[第八話、デートだと思っていい?]
放課後東の広場に移動した俺は早速魔法の練習を始める
『リヴィテーション』
地面に落ちている石を浮かそうと浮遊魔法を唱えるが、石はぴくりとも動かない
やっぱ才能ないのかな...よしもう一度!
何度も何度も同じ呪文を同じ石に唱えるが時間だけが過ぎていくだけ
ズーンと落ち込んでいる俺から少し離れたところで呪文を唱える声がした
『イグニス・スパルカ』
火花を生み出す基礎的な下級魔法にもかかわらずまるで攻撃魔法のような強さで放たれる魔法に俺は驚きを隠せない。
「すげぇ..」
「なんだ、小石1つ浮かせられない落ちこぼれがいると思ったら君かハヤシ・ユウマ」
(うわ..さっきの凄い魔法ミケロスだったのか
嫌な奴に絡まれた)
「凄いっすねーミケロスさん」
死んだ魚のような目でとりあえずミケロスを褒めておく
「フン!これぐらいできて当たり前だ、鍛錬は常に行ってないと1番になれないし、サンクチュアリにも入れないからな」
「お前サンクチュアリに入りたいのか」
「あのギルドに入団できれば出世は間違いなしだからな、俺のようなエリートにはうってつけの場所さ!だからこそ次の林間学習で一目置かれる存在になるつもりだから、邪魔はしないでくれよ、バーイ」
ミケロスは笑いながら手を振り、去っていった。
(なんだアイツ、やっぱむかつく奴)
ユウマは再び魔法の訓練を始める
すると、そこにリンも同じく広場に現れる。
「あそこにいるのって...」
「あーなんで石すら動かないんだよ!」
「なにやってるの?」
「うわぁ!びっくりした驚かすなよ!」
「気付かないほうが悪い、まだ魔法使えないの?」
「そうなんだよ、俺このままだと退学かな、ハハ」
「ねぇ、もう一度呪文唱えてみて」
さっきと同じように呪文を唱えるがやはり石は動かない、それを見たリンは
「君、杖とか魔導書とか持ってる?」
「持ってません。」
「やっぱりね...いきなりなんの魔法具も、もたないで、魔法なんか撃てないよ」
「へぇーそんなこと初めて聞いた」
「基本的に鍛錬を積めば魔法具はいらなくなるけど、魔法をコントロールしたり、一人で大きな呪文を唱えたりするときなんかは必須だよ、簡潔にまとめると補助アイテムだと思ってくれたらいいかな」
「そっか〜、んでさ...その魔法具ってどこに行けば買えるの?」
エンチャントレルムから歩いて15分幻想的で魅力的な街、マジカラビア
「こんな街あるなんて知らなかった...」
「一昨日授業でこの街の説明してくれたじゃないまさか、寝てたの?」
「そ、そんなわけないだろ..あっ思い出した、先生そんなこと言ってた!」
「これは寝てたわね」
疑いの目で見つめてくるリン
「そ、それよりさ魔法具がある店に連れて行ってくれよ。」
「ついてきて」
入学して初めての校外に興味津々なユウマ
「部屋の窓から見えた街がまさかこんなところだったなんて…でっけぇ街、色んな店があって面白そう、ん?なんだあの通り道」
「ちょっと!ハヤシ君そっちは裏通りだから入っちゃダメよ!」
「裏通り?」
「
「なんか気味悪いな」
「うかつに入ったら二度と戻ってこれなくなるから気をつけてね」
リンの忠告を素直に聞き、再び魔法具の店に足を向ける
「ここが魔法具の店、エンポリアムの店よ」
なんかいかにもな店って感じ、木造の建物をベースに魔法的な装飾で飾り立てられた建物。
「いらっしゃい」
よくいる、おじいちゃん店主だ!
「なにかお探しかい?」
「こんにちはマーリンさん、この人魔法が使えないんです、なので今日は魔法具を買いに来ました。」
「魔法が使えないだって?カッカッカッ!そいつは愉快だ、どうやって入学できたんだい?」
「色々とありまして...」
おじいちゃん店主は手を棚に向け
「うちの店は魔法具専門の店だ、杖や本、武器なんかも揃えとるよ」
「そうねとりあえず今日は、杖を買って帰りましょう」
「杖じゃな、おいそこの若造この杖を振ってごらん」
この展開知ってますがな、よくある有名映画のシーンですやん
俺は自信満々に杖を一振り。
シーン...
「あれ?なんも起きない...」
「カッカッカ!いきなり魔法が出たらワシの店が潰れるわいな」
「この杖に弾かれなかったということはお前さんでもいいと言うことじゃな」
杖が妥協するとかあるんすか!?俺妥協されたの!?この杖に!?
「なにをけったいな顔してるんじゃ、これでよいか?」
「お願いします。」
「500ルーメントじゃ」
円でもなければドルでもない、流石は魔法世界だと再確認させてくれる『ルーメント』と呼ばれる通貨がどうやらこの国の呼び方らしい、1ルーメント1円なのは計算しやすくて助かった
「財布出すんでちょい待って..あれ?財布がない...っかしいな家出るときは持って出たはずなんだけど」
「お財布見つかった?」
「ないです...忘れました、リンさん貸してください。」
「しょうがないわね、マーリンさんソサマ決算でもいい?」
「構わんよ。」
リンがポケットから端末を出しレジ横にある機械に端末を置くと『ルーメン』と決算された音が鳴る
「そのスマホみたいなのなに?」
「これ?ソーサラースマート」
「この世界にもスマホとかあるの!?」
「なにか変?ていうかスマホってなによこれはソサマだよ。」
(ソサマってなんだよ!スマホみたいに言うなよ!)
