第4話

「プルルルルーー」

そこで母さんから電話がかかってくる。


「春!?大丈夫なの?」「春大丈夫なのか??」

「うん。」

「性別変わったって聞いたけど」

うん。なんかすんなり朝起きたら変わってました。

「どうなってるの?」そう言われたのでビデオ通話にし,いきさつをしゃべる。

ある程度姉さんから聞いていたらしいが,さすがに信じれなかったらしい。

「とりあえず今から家に帰るけど」

「いや,いいよ。何の痛みもなく急に女になったから。」

「いいえ,帰るわ。女の子になった春ならできるしね...(春が心配だからね)」

「いや思ってることと言ってること逆!」

「まあでもとりあえず帰るよ。さすがに息子いやもう娘か。のいちだいじにかけつけないのは親失格だからね。」

こういうとこ無駄にしっかりしてんだよなーー。放任主義だけど法律とか破んなければ基本何でもしていいし,意見尊重してくれるし。


_____________________________________


病院から帰る途中

「春―先に帰っといて―」

と家の鍵を渡される。

「ん?どこかいくの?」

「ちょっとねー」

そして先に家に帰り,ネットで男から女になると調べてみたが,案の定ラノベなどラブコメしかでて来なかった。そうしていると,姉さんが帰ってきた。紙袋の山を持って。

「姉さん服買いすぎでしょ」

「いやあんたのよ?」

「え?」

「あーのーねー男子と女子の服じゃ全然違うのよ。それに,どうすんの」

姉さんはちらっと双丘を見ていった。

「あ,そっか。もう引きこもり非モテ陰キャ男子じゃないんだ」

「いや引きこもり非モテ陰キャは変わらんでしょ」

姉の無慈悲な言葉のナイフが井上春の心にクリーンヒット。

「うぐっ!」嘘でも肯定してよ...。

「そうだ,あんたご飯食ってないでしょ。」

あ,そうだった。朝からいろいろありすぎて完全に忘れていた。


朝ご飯?(午後2時)を食べ,両親が帰ってきた。

「わあ~~やっぱり息子より娘だわ~~もういっそ一生このままでいいんじゃない?」

「いやだわ!こっち大事なもんなくしてんだよ‼結構笑えねえよ!」

「で,春体調はどうなんだい?」

「なんともないけど...それが逆に怖い」

「まあなんともないが一番だしね」

「思ったより早かったね」

「香菜!」

母さんが抱き着く。ちなみに香菜とは姉さんの名前だ。

「元気にしてた?」

「あ。今から春の着せ替えタイムするけどお母さんもする?」

「する!」

ちなみに両親は一旦帰ってきただけらしく滞在は一週間ほどになるらしい


「ふーーー風呂気持ちいー」

あの後着せ替え人形にさせられ,くっそ遊ばれた。

この服似合う?など女子勢二人に。


今日いろいろありすぎだろ。

えっと朝起きたら女子になってて病院行って,僕っ子女医者に実験台にさせかけられ...挙句の果てに着せ替え人形。被害にあいすぎじゃね。理不尽でしょ・

まじあのジュース作ったやつ許さねえかんな橋本環●

疲れたと思いながら寝床に入った。


昨日のことが夢だったら,俺の下腹部にまだエクスカリバーが宿っていたら,その期待はむなしく。

はい,しっかり女ですね。確認しなくてもわかってました,はい。ただねちょっとぐらい期待させてもらっても...。


ん?てかなんか標高上がった?あの双丘。



それから何事もなく月日は過ぎていった。

そして夏の蝉も静かになってきた時に朝ご飯に家族は口をそろえてこう言った。

「「「あんた(春)学校行きなさい(よ)」」」

「あ,はい」

思わず圧で答えてしまった。これがのほほんと部屋から出ている不登校の息子への態度。フィーバータイムももう終わりか。ぷ●ぷ●くらいはやいな。

朝飯後。

「てかあんた学校行かなくなったのなんでなの?」姉さんが言う。

「え,だから授業についていけなくなったって...」

「本当に?」

「...本当に」

「まあいいわ,はい」

「これは旧紙幣樋口一葉!!姉様はやっぱり女神だったの...ガク」

姉に一発K.O.を食らう。

「美容院よ,美容院。お母さんに渡してって頼まれたの。」

「え,病院?また?」

「違うわよ!美・容・院」

えぇ...。

「まずあんた最後髪切ったのいつ?」

「えっと入学式の前だから」

「もういいわ切ってきなさい」

「え,でも陰キャにはハードルが高いわけで」

「行きなさい」

おーのぅ,どうして弟妹はこんなに権力がないのでしょう。全国弟妹諸君君らならわかるだろう。年上の尻に敷かれる痛みが。

まあいいか千円カットで切って帰ろう!

「あ,言っとくけど美容院予約してあるから行かなかったらわかるからね」

「...。」

「領収書よろしくね~」

会話した時点でもう負けていたのか...。そうだ,姉兄の権力は絶大なのだ。


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