[第十一話、カレーって200種類あんねん]


4月24日


林間学習最終日、何人かまだ眠いのか目をこすったりあくびをするクラスメイト、本日も元気よくホシノ先生がプログラムの説明をしてくれる。


「本日で最終日です♪今日の夕方にはバスに乗るので今日は朝から昼食のカレー作りをしたいと思いまーす、パチパチー」


朝から...?何故に朝からカレー作りなんだ


「なんで朝からカレー作りなの?って顔してるわね♪では早速カレー作りの場所に向かいましょう」


ホシノ先生だけが鼻歌まじりで先頭を歩きゾロゾロと俺達は鴨の雛のようについていくと


「じゃーん!ここがカレー作りをする調理場です。」


うわー!具材がたくさん!って..あるの米だけやないかい!


各班分の米と調理器具それに何故か舞台ステージのようなものまであるこれはいったいどういうことだって◯よ..


「先生お米しかありませんが、まさか」


「リンさんは察しがいいわね、お米は学校が用意したから食材や薪などは全てチームで分担して行ってもらい美味しいカレーを作ってもらいます!本日はなんと、なんと!スペシャルゲストもお呼びしてるので是非皆さん大きな拍手を」


俺達はわけもわからず拍手をしていると何故か舞台からドラムロールが流れるとピンクのカーテンが開きそこにいたのは


「皆さん、林間学習最終日のカレー作りの審査員に参りました校長のソフィアと」


「教頭のマーシャルです。」


ザワ..ザワ..ザワ..ザワ..とクラスメイト達は驚きを隠せないでいた


「先生と校長先生そして教頭先生で皆さんのカレー作りの審査を行いますので皆さん頑張ってね♪制限時間はお昼の13時までです。ここで優勝して勝利を勝ち取ろう!オー♪」


それを合図に皆、班になりカレー作りを始める


「カレー作りのリーダーを決めましょう」


「はーい!アタシがリーダーやりたい!」


リンのリーダー決めに真っ先に手をあげるレイラ


「レイラがリーダーなのはちょっと頼りがいないわね..ユウマとかどう?」


「へ?俺?カレーなら作ったことあるけどルーを溶かして野菜をぶち込むしかしたことないからなー」


「こんな男飯しか作ったことない奴リーダーなんて嫌よ!」


「じゃあケンザキさんがリーダーやってよ!僕はそのほうが安心する」


レイラの意地でもリーダーになってやろうと手をあげピョンピョン跳ねているのを無視しジョンはリンをリーダーに指名する


「確かにリンのほうが安心だな、昨日の登山も1位だったし、どう思いますかチーム内最下位のレイラさーん」


俺は皮肉たっぷりにレイラを煽る


「そんなことで決めるのなんてズルい!不公平よ!」


「まぁまぁ、じゃあ今回は私がリーダーでもいい?」


「アンタに言われたらぐうの音も出ないじゃない、じゃあアタシ1番楽なやつがいい!」


とことんワガママ姫だなこの女は


「私はその..野菜とか切るの苦手だから..食材を取りにいくのに回りたいです..」


何故か顔を赤くしモジモジしながら話すリンを不覚にも可愛いと思ってしまった。


「じゃあ僕は薪をとってきて火を起こしてお米を炊くよ」


「仕方ないわね、このアタシが華麗な包丁さばきを見せてあげるわ!」


「これで決まりね、ユウマは私と一緒に食材を取りにいくの着いてきてくれる?私だけだと毒入りキノコとか選んできそう」


「それはやべぇ..わ、わかった俺がついていくよ」


俺達のチームは役割が決まり俺とリン、ホッパーとヤマトマルの2人と2匹で具材とりに出発した。


しばらく森を歩くと他の班の人にも会ったり、ここにこういうのがあったよ、など情報共有をしながらそれなりに食材が揃ってきた


「にんじん、玉ねぎ、じゃがいも後はなにがいるかな?」


なんでそこら辺に取ってくださいと言わんばかりに野菜が生えてんねん...流石は魔法の森


にしても、リンを1人で行かせなくてよかった..


にんじんを見つけたと引っこ抜いてきたのが紫色のにんじんだし、玉ねぎがある!っと駆け寄り引っこ抜いたら、玉ねぎ型の魔物だったり


もし1人で行ってたらと思うと震えが止まらん..


「ねぇ聞いてる?後はなにがいると思う」


「あぁ!悪い悪い!そうだな魚とか入れてみるのどうだろう?魚のダシがでて美味しいと思うぞ!」



「ルー♪」「ござる♪」


バシャンと川に飛び込み気持ち良いのか嬉しそうに水遊びを始めるホッパーとヤマトマル


「おいおい、魚が逃げちまうだろうもっとあっちで遊んできてくれリン、魚は獲ったことある..」


ないよな..すっごい真剣な顔をなさってますものねあなた


「いま、話しかけないでもうすぐ魚が取れそうなの..えい!」


素早く、魚を掴もうとするが、簡単に逃げられてしまう、リンは悔しいのかムキになってさらに追い詰めようとする。


「この……!見てみて捕まえたよ!」


嬉しそうに魚を見せてくれたが魚がピチピチと動きリンの腕から逃げようともがいている


「なんかヌルヌルして...きゃあ!」


体制を崩してしまい、ずぶ濡れになったリンを俺は笑いながら手を差し伸べ、ひとまず休むことにした


「へっくしゅ」


「風邪ひくなよ」


「大丈夫よ、ちょっと寒いだけ」


「上だけでも脱いでこれ着てろよ」


ユウマは上着を渡し着替えるように指示し、リンは木の陰で上の服を脱ぎユウマの大きい上着を着る。



「おーい!着れた..か..」


恥ずかしそうに木の陰から出てきたリンを見て俺の鼓動はドキドキしていた、思ったよりもサイズが大きかったのかほとんど手が隠れている姿を見たらまるで彼氏の服をきた彼女のような..


