[第二話、入学おめでとう!]
「なるほどね、ユウマはこの世界の住人じゃなくて違う世界の住人ってことか..」
俺はジョンに目を覚ましてからの出来事を洗いざらい話した。
「俺帰れるかな..」
「うーん..わかんない!」
「なんだよそれ..」
「大丈夫だよ!学校に行けばなにかわかるかもしれない!一応ユウマも入学してることになってるしね」
「そうなんだよな..そこが謎なんだよ..」
なにが謎ってこんな変な服着てるのもそうだけどなにより?ってなったのが
「生徒手帳はわかるけど、この変なペンダントみたいなのなんだ?」
「それは僕たちの魔力の源それで魔力の管理や星獣を呼び出したりするんだ!それがないと魔法は使えないからね」
「星獣?なんだそれ?」
「星獣っていうのは僕たちをサポートしてくれる相棒みたいなものさ!僕の星獣を出してみるね、来たれ星獣モナーク」
ジョンが呪文を唱えるとジョンの目の前にオレンジ色の魔法陣、その中心に小さな光が現れその光から黒い帽子を被った小さな猿が現れた。
「これが僕の星獣モナークだよ!ユウマに挨拶して!」
「こんにちわココ、モナークって言いますよろしくココ。」
ペコリとお辞儀をするモナーク
これってさっきの少女の近くにもいたこれが『星獣』にしても優しい話し方する子だ、さっきの変なツバメとは大違い…
「ユウマも星獣を出してみなよ!」
俺は意識をペンダントに向け、ジョンに言われた通りに呪文を唱えた
「星獣よ、我が前に現れ、その力を貸し給え。」
………………
星獣はおろか魔法陣すらも発動しない
「おい、ジョンこの呪文あってんのか?」
「間違うわけないじゃないか!入学する1ヶ月前に制服やペンダントが家に届いて最初に行わないといけない儀式なんだから!でもおかしいな、なんか反応しないって言うより、魔力がないって感じがする..」
「魔力がないってのは普通のことだ、なんていっても俺は鋼鉄製造業に勤めてるただの25歳だからな!」
そんなやり取りをしていると
「ミシェル!なにやってんだよ!このグズ!」
突然大きな怒鳴り声が聞こえ、俺とジョンは慌てて部屋をでたそこにいたのは、白っぽい水色の髪色をした男と同じく白っぽいピンク色で長い髪の女の子がいた。
女の子は必死に自分のローブで床に溢れている飲み物を拭いている。
「ミシェルがグズだから、野次馬共が集まってきたじゃないか!お前達、見せ物じゃないぞさっさと散れ!」
「すみません、兄様すぐに終わりますからお席に戻ってください。」
拭いている彼女を見過ごせなかった俺は彼女に近寄り。
「一緒に拭くよ、ジョン車両のどこかにタオルがあるか見てきてくれ!」
「わかったよ!」
「あ..あのありがとうございます。私、ミシェルっていいます。」
挨拶をしてくれたミシェルに自己紹介をしようとしたが。
「おい!ミシェル!こんなくだらない男と話すな!俺達は高貴な人間なんだぞ!」
「お前も見てないで手伝えよ!ハンカチかタオルぐらい持ってるだろ!」
失礼なことを言ってきた兄様と呼ばれている男に俺は険しい顔で近づく。
男はユウマを拒絶するかのように腕を組み
「はぁ?なぜ、俺がそんな下僕みたいなことしないといけない!」
ただ床を拭くだけの行為を下僕みたいと言えるなんてコイツはどこのおぼっちゃまくんだよ。
「お前はミシェルの兄なんだろ?妹が一生懸命やってんだから手伝うのが普通だろ?」
「嫌だね、エシャ、アイシャ出てこいお前らが手伝え、俺は先に部屋に戻ってる。」
「おい!待て!」
「全くエシャの主はゴミみたいなやつだにょ、ミシェルもあんなのに従う必要ないにょ」
「ミケロスはそこまで悪いやつじゃないにゅ..」
水色とピンク色の黒い角がついた双子のような星獣?がミシェルの床拭きを手伝いながらさっきの男の文句を言ってる。
「君達も星獣なのか?」
「はい!双子の星獣です。わたしの名前はエシャといいます、覚えにくいときは水色のほうと覚えて下さいにゅ。そしてこちらが..」
「アイシャにょ!あたちはピンクのプリティーな妹って覚えてほしいにょ」
双子の星獣、水色は可愛らしくてピンクは偉そう覚えた
「二人とも手伝ってくれてありがとう」
「ミシェルは悪くないにょ、悪いのはゴミのミケロスにょ」
「あまり兄様を責めないであげて入学式で緊張してて、ピリピリしてるだけだから..これで綺麗に拭けたかな、エシャ、アイシャ、ありがとう、えっと..。」
「俺はハヤシ・ユウマよろしく!」
「ユウマさん...よろしくお願いします。手伝ってくださりありがとうございました」
なんて健気な妹..こんな可愛い妹ほしかったぁ..
「ユウマー!持ってきたよ!あれ?もう拭き終わったの?」
「ちょうど今終わったんだ!ありがとなジョン」
ジョンにもぺこりと御礼をするミシェル
床は綺麗になったし一件落着、和やかな雰囲気でいると背後から女性の大きな声が
「ちょっと、通路の邪魔なんですけど!?どいてくれない?そこの『さえない男』と『クルクルパーマ』」
「邪魔ってなんだよ!飲み物を溢したから床拭いてたんだよ!」
なんだ、この赤毛のツインテール女..いきなり人のことさえない男とか言いやがって
「ふーんそれはどうも、拭き終わったんでしょ?だったら邪魔だからどいてちょうだい!」
少女は二人の間を強引に抜け、ズカズカと次の車両に移っていく。
「なんだよ、あの女失礼な奴だな」
「レイラ・ノクターナル、僕たちと同じ1年、試験での成績はトップクラス、可愛い顔してるのにめちゃくちゃ気が強いところがもったいない..」
「俺はあんな可愛げない女お断りだね」
どうやら変人だらけの学校に入学してしまったみたいだ..
「まもなく、エンチャントレルム学校前..エンチャントレルム学校前..」
トンネルに入ると列車のアナウンスが流れた。
なんだか変に緊張してきたな..ホントに俺はここで元いた世界に帰れる方法が見つかるのかな..
列車は山間のトンネルを抜けると、突然、広がる景色が一変した。窓の外には、古い町並みが静かに広がっていて。そこには長い歴史を感じさせる古い家々が軒を連ね、石畳の道がゆるやかに曲がりくねっている。家々の屋根は、ところどころ苔むしており、年月を重ねた証がそこかしこに見受けられた。
その町並みの中心には、一際目立つ大きな建物がそびえ立っていた。それは古びたレンガ造りの学校で塔のような尖塔が青空に向かって高く伸びその周りには古い木々が立ち並び、季節の花々が咲き誇っていた。
さらに、列車の窓から町を見渡すと、小さな市場が開かれており、地元の人々が新鮮な野菜や果物、手作りのパンを売っていた。市場の一角には、昔ながらのパン屋や雑貨屋が並び、風に乗って香ばしいパンの香りが漂ってきた。人々の温かい笑顔と活気ある声が交錯し、町全体が生き生きとしていた。
列車はその美しい風景の中をゆっくりと走り抜け、学校の近くの駅に停まった
「ここがエンチャントレルム..」
「ここが『シルフィード』通称『魔法の国』そして目の前にあるのが僕達の通うエンチャントレルム魔法学校!」
「おまけ」
「やっとこさ学校についたにょ〜、さてさてイケメン探し始めるにょ♪」
「アイシャちゃんすぐにイケメン探しはやめるんだにゅ、おねえちゃん寂しくて泣いちゃうにゅ..」
「泣くなら勝手に泣けにょ!」
泣き始めるエシャに頭をバシバシ叩くアイシャを止めるようにミシェルは
「二人とも喧嘩はやめて、仲良くしてね」
「そうだそうだ、サイレン家にふさわしい星獣として知性ある振る舞いをしろ、これは主からの命令だ!」
「それを守るのはエシャだけでいいにょ、あたちはミシェルの星獣だからお前に指図される必要ないにょ!」
「なにをー!捕まえてとっちめてやる!まて!逃げるなー!」
「はぁ..先が思いやられるにゅ..」
「だね..」
次回[第三話、学べ若者よ]
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