「どうもありがとな!しっかり魔法覚えろよ若造!」
エンポリアムの店を出ると、リンがモジモジしながら
「寄ってほしいところがあるんだけど、着いてきてくれない?」
店内に入ると空いた口が塞がらない
スペルお菓子工房、マジカラビア唯一のお菓子屋、店内はカラフルなお菓子で、できたランプや扉などが設置されている生徒たちに大人気のお店
うわ…ゴブリンの鼻水ジェリーだと...こっちはドラゴンの火吹きチョコ...キモい、もっとマシなお菓子探そう
ふと、リンを見ると目をキラキラさせてゴブリンの鼻水ジェリーを大量に手にとり嬉しそうにレジに向かおうとしていた。
「もしかして、それ食うの?」
「な//なにか変!これ美味しいだよ」
「へぇ...」
頬を赤く染め、変なお菓子を持っているリンを俺は理解できないような目で見る
スペルお菓子工房でお菓子を買った二人は街の真ん中にあるカラビアの広場に向かい、広場のベンチで休憩をしていた。
「んー♡やっぱり美味しい♡」
ガチで鼻水の味やん...そんな可愛い顔してよくすすれるな...
「あれ?もう食べないの?」
「なんか、お腹いっぱい...」
天気は快晴、俺はんーと声を出し身体を伸ばしそのまま反り返る、と視界に逆さまの像が映り込んだ
「なぁ、リンあの3体の石像って誰?」
「あの石像は3大魔法使いの石像よ。」
「3大魔法使いって確かリンの家系もそうだよな」
「そうね、デューク、剣崎、イクノシア、この3人がいわゆる3大魔法使いと言われてるの。」
「3人とも凄い人達ってことか」
「イクノシアだけは違うわ、彼は1000年前に行われた魔法戦争を始めた魔王なの」
「なんでそんなやつが石像になるんだよ、悪いやつなんだろ?」
「そうなんだけど、彼を崇拝してるギルドが光だけが正義なのかって、大きなデモを起こしたのがキッカケで、コイツも偉大な魔法使いの1人になったんだって」
「なんか複雑なんだな」
「もう遠い昔の話しだけどね..」
「そろそろ帰るとするか!」
ベンチから立ち上がり帰ろうとしたとき、突然大きな爆発が聞こえた
「誰か助けて!ゴブリンがー!」
女性は必死に逃げ惑い助けを求めている。
「ゴブリンってこの前先輩達が倒したはず」
「町なかにゴブリンが現れるなんて聞いたこともないわ」
「とにかく向うとしよう!」
「そうね!」
[おまけ]
「ホシノ先生の何でも聞いて頂戴♡のコーナー」
「「「いぇーい」」」
「やっと私の出番が回ってきたということで今回はこのホシノがなんでも教えてあげます。ゲストは私のクラスの子供達、ユウマ君とリンさん、レイラさんです。」
「はい、先生質問です」
「どうぞ、ユウマ君なんでしょうか?」
「マジカラビアのことについて教えてくださーい」
「わかりました、では教えましょ!」
「マジカラビアとはエンチャントレルム魔法学校から歩いて15分に位置する私達学園の人間にはとってもゆかりのある街です。」
「沢山のお店があって今回は全部紹介しきれないから、いくつか紹介するわね」
1. エンポリアムの店
魔法のアイテムを専門とするお店。様々な種類の魔法具や呪文書が揃っていて、魔法使いたちのニーズに応える。素敵なお店よ
2. マジカルローブショップ
あなた達の着ているエンチャントレルムの制服専門店。ローブや学用品を提供しています。破れたりしたらここで買ってね♡
3.スペルお菓子工房
憩いの場となるお菓子屋さんよ。魔法的な素材や味わいを取り入れたスイーツが豊富に揃っているの。ここのお菓子美味しすぎるからついつい食べ過ぎちゃって、体重計を見るのが嫌になるのよね...
4.スカイライド・ブレーゼ・ショップ
乗り物専門店。高品質な空飛ぶ箒や車などの関連アイテムを取り扱っていて、魔法使いたちの移動手段を提供するお店。先生も最近ボーナスで新しい車を買ったんだけど乗り心地最高なの!
他にも色んなお店があったりもするから自分でチェックしてみてね!、あとはなんていってもマジカラビアは四季によって街の雰囲気が変わるのも見どころね、街に咲いてる花や木はうちの学校で育てた物を提供しているから、そんなところもチェックしてみてね
「マジカラビアとエンチャントレルムは切っても切れない関係ということなんですね」
「流石リンさん、とても素敵な例えをありがとう♡」
「先生もう一つだけ質問していいですか?」
「レイラさん、なにかしら?」
「カラビアの広場でクリスマスの夜に告白したら付き合えると噂があったんですが、先生は彼氏とかいるんですか?」
「それを先生にきいて先生はどう答えればいいのかな?クリスマスの時期はいつも一人でケーキをむさぼり食べてますと言えばいいのかな?先生はずっと1人だって言わせたいんだ、じゃあ先生はみんなが幸せそうにしてる横で一人でケーキ食べたらいいんだ」
「おい!レイラ!余計な質問するなよ!先生がヒス構文みたいな話し方になっただろ!」
「3人とも廊下に立ってなさい!」
次回[第九話、初めての林間学習]
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます