[第五話、風呂は命の洗濯]
「これもしかしてギルドの申請にきた人達か..」
先頭が見えないほどの光景、それはまるで人気のテーマパークのアトラクションに並んでいるような。
「そ、そりゃあギルドの中でも人気なほうだし、それに2年生や3年生もこの時期にもう一度受けにきてるからこうなるとは聞いてたけど凄いね..」
並び続けおよそ5時間、辺りはすっかり夜になりようやく俺達の番が回ってきた
「こちらのギルドに申請にきましたー!ジョン・ミラーと申します。」
ジョンの言葉に誰も応答がない
「おかしいな..あのー!誰かいませんか!?」
すると、爆発音と共に部屋の奥から黒い煙が立ち昇っている。
「なにかあったのかもしれない!ユウマ行こう!」
部屋を開けると黒い煙がいっきに舞い上がり、視界が見えないほどだ
「ゲホッ、誰かいますか!?ゲホッ、魔法を頼む!」
「わかった!」
ジョンはローブから杖を出し、一振りすると杖先から風が吹きたちまち視界がクリアになっていった。
「よかった..僕の開発した杖が役にたった」
「ゲホッゲホッ..いやー死ぬかと思ったー!誰か知らないけどありがとさん!」
咳込みながら、お礼の一言を言ってきてくれた、その人は水色の髪に毛先はピンク、白衣に丸メガネをしているライラ先生だ。
「大丈夫っすか!?先生」
「大丈夫、大丈夫こんなことはいつものことだから(笑)」
先生は立ち上がりヘラヘラと笑いながらタオルで顔を拭きメガネをかけ直し、話を続けた
「ところで君達も申請にきたの?」
「はい!僕達が最後です。」
「なーるほどね、せっかく来てくれたのにさっきの子でちょうど埋まっちゃたんだ!ごめんね〜」
「そんな〜」
「仕方ないだろ?次のギルド探そうぜ」
ジョンはよほど悔しかったのかブツブツと下を向きながら部屋を出ていこうとする、あんなに並んだのに落ち込むのも無理はない、すると先生は突然なにかを思い出したかのようにジョンを呼び止め。
「ちょっとまって!聞き間違えじゃなかったら、君さっき杖を開発したって言ってたけど、もしかしてモノづくりとか好きなの?」
その言葉にキラッキラの目を見せ
「好きです!この杖はですね!氷の魔法石で空気を冷やし、炎の魔法石で空気を温め。温度差によって風を発生させてるんです」
「そ、その原理はわかる!だけど魔法石ってそうそう手に入らないじゃない?それはどうしてるの?」
「日常で使うような小さな魔法石を利用してるんですよ。これだと手に入りやすいし戦闘には向かないけど、僕みたいな土魔法しか使えない人間でもこれぐらいの風を起こせるので、どうやって組み込んでパワーを上げるかといいますと...」
ジョンは熱くライラに自分の作った杖について語りはじめた
「こりゃあたまげたわ、じゃあさ、今作ってる炎の魔法石以外でも早く飛べるようにするための箒を開発しようと思ってるんだけど、ちょっと君の意見もききたいから見て!」
ジョンはライラに連れられ、再び研究室の奥へと進んでいった。二人は先ほどの部屋に戻り、ライラはそこで開発中の箒を指差した。見た目は普通の箒に見えたが、よく見ると細部に特殊な装置や魔法石が組み込まれていた。
ジョンは箒に取り付けられた光の魔法石を興味深く見つめた。
「なるほど、光の魔法石を使っているんですね。それで、どうやって飛ぶんですか?」
「光の魔法石は、エネルギーを集中的に放出することができるから、その力を使って前に進むようにしてるんだ。炎の魔法石以外でも飛べるようにってね」
「それは素晴らしいアイデアですね。光の魔法石なら手に入りやすいし強力なエネルギー源だから、その力をうまく利用すれば高速飛行が可能になるかもしれない。」
「それじゃあ、具体的にどうすればもっと安定して飛べるようになるか、君の意見を聞かせてほしい。」
ジョンは箒を手に取り、じっくりと観察した後、考えをまとめた。
「まず、光の魔法石のエネルギー放出をもっと均一にする必要があると思います。エネルギーの偏りが飛行中のバランスを崩す原因となるので。そのためには、魔法石の設置位置や数を最適化し、エネルギーの放出量を均一化するための制御機構を追加することが重要ですね。
