[第二十八話、七夕だョ!全員集合]
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今日は七夕!織姫と彦星が年に一度だけ会えるそんなロマンチックな日
この世界にも七夕という風習があるそうだ
だがこの世界の七夕の話しはちょっとだけ俺が知ってる七夕とは違う、その昔付き合いたての織姫と彦星はそれはそれはどこにいくにも一緒でバカップルな2人で有名だった
だがあるとき、あまりにも寝ても覚めても一緒にいすぎた織姫は彦星にこう言ったそうだ
「彦ちゃんとずっと一緒にいるのも楽しいんだけど流石にずっと一緒は愛が冷めそうだからさー、年1で会うことにしなーい?でさ久方ぶりに会ったときはお互いいい女といい男になって、また愛を確かめあうの!ってことでバイバーイ」
そう織姫は彦星に別れを告げ天の川を渡った日がたまたま7月7日なのと二人の趣味がギャンブルだったそう..それから織姫と彦星は毎年縁起のいいゾロ目のこの7月7日に会いお互いの愛を死ぬまで確かめあったんだってめでたしめでたし…
「なんだこのいみわからん、昔話は」
「とても素敵なお話しだと思うけど」
いや、こんなそこら辺のコンビニでたむろしてるヤンキーカップルがノリで言い出したような話しを素敵な話しだと?しかもちょっと赤面してるのは何故なんですか?ミシェルさん
「それで今日俺に話ってなんだ?」
「あ、あの実はね…今日七夕でしょ..マジカラビアの広場で七夕フェスが開催されるんだけど、一緒にどうかなー?って」
「確かそんな事ジョンが言ってたような..俺でいいならいいよ、一緒にいこう」
「ほんと!?じゃ、じゃあ放課後、正門の前で待ち合わせでいいですか?」
同じクラスなのに、わざわざ待ち合わせ場所が正門?と思ったがここは相手に合わせようと思い了解と返事した。
時間は過ぎ、昼休み
ワイワイといつものメンバーで昼飯を食べていると、教室のドアが開き聞き覚えのある声が俺の名を呼ぶ
「ユウマくーん♡昨日帰ってきてたのに、お迎えにいけなくてごめんね♡私会えなくてすっごく寂しかったよ」
本日もしっかりと夢と希望の膨らみを俺の腕にむにゅむにゅと押しつけ、至近距離の上目遣いで見つめてくるのは可愛い顔したジュリア先輩だ
「せんぱーい♡」
「なんかユウマくんの顔いつもよりも一段とえっちなのは私の勘違いかな〜♡」
「こら、二人とも白昼堂々なにしてんのよ」
「そうですよここは1年の教室です、用がないなら帰ってください」
とんでもない、殺気のオーラを纏ったレイラとリンが俺とジュリア先輩を注意する…怖すぎお漏らししそう..
「用事があってきたもーん、ねぇ♡今日の七夕フェス一緒に回らない?」
「ふぇ!?一緒にですか!?」
ジュリア先輩からの突然お誘いに変な声が出たのは俺だけではなく、レイラとリンもな、ななと口を揃え、レイラなんか今にも怒りが爆発しそうになっている
すると2人よりも先にミシェルがうわずった声で
「きょ、今日は…私がユウマくんと、そ、その一緒に回る約束をし、したんです!なのでお引き取りください!」
新たな刺客にトドメを刺されたジュリアは、魂が抜けきった顔してはーいと返事をし去っていった。
最後の授業が終わり、本日の日直が号令をかけると生徒たちはいそいそと帰る支度を始めマジカラビアの広場に向かう準備をする
その様子を見て、オリビア先生は俺のターン!と言わんばかりにヒス構文をかましてきた。
「みなさーん今日は七夕フェスですが、1年生にとっては初めてのイベントですのでどうか、はしゃぎ過ぎないようにしてくださいね。もちろん先生も一人でフェスに参加するので見かけたら、声をかけてね♪でもそっかぁーみんな先生なんか目に入らないよね…だって先生なんてこの学校から出たらただの他人だもんね、そうだよね、先生なんかお酒の飲み過ぎで一人でフラフラになりながら帰って帰り道で私は1人の寂しい女だなって思って帰ればいいんだーそれでみんな満足なんだー」
先生……その話し誰一人として聞いてないですよ。
俺もミシェルとの待ち合わせの場所に向う、少し早くついてしまったのかまだミシェルはいなかった
「まだ来てないんだな..あれ?あそこにいるのって」
なにやら一人でブツブツとひたすら左右に往復し考え込んでいる、ルーシー先輩がいた
