[第十三話、何でも屋実行部!?]


5月6日


「うーん」


リンと契約を交わしてから1週間

俺達は少しドギマギしてるものの、何事もなかったかのように生活を送っている。


「ゔぅーん..」


俺が何故うめき声をあげてるかって?

新しい呪文を覚えたくて、ここ数日放課後は図書室で新呪文の勉強をしてる。


「あぁぁ!なんで俺は1つしか魔法が使えないんだよ!」


「ユウマもまだまだルーキーだもん仕方ないルー」


「うるせぇな、お前だってまだ子供だろ」


「最近よく見かけるね、お勉強?」


ホッパーと軽く小競り合いをしている俺の肩を軽く叩いて、1言声をかけてきたのは


「なんだ、ミシェルもいたんだ」


「うん、私図書委員だから隣座ってもいい?」


「構わない」


「ありがとう」


キュートな笑顔で空いてる席に座り、俺の持っている本に興味をしめしたのか


「『鉄魔法が上手くなるための7つの方法』ユウマ君の得意な魔法は鉄魔法なんだね」


「そうなんだ、もっとカッコいい魔法を期待したんだけど……」


「いまでも十分カッコいいよ」


「ん?なんかいった?」


「ううん//なんでもないです。」


いきなり顔を赤くして下を向いてしまったけど俺なんか変なこと言ったかな?


「ユウマはずーっとこの本とにらめっこしてるんだルー!」


「ば、バカ余計なこと言うな!」


ホッパーがピョンピョン机の周りを跳ねながら笑顔で煽ってきやがる。


「私もまだまだ勉強不足だけど、もしかしたら教えられるかもしれない、なにがわからないの?」


「実はこの呪文を使いたくてさ、広場で練習してもうんともスンとも言わないんだ。」


「この呪文って..」


「名前からしてカッコいいだろ?名前は『メタルスパイク』鉄の棘を地面から呼び出すとかカッコいいよな」


「ごめんなさい、悪気はないんだけどこの呪文は上級呪文の中でも比較的簡単な呪文だよ、だけど今のユウマ君には難しいかもしれない」


「マジっすか!?」


「マジっす、魔法には上級や下級があるのはわかる?」


「なんとなくは、でもあまり意味わかってないかも」


俺の意味をわかってない発言に、少し驚いた顔を見せるミシェルだったがここで引いてはいけないと思ったのか、開いた口を閉じうーんと少し考え、考えがまとまったのか話し始めた。


「呪文は3つのカテゴリーに分けられるの下級、中級、上級、下級は主に基礎魔法と言われている魔法のことを言うのね、例えば『リヴィテーション』この魔法は」


「小さな物体を浮遊させる魔法だろ?それぐらいはわかりますとも」


「よかった、簡単に言うと下級魔法は人を傷つけることが少ない魔法です。」


「なるほど、じゃあ中級魔法は俺の魔法でいうところの『スチールスマッシュ』これに該当するってことか」


「そうだね、基本的に戦闘に使う魔法は中級魔法が多いかな、それで問題の上級魔法なんだけど、上級は威力が高い分魔法の詠唱が必要になってくるの、その詠唱時間が長ければ長いほど強いとされているのが一般的かな。」


「じゃあ、全部唱えたら魔法は発動するはずなのにどうして発動しないんだ?」


「それはね、ユウマ君の経験値と魔力を貯められる最大値が少ないのが原因かな」


「なるほどな、つまりは」


 


あっ!野生のブループリンとトロールが現れた!


ブループリンHP5、トロールHP10


ユウマ、HP7、MP5


「ユウマ君このドット画面はなに?」


「まぁ見てな」


ユウマ『スチールスマッシュ』


ズバ!、5のダメージスライムは倒れた、ユウマの消費MP3


「極端な話し、この状況になったら次の魔法も撃てないし上級魔法なんか更に無理だ」


「その通りだね、でも私達魔法使いには魔法具屋さんにある魔力の最大値を一時的に上げたりする飲み薬や魔力供給という魔力を上げたりする方法もあるし、魔法を使わないで武器を使って戦うことで魔力を貯めることもできるよ。」


「おぉ!そういうことか勉強になったよ、よしここでは仮にミシェルと魔力供給するとしよう」


「え、ちょ私とってユウマ君..」


ユウマとミシェルは魔力供給を行う、チュ♡


ユウマのMPは回復し最大MPは15になった!ユウマの上級魔法『メタルスパイク』


ズバズバ!、トロールに会心の一撃!20のダメージ!トロールは倒れた、ユウマの消費MP10


勝利のファンファーレ!


