24.野営の夜
日も暮れ。
辺りを照らすのは星の光と焚き火の光だけになり。
本格的に闇夜が支配する世界になっていた。
野営地の周りを石の壁が囲んでいるとは云え。一部開け放たれた壁の向こう側は、真っ黒く塗り潰された闇夜の世界。
今にも何か飛び出してくるんじゃないか、そんな言いようのない不安と恐怖が押し寄せて来る世界だった。
闇夜は人間誰しもが持つ、本能的に恐怖する事の1つだ。
「やる事なくて暇だね」
俺が不安に駆られている横で、シャロは暇を持て余していた。
確かにやる事が無い。
街に居る時と比べるまでも無いが、本当にやる事が無い、やる事が喋る位しかない。
「これが夜の見張りの辛いとこだな、一応お前たちは連続で長く寝れるように、最初に見張りをしてもらってるんだぞ?」
ジャンケンに勝ったマルコさんが言う。
シルバーファングの面々が俺達が初めての野営という事もあり、最初に見張りをしてそれ以降は朝まで寝れるようにしてくれた。感謝しかないですねホント。
「それでも暇なもんは暇なんですー。⋯⋯そうだ!何か面白い冒険の話とか聞かせてくださいよー」
シャロがマルコさんに無茶ぶりをする。俺も正直興味はある。
「そうだな⋯⋯」
その後マルコさんより、色々な冒険の話を聞くことが出来てた。
そうしているうちに、交代の時間になっていた。
「そろそろ交代の時間だな、アルの奴を起こしてくるわ」
マルコさんはそう言って、アルさんが眠るテントへと向かって行った。
ちょっとしてからアルさんを連れて戻って来た
「よし。今日は一日ご苦労だったな。あとはゆっくり休んでくれ」
「はーい」
「わかりました」
俺達は自分のテントに入って行った。
テントと言っても木の骨組みに布を被せただけの物であり。
地面も剥き出しなので、その上に寝る形になる。
毛皮の毛布が2枚あるので一枚を下に敷、もう一枚をシャロと一緒に被ることになった。
若い男女。
一つ屋根の下——。
本当に何も起きなかった。
お互い疲れてたというのもあり、横になると秒で寝る事になった。
そもそも近くに、マルコさん達も居るしな。
正直俺は、シャロの事を妹みたいに思ってる所がある為、変な気も起きなかった。
シャロもそんな感じなんだろうな。
だから寝起きで抱き着かれていたとしても平気だ。平気なのだ。
暑苦しく感じ途中で起きたら、片腕をガッツリ抱き締められていた。
そのまま身動きも出来ずに朝を迎えた⋯⋯。
「うーん⋯⋯」
シャロが身じろぎしながら起き始めた。
取り敢えずシャロの反応を伺う事にした。
「おはようー」
「おはよう」
特にこれといったことは無いようで⋯⋯。
俺達は起きたので、テントから出る事にした。
「おーおはよう。よく眠れたか?」
「おはよう」
最後の見張りはアルさんとハルクさんだった様だ。
その後残りの2人も起きて来たので、野営地の撤収作業を開始した。
テントを片付け、焚き火の後を埋め。
朝食を取った。
シャロに〈
「お前はすっかり、シャロのお世話係みたいになっているな」
マルコさんがそう言うが、俺は否定した。
「そんな事ないですよ。朝は俺の方が起こしてもらっている立場ですし」
自分で言ってなんだが苦しい感じがした。
朝は起こされているが、それ以外ではシャロの面倒を割と見ている気がする。
まぁいいか、普段メイン盾として活躍してくれているわけだし。
そんな事もあり野営の撤収作業が終了したので、今日の予定をマルコさんが語る。
「今日は正午前までにロックタートルの住処に行って、狩りをするからな。一応予定の数を狩るまでに1日くらいはかかると思うからそのつもりでいてくれ」
全員の同意を得て、俺達はロックタートルの生息地へと移動を再開した。
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