「ルーシー先輩こんなところで、待ち合わせですか?」
「ひゃ!びっくりしたぁ!驚かすのは心臓に悪いですよ」
「ハハ…すんません..先輩も、もしかして?」
「ち//違いますよ!僕はその……」
そうこうしてるうちに、正門からキャーではなくギャーに近い大量の黄色い声援が近づいてくる
この現象を起こせるのはただ1人だよな
「レオ先輩どうか!お願いです!私と一緒に!」
「なに、シャシャリ出てんのよ!レオ先輩私ですよね!?」
「まいったなー♡みんなと行きたいけど、俺の身体は1つしかないもんで」
本日もアイドル並に囲まれているチートキャラがニマニマしながら歩いている、チートキャラはルーシー先輩を見かけると大型犬のように近づき
「ルーシー!こんなところでなにしてんるんだい?あー..もしかしてなんか俺、仕事忘れてた..?」
「い、いえ//そうではありません、ただレオ先輩とたまには一緒にその..」
一緒に回りたいです、そう言いたいのか…まったくルーシー先輩も素直じゃないなー多分それに気づいたのだろうレオさんはワクワクした顔でルーシー先輩の手を握ると
「たまには、副リーダーを労わないとな!走るぞ!」
それはそれは、少女マンガの鉄板ネタイケメンな先輩が地味な後輩の手を引っ張り、一緒に女の子の大群から逃げるという、そんなキラキラしたシーンをこんなところで見れる日がくるなんて..
あっという間に2人を追いかける女子軍団達も消え去り、静けさを取り戻した。
「ちゃっかり青春してんじゃん」
「お、おまたせ…」
その声に振り向くと、格好はいつもの制服だがお風呂に入ってきたのだろうか、ものすごくいい香りが俺の鼻を突き抜け思わずドキッとしてしまった
「お、おう」
「ごめんなさい、おまたせしてしまって」
「ぜ、全然行こっか」
「うん」
マジカラビアにつくと、少しだけ出店が並んでいる広場の真ん中にある噴水の周りには、占いギルドの人達が道行くカップル達に声をかけまくり2人の未来を占おうとしている
「以外にフェスっていっても、派手にしないんだな」
「ここはメインブースじゃないみたいだよ、今回のメインブースはこっちにあるみたい」
ミシェルに連れられメインブースまで歩く、確かにこれはメインブースですわ……
大きな会場がドーンと構えていて、その真ん中にはDJがいる、よく見るとあのDJ校長か?なにやってんだよ…ズンズンと大音量のEDMが流れ、ある意味フェスではあるが俺が想像していたフェスと明らかに違っていた
するとDJソフィアの音楽に合わせ、煌びやかでゴージャスでファビュラスなドレスに身を包んだケビン先生がマイクを持って登場する
「はぁーい♡どうもん、司会のファビュラスケビンでぇーす♡みなさーん今年もやってまいりました!こちらのメインイベント![最強のベストカップルは誰の手にぃぃん!?織彦カップルコンテスト!!]」
ケビン先生の言葉にタイミングよく花火が上がり、校長が手をあげプチョヘンザをしている、マジで勘弁してくれこの学校……
「ルールは簡単よ、我こそは最高で最強の織姫&彦星と思うカップルがエントリーをして、そのカップルの中からベストカップルを決めるというものよ!」
フューフュー!いいぞー!キャー!と声援が上がる
「ミシェル、ここから離れ…」
何故キラキラした目でこちらを見ている
「ユウマくん!このコンテストにエントリーしよう!」
「はぁ!?い、いやいやそれは無理だって」
「どうして?」
「だって俺達カップルじゃない…」
「カップルじゃなくてもカップルだっていえばエントリーできるよ?女の子同士でも男の子同士でもエントリーは可能だもんほら行こ!」
今日はやけに積極的なミシェルに連れられ俺達は会場の受け付けに足を運ぶ
ミシェルは心臓のドキドキを抑えながらこう思っていた
(やっぱりこのブレスレットのおかげだ..伝えたいこと勇気を出して伝えられてる……このまま優勝してベストカップルになって、ちゃんと告白しよう)
受け付けに着くと、フェイ先輩とローザ先輩が受け付けを担当していた
「はいはーい、いらっしゃ~い..ってあれ!?ユウマやん!それと、どちらさん?」
「同じクラスのミシェルって言うんです」
「はじめまして..」
「フェイ先輩とローザさんは受け付けですか?」
「YES!あいにく私達にはLOVEを育む人がいないから、今日は受け付けしながら楽しんでるわよ!!」