「簡単に言うとこういうこと?」


「そ、そうですね後は星獣を神獣に進化させる際にも魔力を消費するから魔力管理は気をつけてね」


「つまり、基礎練習や戦いの経験値を積んでレベルをあげろってことだな」


「そういうことです、よくできました。」


ミシェルに頭を撫でられ、すっかり鼻の下を伸ばしヘラヘラしていると


「あっ!こんなところにいた」


図書室のドアを開け、俺を見つけるとなぜかは知らんがムッとした顔でこちらを見ているリン


「なんて顔してるのよ、すっごい探したんだからね!レイヴン先輩が呼んでる行くよ!」


「ちょ、そんな勢いよく引っ張るな!、説明ありがとう!またわからんことあったら教えてくれ!」


リンに強制連行されながらもミシェルに礼を言い、俺は図書室を出た


見えなくなるまで、ユウマに笑顔で手を振るミシェルだが2人を見て胸が苦しくなるのを感じた。


(最近リンさんと仲良いよね...この前の林間学習のときも何故かユウマ君の上着きてたし、なんかあの2人変...)


リンに強引に連れてこられた場所はまさかの…あのギルド『サンクチュアリ』だ


「失礼します、ハヤシ・ユウマ君を連れてきました」


「ご苦労さま、いきなり呼んですまなかった」


俺は軽く、ども…と会釈し周りを見渡すとそこにジョンとレイラの姿もあった


「2人もいたのか」


「遅い!どこほっつき歩いてんのよ」

       

「僕たちなにかしたかな?サンクチュアリからの呼び出しなんて…まさかこの前の林間学習で勝手に箒乗ったからとか?」


産まれてたての子鹿のように震えているジョンを見て俺もなんだが不安になってきた


「なに、心配しなくても平気さ君たちを呼んだのには理由があるんだ」


そうレイヴンは言うと、ユウマ達に1枚の紙を渡し


「君たちをギルド『サンクチュアリ』に加入してもらいたいと思ってる。」


………………


人間こういう時って誰も声をあげたりしないもんなんですね。


「ん?どうした?皆固まって」


「だって…」


「サンクチュアリに加入なんて」


「心の準備が」


レイヴンの問にレイラ、リン、ジョンの順番に口を開く


「そんなに気を張らないで」


ガチガチの俺達の緊張を優しい声色でほぐそうとメリファ先輩が笑顔で話しかけてきてくれる。


「この人怖面だから、許してあげてね生まれつきこの顔なのよ」


「余計なことを言うな」


「は〜い、ごめんなさい」


思わぬイチャイチャを見せつけてしまい、恥じらうかのようにコホンと咳払いし話を続けるレイヴン


「サンクチュアリに入ったからといって、特別なにかするわけではない、今まで通り他のギルドや委員会、アルバイトをしているのなら掛け持ちをしてもらっても構わない、ただこのギルドが他と違うところは…」


レイヴンが大事な部分を言おうとした瞬間、突然扉が勢いよくバーンと開き


「あんら♡、お取り込み中だった〜♡ただいまレイヴンちゃん」


ドスの効いたオネェ言葉を話す角が生えた短髪ブロンドの男?お姉さんが入ってきた


「クエストお疲れ様ですケビン先生、あのローザは…?」


「ローザちゃんならクタクタだから今日はもう帰るって言って帰っちゃったわよ♡」


この人がギルドの顧問!?入学式の時に欠席してたこの人が!?!?


