[第四話、春のフレッシュ新生活]
いよいよ入学式が始まった
俺達は校長の「新入生に大きな拍手を」その言葉を合図に、大きなドアを通り長い通路を二人一組で歩き、用意されたイスに座り校長の話しを聞く。
「ご入学おめでとうございます、皆様がこの3年間で学ぶことは他のなににも変えられない一生の宝物になることでしょう。時には辛いことも苦しいこともあると思います、ですがそんなときは同級生、先輩、先生の皆さんが支えてくださります。安心して沢山学び立派な魔法使いになって下さい。」
校長の激励の挨拶が終わると同時に楽器をもった生徒達が新入生に向けて演奏を披露した。
「では、続いて今年度の生徒会長からの挨拶です。」
教頭のマーシャルが告げると、大きな扉が開き、女生徒が壇上に向かって歩いている
「やっぱりレイヴン先輩が今年の生徒会長なのね」
「そりゃあそうでしょう!だってサンクチュアリのリーダーにもなったんでしょ?」
ヒソヒソと2年生が生徒会長を見ながら話す
「なぁジョン、あの人の名前教えてくれよ」
「レイヴン・アーチボルド、ギルド『サンクチュアリ』のリーダーでもある凄い人」
「なんだよそのサンクチュアリって」
「後で説明あるから今は黙って聞いとこうよ」
黒髪ショートで顔立ちはキリッとしていて黒のローブにはファーがあしらわれていて、いかにもリーダーって感じの人だな~
「始めまして、1年生諸君、私の名前はレイヴン・アーチボルド、入学おめでとう今年度から生徒会長になることになったよろしく頼む、さっそくだが今年は去年よりも更に飛躍していくために君達の協力が必要だ、是非この学校で各々が努力し立派な魔法使いになってくれ、以上」
盛大な拍手がレイヴンに贈られレイヴンは静かに席につく
「お疲れ様、レイヴン」
「あぁ」
「今年の1年生は粒揃いだと噂に聞いたわ」
「そうらしいな」
「今年は何人の子がサンクチュアリに入るかしら?」
「何人でもいいさ、使えなきゃ切るだけだ」
「こわーい♡流石、生徒会長」
「バカ//、机の下で手を握るのはやめろメリファ!」
教頭が再度マイクを持つと次は先生の紹介が始まった
「続いて、1年生の担任、さらに各委員会やギルドを担当される教員方の紹介です。初めに新たな学年の担任をするホシノ・オリビア先生です。」
「ホシノです♪みんな3年間よろしくね!」
「ホシノ先生は引き続き魔法遺産調査団の顧問も担当していただきます。」
これが俺の担任かー金髪ロングで優しそうな先生だな、しかも巨乳、ナイス!
「次に、魔術学研究所担当、ライラ・ギャビン先生です」
「新入生諸君!是非ウチのギルドへ!」
水色の髪に三つ編みでメガネ、いかにも研究オタクって感じの先生だ、ケツがデカい!ナイス
「ユウマ!ユウマ!僕はこの魔術学研究所に入るためにここに来たんだ!」
興奮気味に鼻を膨らまし目をキラキラとさせる、ジョン
「次に紹介するのは魔法遺産調査団と園芸委員会を担当する、ガイ・バートラム先生です。」
「やぁやぁ!今年も引き続き顧問になれて嬉しいよ、新入生も是非古代魔法や花に興味があったら入団してくれ」
めっちゃイケオジだー女子人気高そう、てか高いよな何名かキャーキャー言ってるし、無精髭、黒髪とか刺さる人に刺さる要素だもんな
「本日不在のサンクチュアリの顧問は引き続きケビン先生です。」
ケビン先生どんな人なんだろ、みんなが噂するぐらい凄いギルドの顧問なんだからトンデモない先生なんだろうな…
その後も他の先生の紹介が続き、ようやく入学式も校長の最後の挨拶のみとなった
「ここまで長い時間お疲れ様でした。では皆さんよい1年を!」
再び壮大な演奏が鳴り俺達は1年生は会場を退出した
「ここが俺の部屋か前に住んでたとこよりも広いな..」
その後俺は学校の離れにある男子寮に向かう、部屋に入ると元いた世界で住んでた部屋よりも何倍も広くて、ついつい独り言が弾む。
「結構家具は揃ってるんだな、冷蔵庫とかキッチンとか無いのはベッドぐらいか?ベッド買う金は..あるわけないか..」
部屋を見渡していると、部屋のインターホンが鳴り応答すると、そこに立ってたのはジョンだ
「うぃーす、どしたジョン?」
「へへ、お金がなくて困ってるんじゃないかと思ってね」
「お前って奴は神様と呼ばせていただきます」
「誰もあげるなんて言ってないぞ!働かざる者食うべからずって言うだろ?この学校には無数にギルドがあるからね、大体の学生は委員会やギルドに入って仕事しながら生きていくのが基本なんだ!」