「ローザ先輩、悲しいなるからもっと包んで言うてや〜」
受け付けをすまし、会場裏に入ると見知った顔がチラホラと
「レイヴンさん!メリファさん!」
「なんだユウマか、お前も優勝を狙いにきたのか」
「へ?優勝?」
「フフ、素敵な彼女さん..もしかしてこのコンテストの意味をご存知ない?」
「俺はただミシェルに連れてこられて...」
二人に優勝したら何があるのかを聞き出そうとしたとき、背後から声をかけられた。
「ユウマじゃないか!へぇーユウマもこういうのに興味あるんだねぇー」
「キース先輩!いやいや違うんすよ、俺は..」
「なに、否定することはない、流れに任せてお前も楽しめばいい..まぁ優勝するのは俺達だがな..」
キース&シルベスターカップルもこのコンテストに出るのか.. てかやけに気合の入った服だな..2人してお揃いのスーツにおまけにファーまでついて
優勝の言葉にレイヴン&メリファカップルも負けじと2人を煽る
「シルベスター、そんなことまだ始まってもないのに言っていいのか?1年と2年の優勝もこの私達2人だったんだ、残念だが三連勝は決まったものだな」
「キース、恥ずかしいならここで辞退してもいいのよ?」
「ねぇちゃんこそ!辞退してもいいんだぜ!俺達こそ!なんだ..その..」
「最高のカップル…だろ?俺様に言わせるな」
こ、怖すぎる……めちゃくちゃバチバチしとるやないか..
「ユウマくん、あっちで衣装借りれるみたいだよ、なにか私達も衣装に着替えよう」
「そうだな、それじゃあ失礼しまーす」
火花飛び散るとはまさにこの事、俺達は逃げるように衣装部屋に向かった。
衣装部屋に着き良さげな服を2人で探す、ミシェルの案で無難に織姫と彦星に決まりそれぞれ試着室で着替えるために別れた
「試着室も結構広いんだな…さてとこれどうやって着るんだ..?」
苦戦をしいられながら服を着替えていると、奥のカーテンが開くそこにいたのは白い軽装の鎧を身にまとったレオさんが出てきた
「あれ?ユウマじゃないか!、お前も優勝狙いにきたのか?誰ときたんだ?リンか?レイラか?わかったぞ、ジュリアだろ?」
「その誰でもありません、同じクラスメイトのミシェルです」
「ユウマも隅におけないなー」
なんか嫌みに聞こえる……この人だけには言われたくない言葉だ
「レオさんはルーシー先輩とですか」
「そう、エントリーするつもりなかったんだけど、あまりにも女の子達が凄すぎてね、とりあえず逃げる為にここにきたってわけ」
そういうことか、やっぱこの人イケメンだわまるで本物のナイトいや王子様だろこれ…
するとケビン先生のアナウンスが聞こえる
「みなさーんそろそろ準備できましたかーん♡?準備できたカップルから並んでちょうだいねーん♡」
着慣れない服に苦戦しながらなんとか着替え終わった俺はミシェルと合流するためにステージの端に向う
さて、どうなることやら……
[おまけ]
こちらではなにやら星獣達が不満そうにサンクチュアリ内の星獣ルームでうらめしそうに窓を眺めているよ
「ワタスィもあっちの楽しそうなお祭り参加したかったザマス」
「ほんとでちよ!なんでこんなところに閉じ込められないと、いけないでちか!」
「そう言わずにおとなしくしとくでごわす」
「ホパもあっちに行きたいルー!」
「じゃあみんなでなにかするアルよ!」
リエルの意見に星獣達は頭をグルグル考えている
するとレイヴンの星獣、リュカがなにかを閃く
「そうだぎゃ!確か冷蔵庫にファンからの差し入れで大量のジュースが贈られてきてたぎゃ」
「パーティーするちゃろ!?じゃあキースのバカが隠してる大量のお菓子の場所知ってるちゃろから誰か一緒に運んでほしいちゃろ」
だが、ペンドルトンが止めようとする
「しょんなことしたら、ダメだロン!おとなしゅく待っとくロン」
「滑舌悪すぎてなに言ってるかわかんないじょ!」
「エシャもアイシャも呼ぶピィ」
「レイヴンに怒られないココ?」
「大丈夫ッス!きっとオレ達のことなんか忘れて楽しんでるでござる」
「そうと決まればパーティーするったい!」
「楽しみなのだ...」
なんだか楽しそうなことが始まるみたいだね
次回[第二十九話、MilkyWay]
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