イカンイカンただのクラスメイトだそんな気持ちは消すんだ、林 悠馬


「な、なにジロジロ見てるのよ//」


「ご、ごめん//、魚それなりに取れたからもう帰ろっか」


「うん」


何故かぎこちない雰囲気になってしまったが、気を取り直して


「ユ、ユウマー!た、助けてルー!」


慌てて帰ってきたホッパーとヤマトマルを見ると後ろから体の中心に大きな蕾と蕾を支えれるのかわからない小ぶりな体の花のような魔物が後を追いかけてきている。


「お前らなにやってんだよ!」


「違うでござる!オレ達ただ遊んでただけだったでござるが、突然コイツに襲われて」


「あれはグラトニーペタル!」


「なんだその変な名前!」


「コイツ普段はもっと深くて暗い森林にしかいないはず..どうしてこんなところに...」


「なんでもいいけどホッパー達を助けないと」


「ちょっとユウマ!待って」


俺は追われているホッパー達の元へ走って駆け寄よる、リンは俺を止めようと同じく後を追いかけてきた


『スチィィィールスマッシュュ!』


俺はグラトニーペタルの蕾の部分を狙いグローブを瞬時に鉄化させ、強力な打撃を食らわせた。


相手は勢いよく吹っ飛び土煙が舞い上がる。


「二人とも大丈夫!?」


「怖かったルー!」


「リン様ー!」


「よしよし、もう大丈夫よ」


星獣達はリンに抱きつき、よほど怖かったのかブルブルと震えていた。



プシューと土煙の中から音がし煙が徐々に晴れる、アイツは興奮状態になっているのか耳が痛むような声を空に向け叫びだした


その声をきいたのか、わからないが地面が揺れるほどの足音が聞こえ


森の中から成人男性ぐらいのジャイアントアリが群れで現れた


「ひぃ!」


リンは大量のアリを見てゾッとしたのか思わず声が漏れる。


大量のアリを見て一言 

 

「俺達だけで乗り越えられるのか?」


「無理でしょうね、ヤマトマルこの状況をホシノ先生に知らせてきて」


「了解したでござる!」


ヤマトマルはすぐに返事をするとありったけのスピードを出しみんながいるところに戻った。


「んじゃ、俺達だけで、できるとこまでやりますか!」


俺の言葉にリンとホッパーは頷き、頭の中で戦闘開始のゴングが鳴る。



『ホッパーパンチ!』ホッパーが次々とアリを殴っていくがあまり殺傷力がないためか息の根を止めるというよりかは気絶させている。


気絶していくアリをユウマは『スチールスマッシュ』と呪文を唱えグローブを強化し確実に一匹ずつアリを仕留めていく



深呼吸し手を手刀のように振り下ろすと『烈風』と唱え風の刃で次々にアリを真っ二つにしていくリン



数が多いだけであまり硬くないアリはなんとか二人と一匹で戦える状況である。



ようやく調理場についたヤマトマルは開口一番大きな声でリン達が危険だと叫ぶ


「たた、大変っす!リン様やユウマがデッカイ花の魔物に襲われてるでござる!」


「ユウマ君達が!?」


ホシノはざわついてるクラスの子供達をひとまず落ち着かせようとマイクを持ち


「皆さん落ち着いてください、先生達3人はいまからユウマ君達を救出にいってきます、ですから皆さんはここで待機していてください!」


教頭のマーシャルが車のエンジンをかけ、ソフィアとホシノが乗り込むと車は猛スピードで空を飛び立っていった


「どうしよう..ユウマ達大丈夫なのかな」


「レイラーこっちこっち」


茂みから小声で手招きするジョン


「なによ、ってそれ箒じゃないどこから盗んできたのよ」


「人聞きが悪いぞ、今は緊急事態だユウマ達を助けにいこう!」


二人はエーテルペントに星獣を戻しジョンの運転でユウマ達のもとに向うため箒を飛ばす


 

「あれって..」


ビューンと箒で飛んでいく二人を目撃したミシェル 


「バカな二人だ待ってろと言われたのに言うことも聞かないで優勝は俺らのチームだな」


(もしかして昨日俺が封印を解いたのとなにか関係が...)


ミシェルはいつもと様子が違う兄を見て

  

(兄様朝から様子がおかしい..きっと昨日の夜なにかあったに違いない)


[おまけ]


「カレー作りの基本はー♪玉ねぎを飴色に炒めにんじんさんとじゃがいもさんを入れて隠し味にキノコを加えて♪」


「レイラその変な歌なにー?」


「あんた知らないの?」


フフと小馬鹿にして笑うと


「美味しいカレーの歌よ!」


「ドヤるほどのものかな..」


「レイラはちょっとおバカさんだから合わせてあげてピィ」


「聞・こ・え・て・る・わ・よ」


「いだだ、なんで僕の頭をグリグリするのさー!」


「レイラーかぼちゃも入れたら美味しいココ」


「それナイスアイデア、一緒にかぼちゃも切りましょう、モナーク♪」


(早く帰ってきてよ〜!ユウマ〜)


次回[第十二話、初めての経験だったのに♡]


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