リン本人は苦笑いを浮かべてるだけだが


店を出て宿に帰り部屋に戻ろうとしたがリンに「部屋に入っていかない?」とお誘いを受け、俺はリンの部屋にお邪魔することにした。ホッパーとヤマトマルを俺の部屋に押し込み邪魔されないように閉じ込める。


「リンはホント有名人だな」


「そんなことないよ」


「だってそうだろ?剣崎って名前をあげたらみんな知ってるんだもんな、すごいよ」


「ありがとうなのかな..」


これ以上この話しをしたら、ダメな気がしたやっぱりリンもリンなりに色々悩みあるんだもんな


俺は話題を変えようと、剣崎小十郎と一緒に名前が上がった人物の話しをリンに持ちかける


「なぁ、盾島舞愛まいって誰?リン知ってる?」


「知ってるよ、盾島家は代々私の家系の側近として深い関係だから」


「へぇーじゃあ今もその家系とは仲いいの?」


「うん、でも1つ問題が..」


「問題?」


「剣崎と盾島は1000年間の間深い仲にあるっていったでしょ?それってつまり、私の意思と関係なく産まれたときから結婚相手が決まってるってことなの」


「へぇーそうなんだぁ…ってそんな風習が1000年も!?で、でもリンって兄弟とかいるだろ?例えばお兄ちゃんとか妹さんとか」


「いない」


えぇぇぇ!まさかのひとりっ子ぉぉぉ!?


「でも、ほら楯山さん家の子が男の子とは限らないだろ?」


「私と同い年の男の子がいる」


わかってはいたけど本物のお姫様すぎる


「だからね、本当は契約することも禁止されてて、もちろん!親にはなにも言ってないよ」


もしバレたりでもしたら、スパァァァン!!だな..


「まぁでも、1年バレなきゃ大丈夫だ!そうだろ?」


「そうだけど..そういう問題じゃなくて..」


「キスしていい?」


あれ?なんで俺こんなこと口走ってるだろ.. 


「へぇ?い、いま//いきなりどうしたの//」


待ってそんなこと言うつもりじゃなかったんです


リンは俺の謎の言葉を聞き完全に下を向いてしまった、そして聞こえるのは時計の針の音だけ..どれぐらいたっただろうか、とても長い沈黙が続くだが俺も男だ..俺はリンに近づき、リンの目を見つめる


リンも察したのか、キッスを待っている


淡い色の間接照明、身体の重みできしむベッド


銀髪の男と風の姫が2人  


「電気消そうか」


「明るいほうがいい..」


リンの肩を優しく掴みゆっくり近づく、唇と唇が重なるまでの距離3センチ


すると、突然扉を叩く音が聞こえる


「リン、すまない..開けてくれないか?ちょっと用事が..」


そう申し訳なさそうな声で扉をノックするのはレイヴンさんだった、リンは立ち上がり扉を開けに行く


「いま、開けます」


「すまないな、休息中なのに」


「どうされたんですか?」


「い、いや//下着を忘れてしまって..多めに持ってきてたら貸してもらおうかなと..」


「なるほど、ありますよちょっと待っててください」


リンは自分のカバンから予備の下着を取り出しレイヴンに渡す、受け取ったレイヴンは「助かる」と言い部屋に戻ろうとしたとき、ユウマは不意にくしゃみをしてしまった


「そこにいるのはユウマか?」


「ヒィ!は、はい、そうでふ」


「お前達..あまり淫らなことはするなよ、ではまた明日」


「淫らなことって//、あっもう..レイヴンさんのバカぁ...」


あぁ……せっかくいい雰囲気になったのに、タイミング悪いっすよ、生徒会長のバカぁぁ!


「じゃ、じゃあまた明日」


「おう、おやすみ」


なにもなく今日が終わってしまった……


今夜は眠れそうにない.. 


[おまけ]


「はぁ..」


「ねぇちゃんがため息なんて、珍しいね」


「だってぇ〜レイヴンと1日会えないのよ?寂しいじゃない、だからキースの部屋に遊びにきたのにお姉ちゃんになんにも振る舞ってくれないなんて〜お姉ちゃんこんな子に育てた覚えないな〜」


「勝手に上がりこんできたのは、そっちだろー」


「ほんとキーちゃんは意地悪なんだからねぇー、マヤ、セレ」


「キーちゃんって呼ぶなよ恥ずかしい!あーあ、みんなもねぇちゃんのホントの姿見てほしいよ、いっつも学校で猫被りのメリファなんだもんな」


「早くレイヴンに会いたいわー」


しぶしぶながら、今朝作った手作りのクッキーを机にコトっと置いたキース


「これでも食べて元気だしてよ」


「キャー♡ありがとう♡やっぱり持つべきものは可愛い弟ね、いただきまーす」


次回[第三十一話、続・風の剣姫]                          


         




           


                                 


                             


       


                                               


        

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