[第十五話、あぁ愛しの先輩]

毎週、月、水、土、絶賛更新中!!

※夜の21時までには投稿します!

どうぞよろしゅうに〜



5月7日


ピッと短い笛の音を合図に跳び箱を跳ぶ生徒


かなりの高さを飛べたのか周りの生徒から「おぉ..」と驚嘆の声が上がる


そんな凄い場面のはずなのに…


俺は体育館の隅で小さく体育座りになり「はぁ..」と深いため息をついている。

ため息の原因は、はじめての仕事が失敗に終わったからである。


「ユウマ、元気出してキミらしくないよ」


「だってー」


「まだ失敗したわけじゃないだろ?」


同じくチョコンと体育座りをして、俺を慰めてくれてるのは心の友ジョンだ


「確かにさ誰にも失敗なんて言われてないけど、ないけどさ〜、あの後サンクチュアリに戻ってレイヴンさんにそのまま伝えたら、あの人は「そうか、わかった」とだけ言い残して俺の目も見ないで帰っていっちまったんだよ…」


また、はぁ…と125回目のため息がでる


「ほんと、ため息ばっかりうるさい男」


レイラはため息ばかりつく俺に腹が立っているのか、朝から何度も同じセリフを吐き出してくる。


「レイヴンさんも、失敗だって言ってなかったんだろ?だったらまだチャンスはあるよ!僕も放課後ジュリア先輩の説得に付き合うから」


「持つべきものは、ジョン・ミラーだな~心の友よ〜」


そんなやり取りを少し離れて見ている男がひとり


(なぜこの俺がサンクチュアリにスカウトされなかった、ケンザキはともかく、あのクズ達がスカウトされる…腹立たしい、全く不愉快だ)


ギリギリと歯ぎしりを鳴らし、嫉妬の目でユウマ達を見るミケロス


時間は過ぎ1日の授業が終わる合図のチャイムが鳴り

ジョンとユウマは再度スターリット・ウェイに向かいジュリアを探していた。


「ここはね…こうすると…」


歩きながら、ホッパーとモナークに試作品の説明をしているジョン、それに良い食いつきを見せる星獣2匹、ルー!ココ!とキラキラ輝く目で


「ったく、そんなことしてないでジュリア先輩探し手伝ってくれよな」


ごめんねと俺に謝ってくれたジョンは辺りを見回し、探すのを再開する。


「ホッパー!見てみて、美味しそうなジュースココ」


「それはジュースじゃなくて香水って言うんだルー!いい匂いがする魔法具なんだルー」


おいおい、ホッパーさんよ香水の解釈間違えてないか?魔法具なわけないだろ…


「ホッパー、これは魔法具じゃなくて……」


ショーケースに飾ってある香水を指差し香水の正しい説明をしようとしたとき、店の中からジュリア先輩が出てきた


「あれ?ユウマくん」


「あっども」


一瞬目的の人物に遭遇しビクッとしたが、どうやら1人では無さそうだ…ジュリア先輩の背後からゴッツイヤクザみたいな大男が先輩の腰に手を回し、なんだこのガキ?と言わんばかりに睨んできた


「お前ら誰だ、リリカ知り合いか?」


「ちょっとね、サークルの後輩」


「ユウマ…い、一旦帰ろう」


ジョンは俺の腕を掴み逃げるように帰ろうと促してくるが、俺はジュリア先輩に向かって


「ジュリア先輩、一緒に帰りましょう!みんな待ってます!」


俺の言葉に慌てシーっと口を塞ぎ、ジュリア先輩は小声で


「本名晒さないでよ!バレると後から大変なんだから!」


「あの、先輩…今日体育の授業のときユウマから聞きました戻ってこない理由はなんですか!?」


男の前で話すのが嫌なのか男に、ちょっとあっちで話してくるから待っててと言うと、俺達を路地の端に誘導する。


「いい加減にして、ホントにしつこいよ、何が目的?今忙し…」


「ただ一緒に帰ってレイヴンさんと話してほしいだけです。なぜ学校に登校しないのか」


苛立ちを隠せないジュリアに怯むこともなく、まっすぐ目を見つめながら真剣に話すユウマ


綺麗なユウマの瞳に心打たれそうになるジュリアだが、顔を下に向け


「そんな目で見ないで、そんな…なにも知らないくせに」


やっちまった…泣かせてしまったかもしれない..なに言ってるか聞き取れないけど、これは完全に怒って…


「ゔぅぅわぁぁぁ!」


突然男の叫び声が聞こえ、ユウマ達はその声のするほうに視線を送る。


「ピュアそうな人間を選んだつもりなのに、ちっとも光輝いてないじゃない」


女は指でさっきジュリアといたヤクザの男を宙に浮かせ、なにかを取り出し、確認したあとお目当てのものではなかったのか落胆気味な顔をしていた


「おいお前!その人を離せ!」


「アナタだれ?」


「いいから離せ!」


「ハァ..言葉が通じないみたいですね、まぁいいわ..こんな男のハートでも役に立つかもしれません、とりあえずダークな色に染めて持って帰ることにしましょう。」


女はヤクザ男から出ているハートを指差し


『ピュアな心を黒く染めろ!ダークインパクト』


そう唱えると、ハートは一瞬にして黒くなり女の手に渡ると怪しげな笑みでユウマ達に話しかけてきた。


「私の名前はサミラ、魔王様復活を望む者…アナタ達はここで魔王様の養分とおなり!」


クスクスと肩を震わせ、サミラは空間に手をかざすとなにもない空間から闇が生まれその中に入って消えていってしまった。


「おい!まて!」


「ユウマ!あの人様子が…」


ジョンの言葉に耳を傾け、俺はさっきのヤクザ男を見ると男は苦しそうに体を丸め闇に包まれる、その中からなぜか男じゃなくて魚人が現れた、体格や見た目的にサハギンキングと呼ぶべきだろうか、頭に王冠を被り三叉の戟を手に持ち、うぎゃぁぁと大声で叫びだした


「いっ…!なんだ魔物に変わりやがった」


サハギンキングは地に足をつけると、背中をゴソゴソしだし取り出したのは魔法陣が描かれたシール?のような物を、ペタっと床にはると


「さぁ!出てこいサハギン&ゴブリン!」


その言葉にシールからサハギンとゴブリンが次々と現れるやいなや、街や人を襲い始めた


とにかく、街の人を守らないといけないと思い、俺はすぐにペンダントからグローブを呼び出し俊敏にグローブをつけ『スチールスマッシュ』と呪文を唱えサハギンやゴブリンに戦いを挑む。


「僕はこっちで戦うよ!皆さんは早く逃げてください!」


ジョンは街の人間の避難を優先し、サハギン達に『サンド・ストーム』と叫びながら、杖を地面に叩きつけると、周囲の地面が震え、砂塵が渦巻き始めた。


一瞬のうちに、砂が猛威を振るい、ゴブリンたちは目を覆いながら後退し始めた。視界を奪われ、同じく混乱したサハギンも立ち往生している。


「みんな、こっちだ!」ジョンの声に応じて、住民たちは安全な場所へと避難する。


 

逃げ遅れたり、襲われた住民から、さっきのヤクザ男と同じように、身体からハートが現れ回収班と思われるゴブリンが掃除機を使いハートを回収している。


とにかく、回収を辞めさせないとマズイ状況になるのは普段ぼんやりしているユウマにも理解できたのか、掃除機ゴブリンを殴ろうと近づく、がユウマの前にサハギンキングが邪魔をする。


「お前の相手はこのオレ様だ!」


グハハと笑い、自慢の戟でユウマを突き刺してやろうと、腕を伸ばす。


今日の跳び箱での授業が功を奏したのか、サハギンキングの頭を跳び箱台のように使い、ヒョイっと攻撃を避ける。


サハギンキングの背後に回れたユウマは鉄化したグローブで殴ろうとした、その時ジュリアが悲鳴を上げ、助けを求めてきた


「いやー、ユウマ君助けて〜」


「っ先輩!!」


愛しの先輩が助けを求めている、俺はキリリとした目つきで先輩に視界を向けると、複数のゴブリンが先輩のスカートをまくり上げ楽しそうに踊ってやがる。


ダメだ…集中しろハヤシ・ユウマ、シルクの白パンティーがなんだ…今は危険な状況だ…反応するな俺の息子よ…ピクピクするなぁぁぁ!


自分で俺の名を呼んだくせに、見ないでぇぇえ!とスカートを必死に抑えているジュリア先輩だが、ゴブリン達の力に敵わないのかずっとパンツが丸見えだ…


ハレンチな行為を受けているジュリアを助けるべく、ムニン、ホッパー、モナークがピョコピョコ、ぱたぱたと走ってきてジュリアを救出するべく勇敢に戦闘を開始する


「その手を話すココ!」モナークはバナナの形をした岩のブーメラン手に持ち『ロックリターン』と叫びゴブリンの顔を狙う、ゴツと顔に当たったゴブリンが勢いよくぶっ飛んだ


バナナブーメランを危険だと判断したゴブリンはモナークに呪文を唱え、火の玉がモナークを襲う、


「僕が防ぐじょ!」モナークの前に立ったムニンが『ハートシールド』と呪文を唱え、ハートの形をしたシールドを展開し火の玉を見事防ぐ


スタスタと残りのゴブリンをホッパーが『ホッパーパンチ』で気絶させ、ジュリア救出は見後に成功した。


「バブちゃん達ありがとう♡」


感謝の投げキッスにヘラヘラと嬉しそうにしている3匹


ギギ…とモナークの攻撃を受けたゴブリンが立ち上がりスキだらけのホッパーを突き刺そうと爪を立て襲いかかってきた


すると、ゴブリンの身体にピンク色した糸が絡みつくと、糸から強烈な電気が流れゴブリンは真っ黒になってしまった。


「ちょっと強すぎたかな?」


可愛い声でイタズラなセリフを言うジュリアの手の甲の上に猫の手にも見えなくもない、見たことないような武器が装着されており、先ほどの糸はあの武器から出ていたものだと、ユウマは思った。

 

(おぉ、謎の形をした武器だ)


すると、サハギンキングはもう我慢ならんといった声で


「お前達!まとめてオレの津波に流されてしまえ!」『特大津波!』


サハギンキングは戟を地面にカンっと叩きつけると足元から大量の水が湧きでて、街はたちまち水に飲み込まれてしまう。


「みんな、何かに掴まれ!」


俺は水に流されないように電柱に捕まる。

突然の津波にホッパーとモナークは小さな手で必死に木に捕まるが木に車がぶつかり流されてしまった


「ホッパー!モナーク!」


「ホッパーとモナークは僕に任せてユウマはアイツを倒すんだ!」


ジョンはユウマに一言伝えると箒を呼び出し、流されたホッパー達の元に飛んでいった


「水の流れが強くて…力が持たない…」


必死にしがみついている、ジュリアだが限界がきたのか手を離してしまい、「きゃあ!」と叫び流されてしまった。


「せんぱーい!」


ユウマはジュリアを助けるべく、自ら急流に飛び込んだ


その様子を水柱の上から見ていたサハギンキングは


「フハハ!これで邪魔な奴らは消えた!さらにハートを集めるとしよう!フハハ!フハハ!っゲホゲホ!入ってはいけない方に唾が入りよったわ」


ユウマ達は一体どうなってしまうのか!?


[おまけ]


「ねぇ、この写真見て懐かしわね〜」


「1年の林間学習の時か」


「あのときレイヴンとローザ大喧嘩してたよな」


「俺様はあの日をよく覚えてる、最悪なカレーを食わせやがって」


ソスマを触り、昔の写真を見せるメリファ、他の3年達はその写真を見て話しに花が咲く


「あれはローザが悪いんだ、カレーの中にゴブリンの鼻水ジェリーを隠し味に入れるなどと言うから…」


「校長も教頭も次の日腹を壊して二人して入院したのはまさに伝説だな」


「そういうシルベスターはピンピンしていたようだが?」


「俺様はあんな毒物ぐらいで死なん」


「お前にも原因があるだろう、変なキノコ入れたのはお前だシルベスター」


責任の擦り受けをしているレイヴンとシルベスター


「まぁまぁ、あれもいい思い出じゃないの♪」


「あーよかった、俺はメリファとおんなじ班だったから」


シルベスターとレイヴンは同じタイミングでフッと笑い


「今度久しぶりにあのカレー作ってみるか、その時はごちそうするよ、レオ」


「そうだな、覚悟しとけよ…嫌だとゴネても口移しで食わせてやるからな、フハハ!」


「勘弁してください…」


次回[第十六話、二人目はさすがに聞いてない]


第十五話を読んでくださったそこのアナタ!

次回も読んでくれると嬉しいです。                                                                       

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