さらに、飛行中の安定性を向上させるためには、重力魔法石や風の魔法石を併用することを提案します。重力魔法石を使用することで、上下の揺れを制御し、安定した浮遊感を得ることができます。風の魔法石を使うことで、横方向の安定性を確保し、風圧に対する抵抗を最小限に抑えることができるでしょう。
最後に、エネルギー効率を最大限に引き出すためには、これらの魔法石の相互作用を最適化するアルゴリズムを組み込むことが重要です。これにより、飛行時のエネルギー消費を最小限に抑えながら、高速で安定した飛行が可能になると思います。」
「なるほど、そのアイデアは使えるかも。ありがとう、ジョン。」
「いえいえ、どういたしましてそれでは僕はこれで」
「待って!是非ウチのギルドに入らない!?君のような人材がほしかったのよ!」
「いいんですか!?あっ..でもユウマが」
「俺のことなら気にするな!ジョン頑張れよ!」
「君ってさハヤシ・ユウマ君だよね?」
「そうですけど..なんで知ってるんですか?」
「そりゃあ入学初日に校長室に呼ばれるなんてなかなかそんな子いないもん、ある意味有名人だよ君は」
「そりゃあどうも」
「君なら園芸委員のガイ先生のところに行ってみ?もしかしたらお仕事もらえるかもしれないよ!」
「マジっすか!?そうしてみます!」
「うんうん♪、それじゃ明日からよろしくね」
「はい!お願いします!」
結果ジョンは希望のギルドに所属できたし、俺もなんとか仕事見つかったしめでたしめでたし。
「あーいい湯だ〜」
(初日から色々あって大変だったけど、ジョンという面白い友達もできたし、なによりこれでしばらくは飯に困らないはず..改めて思うけど、某14歳が主役のロボットアニメに出てくるエロいお姉さんが言ってた風呂は命の洗濯ってまさに今日みたいなこと言うんだろうな、とりあえず明日からもだけど魔法を早いとこ使えるようにならないとな…)
こうして俺の長い長い1日が終わった。
[おまけ]
「ジョン・ミラーのなんでもお応えしますのコーナー!!パフパフパフ〜」
「今回のゲストはこちら!僕の友達ハヤシ・ユウマくんです。」
「どうもーこんちはーユウマでーす」
「今日は僕になにを聞きたくてここに来たのかな?」
「俺が今日知りたいのはズバリ魔術学研究所についてだ」
「オーケイではこの僕が説明しよう!おいで僕の可愛い助手モナーク!」
「ここからはボク、モナークも一緒に説明するココ
魔術学研究所は、魔法と知識の探求を専門とするギルドであり、古今東西、魔術に関する研究とその実践を行っているココ。このギルドは、魔法の理論と応用を深く理解し、その知識をもって世界に貢献することを目的としているココ。」
「魔術学研究所は、学校設立と同時に設立され。当時、魔法の力は謎に包まれ、多くの魔法使いたちは個々に知識を探求していたココ。しかし、ある偉大な魔導師が、共有するための場が必要だと考え。こうして、魔術学研究所は設立され、以来、魔法の知識を追求する者たちの集う場所となったココ。」
「よくできました!流石僕のモナーク、ここからは僕が説明するよ!」
「魔術学研究所の主な目的は、魔法の知識を収集、保存、さらに発展させること。具体的な使命としては、以下のような活動を行っているよ。」
魔法の理論研究:魔法の基本原理やその応用に関する理論的な研究を行い、新しい魔法技術の開発を目指すよ。
魔法生物の研究:魔法生物の生態や特性を研究し、魔法と自然の関係を明らかにするよ。
魔法具の開発:新たな魔法具の開発や既存の魔法具の改良を行い、実生活や冒険に役立つアイテムを提供するよ。
「ざっとこんなところ!わかったかな?ユウマ君!」
「はい!わかりました。ジョン先生!」
次回[第六話、イケメンっていつもそうですね]
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