「もしかして新入生ちゃん達♡」


ケビンはスーとユウマに近寄り品定めをするように身体の隅々を舐め回すように見ると


「いいんじゃない?頑張って♡んちゅ♡」


ケビン先生はウィンクしながら投げキッスをするとあちしもシャワーを浴びるわーと腰をクネクネさせながら去っていった


「話しがそれたが、サンクチュアリの主な仕事はこの学校を守り、更に困っている各国の他のギルドではできない内容などを引き受けるのが仕事だ、もちろん危険な任務も多いがその分他のギルドよりも報酬は倍だと思ってほしい、それに卒業してからの将来にもきっと役に立つだろう、どうだ?4人とも是非加入してくれないか?」


「1分だけ時間をください」


俺は円になるよう3人に指示し、これからの事を話し合う


「正直に言おう、3人はどう考えてる」


「私は加入する」


「アタシもこんなチャンス滅多にないし」


「僕は…」


リンとレイラは決まっていたのか答えはYESだったがジョンはなにを思っているのか、自分の置かれている状況に戸惑っている


「僕はケンザキさんやレイラみたいに強くないし、それにユウマのようにガッツもない、きっとこの中だと一番弱いのは僕だ、そんな僕が加入してもって考えると不安だ」


するとリンはジョンの目を見て話しだした


「自分が弱いかどうかなんて、決めつけるのは良くないそれに戦闘力が全てじゃない、過去サンクチュアリに所属してた人で有名な発明家や考古学者、作家になった人もいるんだから、せっかく頂いたチャンス無駄にするのはもったいない、でしょ?」


「そうだぜ、ジョン俺だって不安だけどお前がやるって言うなら俺だって死ぬ気でやる!一緒に頑張ろぜ」


俺は拳を突き出し、ジョンの背中を押す本音は俺だって不安だけどリンの言うとおり、チャンスは無駄にしたくないそう思ったから

 

ジョンは決意が固まったのか強く頷き、ユウマの拳に拳をぶつけ、二人は笑いあった


「返事をもらおうか…」


レイヴンは一言、4人に言葉を向ける。


「俺達全員、サンクチュアリに加入します!」


「おまけ」


「レオのイケメン解説コーナー」


「いいわよー♡レオくーん」


「アハハ…ありがとうケビン先生、このコーナーでは俺がお便りを読んでそのお題を解説していくぜ今日のアシスタントはこの人!」


「アシスタントのケビンでぇーす♡」


「……よし、早速お便りを読みます、えっとなになに、ペンネーム少女マンガ大好きメガネさん、お便りありがとう!サンクチュアリについて詳しく教えてください。あとついでに趣味も教えてください…っと、それじゃあサンクチュアリについて詳しく教えるぜ☆レッツら〜」


「ゴー♡」


 ギルド「サンクチュアリ」は、エンチャントレルム学園内で最も人気のあるギルドの一つ。サンクチュアリは、魔法だけが全てではないことを理解し、多岐にわたるスキルや専門知識を持つ人材を育成し、世界に貢献することを目指しているんだ☆。


「スカウト制度:サンクチュアリはスカウト制度を採用しており、才能ある個人を積極的に探し出し、入団を勧めるんだ。スカウトされた者は、特別な指導や機会を受けることができる。俺は入学して3日でスカウト受けた、これは歴代最短記録なんだって、流石は俺☆」


「次はあちしが説明するわん♡多様な分野への展開:サンクチュアリでは、魔法以外の分野にも力を入れているの。例えば、技術面や医療面など、さまざまな専門性を持つメンバーが活躍しているのよ♡。これからどんな子が登場するか楽しみねん♡


さ・ら・に♡サンクチュアリでは、入団したメンバーが自らの才能や興味に応じて専門分野を選択し、専門知識を磨くことができるの。優れた成果を上げたメンバーには、リーダーシップの機会やプロジェクトの責任を任せるなど、出世のチャンスが与えられのよ♡。


さらにさらに他のギルドとのかけ持ちもおっけーよ♡サンクチュアリでは、他のギルドとのかけ持ちが認められているの。メンバーは自らの興味や能力に応じて複数のギルドに所属することができ、異なる分野の知識や経験を積むことができるの。若いっていいわね♡


こうしてサンクチュアリは、多彩なメンバーが集い、協力してさまざまな課題に取り組むことで、エンチャントレルム学園内で重要な存在となっているのよ♡。ビューティーフォー!」


「ケビン先生、しか喋ってねぇじゃん…」


「ささ、説明も終わったことだしレオくーん♡会いたかったわー♡」


「ヒィィィ!サンクチュアリはとにかく凄いギルドってことです!あと俺の趣味は釣りでーす!ではまた次回!さよならー!」


      

次回[第十四話、初回クエスト]

                                        

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る