[第七話、これが愛の力]


「ハァ..ハァ..ガイ先生の個人的な仕事ってあの二人の仕事ぶりを見学しろってことかよ」


時は遡り10分前


「俺からの個人的な仕事があるんだけど頼まれてくれるかい?」


「え?」


「ユウマはまだうちの生徒が戦うところを見たことないだろ?、一度実戦で魔法を使っているところ見ておいで!報酬は3000ルーメントでどうだ」


そんな口車に乗せられた俺はこうして走って先輩達の後を追ってるってわけだ


「ただ見学するだけで2日分の食費が稼げるなんて絶対なにか裏があるに違いないけど、とにかく先輩達のところに急ぐか!」


 

森ではレイヴンとメリファは既に戦闘を始めていた。


「今晩は満月じゃないと言うのになぜここにゴブリンが現れたの?マヤ、あなたの力でゴブリンの数を把握してちょうだい」


マヤは軽く頷くと羽を動かし空を飛び、集中するように目を閉じると呪文を唱えた


「蝶の使者、周囲の情報を収集せよ」


マヤの本から美しい蝶が次々と現れ、四方八方へ飛び去り、マヤの指示に従って周囲の状況を詳細に観察し始めた。マヤはその場に立ったまま、蝶たちの視覚と聴覚を共有し、次々と情報を受け取る。


「レイヴン、聞こえるでちか?」


「あぁ、聞こえる」


念波で直接脳内に語りかけるとレイヴンに詳しく状況を説明し始める。


「東に6匹。大きな木の陰に隠れていて、武器を手にしているけど。まだ動いていないでち、あと南に6匹、こっちに向かってるでちよ!」



「了解した、メリファ魔法をかけてくれ!」


「ええ、ブルームブースト!」


黄緑色の本を開き呪文を唱えるとメリファの手から花びらが舞い、レイヴンと彼女の星獣リュカに降り注ぎ、二人は全身に力がみなぎるのを感じた。



「リュカ、二人で3匹ずつ倒そう。」


リュカはコクリと頷き、ゴブリンの集団に向かって走っていく。



レイヴンは拳に雷のエネルギーを集中させながら、『雷撃拳』と呪文を唱え、ゴブリンの腹部目掛け力強く殴るとゴブリンの身体を貫き、絶叫とともに朽ち果てる。



『サンダーブリッツ!』リュカも呪文を唱えると雷のような速さで敵に突撃し。彼の圧倒的な破壊力で、ゴブリンの体を一瞬で貫いた。




次のゴブリンに向かって同じ魔法を繰り出そうとするレイヴンだが、レイヴンよりも先にゴブリンが斧を振り下ろしてきた。


素早く反応し、斧を避けるために側転し。その勢いを利用して地面を強く蹴り上げ跳び上がると、宙から『雷撃拳』を放ち、強烈な一撃を繰り出した


リュカもまた、次のゴブリンに狙いを定め、一瞬にして倒してしまう。



ユウマが現場についたころにはゴブリンは誰一人として立っていなかった。


「すげぇ..」


「おい!こんなところで何してる!?危ないからさがるんだ!」


少し遠くから俺を見つけ駆け寄ってきたレイヴン先輩、俺はここにきた理由を先輩に話す。


「すんません、ガイ先生の手伝いというかなんというか、二人を見学してこいって言われたので見に来ました、1年のハヤシ・ユウマです。」


「君があのユウマか..私はレイヴンそれとコイツは私の星獣リュカだ」


「よろしくだぎゃ」


「よろしくお願いします。」


黒の狼なんて無茶苦茶カッコいいやん。


「メリファこの人誰でち...」


人見知り全開で俺のほうに指を指してメリファ先輩の後ろに隠れているこの子も星獣なのか?緑の帽子とローブにブロンドのミディアムボブで背中には蝶のような綺麗な色した羽が生えている


「この子は新しい新入生君よ、ごめんなさいねうちのマヤは少し人見知りで..」


「この子も星獣なんですか?」


「そう、私の星獣子供みたいで可愛いでしょ」


「うるさいうるさい!子供扱いしないでほしいでち!」


「ここは危ない、私達もひとまず帰ろう」


レイヴンは皆に森を離れるように指示をした、次の瞬間、聞いたこともないような低い雄叫びが聞こえ、レイヴン達の前に大きな魔物が現れた


「でっかー!!こいつも魔物っすか!」



「トロールだと?なぜこいつがここに」



「レイヴン!ユウマ君避けて!」


トロールは視界に入るやいなや、大きな棍棒を二人に目掛けて叩きつけるが、レイヴンは素早く避け、ユウマはリュカに助けられた。


「ありがとう、リュカ」


「問題ないぎゃ!レイヴン!、こいつと戦うなら魔力供給しかないぞ!」


「頼む、メリファ!」


「はい!」


まさかの生魔力供給見れんの?


二人は見つめあい手を握りしめ合うと二人の足元に魔法陣が現れた。


「久しぶりにするんじゃない?」


「嘘つけ、2週間前にシたばかりだ」


「あまり強く噛まないでねアナタにされると跡が残るから」


「私以外に誰とこういうことするつもりだ?いいから黙って魔力を供給させろ」


「我が魔力よ汝の力と共鳴せよ。」


レイヴンは呪文を唱えると、メリファの首筋に手を添え、軽くキスをしたあとに歯をたて、首筋を噛む


「ん♡」


艶っぽい声が一言漏れるとメリファの身体に魔力が流れているのか頬が赤くなり身体が微かに光を帯びている。


「毎回のことだけど、少し気持ちいいのがダメよねこの儀式」


少し恥ずかしいのか、視線をそらしながら話すメリファにさっさとしろと言わんばかりにレイヴンが言葉を覆いかぶせるように話しだす。


「次はメリファの番だ」


「もう..急かすわね、わかったわ。」


先ほどと同じようにメリファもキスをし、レイヴンにも魔力が流れこむ、クールなレイヴンも気持ちがいいのか思わず声を漏らしてしまう


「ん...あっ♡」


「可愛い声出しちゃって」


「うるさい//、後輩が見てるんだから余計なこと言うな」


これが魔力供給、なんつうかものすごくエロい、なんだか見ちゃいけないものをみてる気がする。


二人の足元から魔法陣が消え


すぐさまレイヴンは力を溜め、メリファはトロールの足止めをする為に本を開き、機嫌がよさそうな声で呪文を詠唱し始めた。


「大きなトロールさんは私が捕まえてあげる、花のツタよ奴を縛りつけよ」『クレマチス・デスペア・ノット!』


地面から無数のツタが巨大なトロールを包み込み、トロールはあっけなく拘束される


「クレマチスの花言葉は束縛よ。」


自慢気に拘束されているトロールに向かって花言葉を教えるメリファ 


拘束されたのを確認したレイヴンは


「よくやったメリファ、あとは私がやる、リュカ下がれ!」


雷のエネルギーが全身を駆け巡り、力が溢れ


手を天に突き上げ。呪文を唱え始めた


「雷鳴轟く天の声よ、我に力を与えたまえ」『雷神の波動』



強烈な閃光が辺りを照らし、雷光が目の前のトロールに直撃する。


トロールは叫び声を上げる間もなく、雷のエネルギーに飲み込まれ、跡形もなく消え去った。


「これが魔力供給の力..」


「どうだ?ユウマ魔力供給は凄いだろ?」


「ガイ先生!」


ガイ先生は俺の肩を笑顔で叩いて


「今日はいい経験になったんじゃないかな?」


「なりました、先輩達の力ってすげぇなって」


「それはよかった、彼女達は学園で唯一、真契約シンケイヤクしてる二人だからね」


「それだけ信頼してるってことなんですね」


「色んな意味でな」


「え?それってどういう?」


「さぁさぁ、帰って飯にでもしよう!おーい!レイヴン、メリファ、一緒に飯でも行こう」


なんかはぐらかされた気もしなくないが、今日の戦いを目にしてさらに奮闘しようと心に決めた。


4月15日


あの日から4日たったがあれから放課後に魔法の練習をしてる俺は、えんぴつすらも浮かせられずに、毎日苦戦する日々


「今日も放課後残って魔法の練習?偉いな〜ユウマは」


「こうでもしないと、俺だってレイヴン先輩達のようになれないだろ」


「やっぱり近くでみる、魔力供給はすごかった?」


「あぁ、凄いなんてもんじゃあないあれは、エロだな」


「僕もみたかったー!」


「なにがエロよ、気持ち悪いわね。」


せっかく盛り上がっていたのにコイツの一言で台無しだ


「なんだよ!レイラ!文句あるのかよ」


「ありますけど?」


「あっ!忘れてたライラ先生に呼ばれてたんだ、僕はこの辺で!それじゃ!また明日!」


「逃げるな!このクルクルパーマ!」


めんどくさいと思ったジョンは逃げようと話しを切り上げるが、それを察知したレイラがジョンを追いかけ同じように教室を飛び出していった


「さて、今日も訓練するか!今日は気分を変えて普段行かないところで訓練してみるか...東の図書館の隣に自由に魔法の練習を行える広場があるのか...うし、今日の放課後はそこで練習するか」


[おまけ]


「今日もいっぱい太陽の光と美味しいお水ですくすく育ってねー♪」


「ねぇねぇ、メリファあっちのお花元気じゃないでちよ」


「ほんとー?確認してみるわね、ありがとうマヤ。」


「レイヴンが植えたミモザの花ね、あの人植えるだけ植えて世話しないなんて、ほんとにダメな人」


花の近くにしゃがみ、状態を確認していると。


「誰がダメな人だって..?」


ぎゅっとメリファの背中に覆いかぶさるように抱きついてきたのはレイヴンだ


「どうしたの?レイヴン、今日は一段と甘えん坊さんね、誰かに見られたらどうするの?」


「この時間は誰もここにこないさ、少し疲れただけだ、このままでいさせてほしい」


「あわわ二人なにしてるでちか//」


「マヤ、あれが大人の恋愛だぎゃ」


次回[第八話、デートだと思っていい?]

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