「この世界でも働くのかよ~」
「当たり前だろ!し・か・も!ギルドには人気なギルドもあるから早めに申請しないと学校の外で働かないといけなくなったり、賃金が安いギルドしか入れなくなるからね!」
「つか、さっき説明してくれるって言ってたサンクチュアリ?だっけ?結局説明なかったじゃんか」
「仕方ないなーこの情報通の僕が説明してあげるよ!サンクチュアリはこの学校のトップオブトップしか入れない実力主義のギルドだよ」
「じゃあそこに申請しに行こうぜ」
「アホかー!」
強すぎるツッコミを食らった俺はブルラァァと叫び床に倒れ込む
「痛ってーな!なんも殴ることないだろ!」
「サンクチュアリはスカウトされなきゃ入れない場所、だから申請なんかいったら鼻で笑われてその場で紙をビリビリに破かれてグシャグシャの粉々に..」
「わかったわかった!じゃあ何処に行けばいいんだよ」
「そんなの決まってるだろ!魔術学研究所に入団するのさ!そうと決まれば行くぞー!」
「そこに行くのはいいけど、まずはなにか奢ってくれませんかね?ジョンさん朝からなんも食べてなくてそろそろ死ぬ...」
「仕方ないなぁーじゃあ食堂に行こうか!」
ジョンの粋なはからいで俺達は食堂に向った
「おいおい食べ過ぎだろ....僕のお金が..」
「しゅまん、でもマジでにゃんにもたべてなくてさ」
「飲み込んでから話してよ、なに言ってるか聞き取りずらいよ」
食べ物をゴクリと飲み込み
「ごちそうさまでした、この恩は働いて返すから安心してくれ」
お腹いっぱいになって水をゴクゴクと飲んでいると少女が話しかけてきた
「隣空いてますか?」
「どうぞ~、あれ!?君」
「あっ、あなた今朝助けた人」
「ユウマ君、この方と知り合いなの?」
ジョンは焦るような雰囲気を醸し出している
「俺のことを助けてくれた、命の恩人だ!えーっと名前は」
「剣崎 凛」
「オレはヤマトマルって言うんだぜ!よろしくッス!」
「ヤマトマル..言葉遣い…」
「すんません」
「俺はユウマ!ハヤシ・ユウマだ」
「ユウマって言うのねだったら私と一緒の
「どこだよそこ?俺は日本生まれだぜ?」
「ニホン?それ、どこ?」
(そうか、日本なんかないんだよな、とりあえず話し合わせとくか)
「あー俺なんか忘却魔法かけられたみたいで若干記憶喪失なんだ」
「そういう事、だからあのとき縄を自分でほどけなかったのね」
「ユ、ユウマ、早く行こう!ケンザキさん!また後で!」
「おい、引っ張るなって」
慌てているジョンに引っ張られその場を逃げるように去っていった
「変なの」
しばらく引きずられていたが、なんで引っ張られているのかわからなかった俺はジョンを逆に引っ張り急ブレーキをかけるように走っている足を止める。
「なにすんだよジョン!急に静かになってどうしたんだよ」
「どうしたもこうしたもないさ!よくあのケンザキリンと親しく話せるよ!」
「親しく話してないって、ただ自己紹介してただけだろ?」
「剣崎凛、僕達1年の中じゃあトップレベルの人間だ、剣崎家ってのはこの世界に伝わる3大魔法使いの名前の1つその名を知らないものはいないレベルの有名人だぞ」
「だって俺ここの住人じゃないし、そんなこと知らないもん」
「とにかくだ!今度からは親しく話していい人じゃないって事だけ覚えておくように!」
「了解しましたよ、先生」
なんだかよくわからないが、これ以上この話題に触れても仕方なさそうなので返事だけしとく
「気を取り直してギルドの申請に行こう」
俺とジョンは魔術学研究所に向った
[おまけ]
「うわぁー美味しそうなドライフルーツがいっぱいッスじゃなかった、ござる、リン様!リン様!オレにこの美味しそうなドライフルーツ買ってほしいでござるー!」
「ダメ」
「えーケチは老いのもとって言うでござるよ」
「絶対ダメ」
「フーンだダメダメ、リン様に頼まなくたって自分で買うでござる」
「いつも全部食べきらないでしょ、あなた飽き性なんだから」
「ギク..それはそれ、これはこれでござるよ..」
「ダメったらダメ家にあるドライフルーツ食べきってからしか買いません!」
「えーん、リン様のケチん坊〜!」
次回[第五話、風呂は命の洗濯]
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